人を育てるマニュアル作り
ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。
昨日は会社で人材育成するメリットが感じられない理由についてお話しました。今日から4日間は、人材育成で受けられるメリットについてお話していきます。
まず、作業の効率化というメリットです。人材育成をする上でチェックシートやマニュアルを作成します。これらが作業の効率化というメリットを生み出すのです。
マニュアル化に適さない仕事もあるかもしれませんが、ひとまずその件については横に置いておきます。
できない人ができるようになるためにはチェックシートの作成がお勧めです。日常業務で単純なのだけど、よくミスをしてしまう・・・という人には絶好のツールです。自分でチェックをするためのチェックシートを作成するのです。
そして、最初は先輩と一緒にチェックシートにチェックしていきます。そうすることで、チェックしなければならないポイントも一緒に学べます。そのポイントをチェックシートに書き込むこともしていきます。そうすれば、今度次の人が作業担当になれば、その人にもチェックシートを使ってもらうことでミスが軽減されるのです。
マニュアルも大事です。
良く機械の操作方法のマニュアルは準備されているところが多いのですが、今回お勧めしたいのが、トラブル時のマニュアルです。
良くあるトラブルは把握されていますでしょうか? そのトラブルのためにベテラン要員の時間がとられることが発生していませんか?
良くあるトラブルも一般的な要員でも対応可能なようにマニュアル化しておくのです。トラブル対策こそマニュアル化するのです。
マニュアル化しても大事なところを見落として更に最悪な事態になったら・・・と不安に思う方もおられるでしょう。その場合は、マニュアルができて数回程度はベテランと一緒にマニュアルを見ながらトラブル対処します。そこで、さまざまな課題が見つかれば、この場合はベテランに連絡、といった書き込みをマニュアルにしていけば良いのです。
徐々に一般的な要員ができるようになれば、それだけマニュアルが増えていくことになります。マニュアルが増えていく、ということは、それだけ作業が見える化しているということなのです。
マニュアルやチェックシートは人材育成にも利用していただきたいと考えています。また、それだけの使用ではもったいないです。
上記でも書いたように、良くあるトラブルをマニュアル化するということは仕事を効率化する時の最大の敵、トラブル対処をスムーズに行うことなのです。
そして、作業をマニュアル化していくことで、業務全体の見える化ができるようになります。見える化が起これば、次のような良い状況となっていくのです。
- メンバー同士、相手が何をしているのかがわかる(補完作業ができるようになる)
- 上司が部下の仕事量を把握することができる
- ムダな作業に気づくことができる(二重になっている業務など)
- 作業の順番を効率良くなるように変更することができる
- もっと効率化するようシステム化する時に役に立つ
顕著な効果は、1.と2.だと私は考えています。仕事をしているので、隣にいる同僚がどんな仕事をしているのか、したことがない仕事であれば、その忙しい時期や難易度はわかりません。こちらが忙しい時にじっと考えているようであれば、「あいつの仕事はヒマなんだ」という誤解が生じます。
でも、見える化していれば、その動作はムダではなく必要な作業だったとわかれば誤解は生じません。誤解が生じるのは人間関係に重要な影響を与えます。
また、上司が部下の仕事を把握するのも重要です。今の時世、上司がしていたころと今とでは同じ業務であっても作業内容が異なっている場合があるのです。今はヒマなはず、と思っていても部下は違う作業で忙しいかもしれません。もしくは本当に忙しいフリをしているだけかもしれません(笑)。
上司が正確な把握をするためにはマニュアルで作業の見える化を行うことが必要なのです。
マニュアル化、マニュアル化、というが、ウチの仕事はマニュアル化なんてできない、まごころが大事な仕事なんだ、と思われている方も多いと思います。接客業やコールセンター業など、対人の仕事は、毎日が突発的なタスクばかりです。そのマニュアル化なんて難しい・・・と考えていらっしゃる方も多いと思います。
ですが、本当に毎日すべての作業が違うものでしょうか?
問い合わせの中には必ず同じようなものがあります。それに対する回答も同じになります。
人材育成をする、というのは、まず作業をマニュアル化(見える化)しておいて、その作業をひとつひとつ習得させることなのです。そうすることで、社員は知識と技能を習得していきます。
しかし、マニュアルを作るのはとても大変です。しかも、マニュアルは一度作って終わりではなく、何度も修正を重ねる必要があります。そうでなければ、いつでも使えるマニュアルにはならないのです。
ただ、そのマニュアルを使えば、仕事を教えるのが簡単になります。教えられる人にとっても、マニュアル群を見て業務の全体構造から学べることになります。教育カリキュラムも作りやすくなります。目標が明確であれば、人は行動しやすいものです。
マニュアル作りについては、いずれまとめてお話したいと考えています。
明日は、人材育成で受けられるメリットその2、人間関係の構築についてお話します。
それでは、また明日。