人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

タスク管理を難関にさせるもの

ビジネストレーナーの安部です。ユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

今週はタスクの性質について話をしています。

  1. 完了するまでの時間(作業時間)
  2. 作業の難易度(前例や手順書がある・ない)
  3. 作業への関り度(作業者かチェック者か)
  4. 成果物の明確さ(ゴールが明確か不明確か)
  5. やっかいな化け物(てぇへんだ~!とやってくるタスク)

今日は、4.成果物の明確さについてです。

 

仕事には必ず成果物があります。

 

サービス業の場合は成果物が見えにくいですが、お客さまにサービスを行った行為そのものが成果物です。マッサージであれば、マッサージ終了直後のお客さまの状態が成果物です。理容室であれば、整髪後の姿が成果物です。何等かの成果物があるので、その対価が支払われるのです。

 

成果物が明確な場合は、タスク管理は簡単です。

 

ですが、成果物がわかりにくいタスクが存在します。典型的な例は、初めてのタスクの場合です。初めてなので、どういったものを生み出せばよいのかがわからず、成果物がわかりにくいタスクになります。

 

そして、もう一つの例が、クリエイティブな場合です。

 

これには芸術的なものも含まれますが、一般の会社員の方々にとっては、企画書や提案書、新規事業の立ち上げ、プレゼンテーションや営業活動、難しい課題への対応などを想定しています。対顧客などの対人関係が大きく関係する中で成果が求められるタスクです。

 

うまくいかない営業活動

 

電通の自殺した女子社員の方も、こういった成果がわかりにくいタスクに従事していたのではないかと、私は考えています。

 

こういったタスクは、ゴールがはっきりと見えません。作っても作っても、上司から「もっといいものを作れ」と言われます。ゴールがないため判断基準がなく、どこがダメなのかもはっきりしません。

 

ugrade.hatenadiary.jp

 

以前、このブログでも書いたように、いくら残業しても仕事が終わらないことになります。

 

ゴールがないタスクをどのように管理すれば良いのか。管理方法は、ひたすらゴールを明確にすることを一番最初にすることしかありません。ゴールを決めずにタスクを管理することはできないからです。

 

ゴールを明確にする方法は、以下の二つです。

  1. 先輩・上司など経験豊富な人たちに聞きながら外枠から明確にしていく。ここではレビューを繰り返すことが重要
  2. お客さまや関係者だったら、この成果物をこう受け取るだろうと想定する。ひたすら想像力を発揮して、相手の反応を想定しながら、成果物を明確にしていくことが重要。

当然、1.の方が簡単です。でも、先輩・上司でも明確にできないゴールがあります。その場合は、2.の方法を取るしかありません。特に新規事業の立ち上げなどはこの部類に入るでしょう。

 

考えるビジネスマン

 

2.の方法を取らざるを得ない時も、できれば成果物を明確にするのをチームで行うことをお勧めします。ひとりでは、よほどの才能と運に恵まれている人でないと突破は難しいでしょう。

 

仕事の中で、このタスクが一番難しいと私は考えています。もちろん、人によっては簡単にこなす方もいらっしゃいます。ですが、通常は、完遂させるのが難しい部類のタスクです。この2.の方法のタスクを渡す時は、相手のレベルに応じて渡すべきです。新入社員に渡す時は、フォローをしなければ後に残るのは「自信喪失」です。

 

引き受ける際はある程度のリスクが発生することを経営者なり上司なりと共有しておくべきです。

 

起業も、2.の部類に入ると私は考えています。なので、ひとりで抱え込まずに、インキュベーションマネージャーの方たちなどとうまく交流を図って、成果物(ここでは会社の立ち上げ)を成功させてほしいと考えています。

 

来週は、5.やっかいな化け物について、お話します。時間管理とも深く関わってくるこの最大・最強の厄介者。これにどう対処するかについて、できる限り詳しくお話できれば、と考えています。

 

それでは、また来週。