人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

会社で人材育成するメリット

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

先週は夏休みでした。どんな一週間だったかというと、目的はすべて果たすことができたそれなりに充実した夏休みだったと考えています。目的はすべて果たした・・・っていうとお仕事みたいな話ですが、実際に夏休みと言っても完全な「お休み」ではなく、先週にも書いたように普段あまり時間がかけられない「重要だけど急がない仕事」を中心に仕事をする一週間としたのです。

 

今週は、人材育成をする会社のメリットについてお話したいと思います。

 

人材育成の分野に足を突っ込んで20年近く。企業における人材育成の力の入れ具合は景気に左右される、というのを目の当たりにしてきました。

 

景気が良いと、人材育成の予算があり依頼されることが多くなります。リーマンショック前のちょっとした景気の良い時がこんな感じでした。ところが、不景気になると、真っ先に閉ざされる予算が「IT」と「人材育成」の経費です。

 

コスト削減のための「IT」投資が予算カットされるのも少し理不尽な気もしますが、先に出てしまうキャッシュの金額からするとわからないでもないかな、と考えています。リーマンショック前後は、全体的にWebシステム化が進み始めており、Webシステムはその当時、比較的大規模となるため予算が膨大になる、という傾向があったため、業者に依頼して作ってもらう・・・というのがためらわれるのも当たり前かもしれません。

 

でも、人材育成に関しては、何故予算がカットされるのか、それがわかりませんでした。IT投資から比較すると桁が違う金額です(もちろん少額の方)。仕事がなくてヒマにしている社員がたくさんいるので今のうちに教育したい、という管理部職員さんがいるけれども、結局「予算がない」の一言で断られました。

 

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もっとも、それから徐々に景気が良くなってきて、人手不足と言われるほどの現在に至っても、人材育成の予算はどこもあまりありません。何故でしょうねぇ。

 

それは直接的なメリットが感じられないからだと思います。人材育成をした!と言っても、翌日から会社の業績が上がるものではないからです。それよりも、製品の価格を下げて、売上数が倍増!の方が目立ちます(売上数が倍増しても利益はそれほど上がっていないのが普通ですけど・・・)。

 

人材育成をするメリットが感じられない原因はどこにあるのでしょうか?

  • 結果に即効性がない説
  • 研修は効果がない説
  • 労働市場にもっと優れた人材がいる説
  • 教えてもらわなくても俺はできた・背中を見て覚えるもんだ説

良く言われる言葉を列記してみました。

 

「結果に即効性がない説」

人材育成には3種類に分類されると私は考えています。知識を学ばせるもの、技能を学ばせるもの、態度を学ばせるものの3つです。

 

知識を学ばせるものは即効性があるものです。知ってしまえば次の瞬間から使えます。消費税は8%だから、商品価格に1.08をかけたものをお客様に売る、という知識があればできるようになります。

 

技能を学ばせるものはもう少し時間がかかりますが、慣れてしまえばできるようになるものです。電卓に消費税率を記憶させて、商品価格を入力後「税込み」というボタンを押す、という技能を身につけさせれば慣れたらできるようになります。

 

最後の態度を学ばせるのが一番時間がかかります。電卓で素早く正確に税込み価格を表示させられ、それを笑顔でお客様に優しくお伝えする・・・という態度を身につけさせるのは難しいのです。笑顔はどれくらいの笑顔でしょうか? 優しくというのはどれくらい優しいのでしょうか?

 

これは従業員を評価する人たちが考える基準までできるようになって初めて「できるようになった」ということになります。この「評価する人たちが考える基準」というのがものすごく理想的だったり、曖昧だったりすると、評価されるようになるまでに、とても時間がかかります。

 

そして、あまりにも時間がかかりすぎるので、しまいには評価すること自体忘れ去られてしまい、いつの間にか「できるようになった」と感じられる残念なことになります。

 

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「研修は効果がない説」

最後の態度を研修で学ばせる場合、元々時間がかかる内容であるので、結果的に研修は効果がない、という結論に至ることになります。

 

もっとも、これには今までの研修会社の限界もあるのだと私は考えています。研修を効果あるものにするには、いくつかのコツがあるのです。これについては、近日中にお話する予定です。

 

労働市場にもっと優れた人材がいる説」

ウチの会社にはロクな奴がいないけど、求人を出したら、良い人材が来るはず。と言われたことがあります。でも、リーマンショック後のハローワークに行列ができていた時でさえ、飛び切り良い人材は労働市場に出ていませんでした。そういう人はよほどのことがない限り、人材紹介会社を経て(つまり労働市場に出ず)他の企業にステップアップ転職しています。

 

リーマンショックから2年くらい経った、まだ不況の時に前の会社で補助金でかなり良い条件の3名の求人を出したことがあります。その時、当然応募者は100名近くありました。その中で、文句なく採用決定した人は1名でした。これくらいの比率なのです。

 

「教えてもらわなくても俺はできた・背中を見て覚えるもんだ説」

こういうことを言われる方は本当に多くいらっしゃいます。

 

人はひとりひとり異なるものです。自分ができたからと他人もできるとは限らない。また、できる人も他にできないことの一つや二つ、必ずあるはずです。だったら、他人もできないことを認めましょう。

 

そして、できないことをやらなければならないのでしょうか?

 

できるようになるためにはどうするべきか、システマチックに業務を構築するのです。

 

仕事はシステムです。できない人ができるシステムにするのです。

 

具体的に言うならば、チェックシートやマニュアルを作るのです。「こんな感じ」というあいまいさをできる限り排除し、システマチックな仕事にすることです。そうすれば、誰でもできる仕事になります。

 

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そうすることで教えやすい仕事にも変化します。教えやすいので学びやすい仕事になるのです。学びやすい仕事は作業の効率化を図りやすいのです。この点については明日お話します。

 

また、マニュアル化に対して良くない感情を抱かれる方も多いので、その点について、また後日お話します。

 

 

今週は人材育成のメリットをお話していきます。いろんなメリットがあります。更に良い制度もできるようです。これらを利用して人材を育てることを検討してみましょう。

 

それでは、また明日。 

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