人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

私が研修の設計にこだわるワケ

ビジネストレーナーの安部です。大分県で、研修プロデュースや人材育成の設計をしています。

 

先週、予告することなくブログを書き終えた後、しばらくブログのことを全く考えない日々が来ました。そうなってくると危機感が生まれてきます。このままブログは自然消滅するのではないのか・・・という危機感です。

 

別にひどく熱望していただくファンがいるわけでもなく、無名の素人のブログをそこまで続けなくても良いじゃない、という悪魔のささやき・・・

 

悪魔の言う通り、確かにブログにかかっている時間は相当数であり、負担に思っていることはありました。

 

そこで、私にとってこのブログは何だろう、と思うようになったのです。

 

私がしたいことは何なのだろう、という究極の質問を自分に投げかけると、私がブログを続ける意味が見えてきました。

 

今までは自分の仕事のプロモーション的な役割を与えていたこのブログですが、それよりももっと自分自身の内面を見つめて出てきた答えを書くことの方が良いのではないか、という考えが出てきたのです。

 

ブログは他人に読んでもらうものだから、独りよがりなものを書いてはダメだ、とブログ書き指南のサイトには書かれています。

 

でも、自分自身がどうして書きたいと思っている内容は、とても独りよがりなものです。だって、私という一個人が思っていることだから。

 

ま、そこは、無名の素人が書いたブログなんだから、炎上しないレベルのことを書けば良いか、と気を取り直して、再びブログ用のファイルを開きました。

 

今週は、私が個人事業主となって今の事業を始めたことについてお話ししたいと考えています。

 

トライアングル構造

そもそも研修や人材育成の設計って何?というところからですね。

 

私が「研修設計」という言葉を知ったのは、10年くらい前だったと思います。ぼーっとネットサーフィンをしていた時に「インストラクショナルデザイン」という言葉に出会いました。日本語に直すと「研修設計」ですね。

 

最初は単純な好奇心から本を1冊買いました。でも、その当時、人生で一番忙しい時期でしたので、とうとう読むことなく、いまだに私の机の前に陣取った状態のままです(苦笑)。

 

ただ、その中で、一番印象に残ったのは、「研修」に関わる人は三種類いる、ということ。

  • 研修の主催者(例:受講会社の経営者や人事担当者)
  • 研修の実施者(例:研修会社の講師・外部講師、社内講師)
  • 研修の受講者(例:受講会社の社員)

 

このトライアングルの関係がある、というのは、他の業界ではなかなかない構図です。通常、商品やサービスを売り買いする場合は、買い手と売り手しか登場しません。仲買人もそれぞれ買い手と売り手の立場をやり替えて対応しています。

 

私が考える中で、同じような構図になっているのは、子ども向けの商品やサービスです。通常、子どもは経済的にも物理的にも自分で購入することができません。保護者に買ってもらう、という構図です。商品やサービスの売り手、買い手である保護者、そして、商品の使用者もしくはサービスの受け手である子ども。ここはトライアングルの構図です。

 

そして、売り手は、子どもだけでなく保護者のニーズにも応える必要があります。でなければ、財布のひもは緩みません。

 

このトライアングルの構図であることから、研修を行う側は、研修の主催者である経営者や人事担当者の意向とともに受講者の意向もとらえる必要があり、ニーズのとらえ方が複雑だということを知りました。

 

f:id:ugrade:20171128223657j:plain

 

今まで行った研修でも、「(その研修を)受けたいんだけど、会社が(お金を)出してくれない」とか、「(その研修を)受けさせたいけど、社員の中に希望者がいない」といった声を何度か聞きました。両方のニーズに応える、という研修を考えるのは実はとても大変なことなのです。

 

衝撃の研修の効果測定

ニーズを考えて研修を作り上げるって、大変だなぁと考えている時、そのインストラクショナルデザインの中の一節に衝撃を受けることになります。

 

その時は、それがインストラクショナルデザインの中に含まれているとは知らなかったのですが、「研修効果測定」について書かれているコラムをたまたま目にしたのです。

 

それは、研修効果測定:カークパトリックモデル、研修効果の測定レベルを4段階で評価する理論です。カークパトリックという人が考え出したのですが、研修後に効果を測定する方法について書かれています。

  1. レベル1のリアクション(反応)
  2. レベル2のラーニング(学習)
  3. レベル3のビヘイビア(行動)
  4. レベル4のリザルト(結果)

 

レベル1のリアクション(反応)

 

研修後の受講者の反応を意味します。通常、アンケートで測定します。アンケートで、この研修を受けて満足しましたか?と聞かれると思いますが、それはここから出てきています。

 

レベル2のラーニング(学習)

 

研修後にテストを行って習得度合を測ることです。学校の中間テストや期末テストが代表例だと思います。社会人になってから、こんなテストはあまり見受けられませんよね。

 

レベル3のビヘイビア(行動)

 

研修後に受講者の行動が変容したかどうかを測ります。これは、ペーパーでの測定は難しいので、上司や部下、同僚などへのヒアリングやアンケートで調査します。

 

レベル4のリザルト(結果)

 

研修を受けたことによって会社や組織にどのような良い影響をもたらしたか、ということ。生産性の向上や品質の改善、利益率の増加など、会社の数値に現れることができるものです。

 

私が受けたカークパトリックモデルの衝撃とは、最後のレベル4のリザルトでした。

 

研修を行うのであれば、実施する会社はここまで求めるのが普通だし、当たり前のことです。

 

f:id:ugrade:20171128224204j:plain

 

でも、研修を行う側の会社は、ここまであまり考えていないです。「研修は言われた内容をすれば良い」「受講者の満足度が高ければ良い」という考えでは、本当の意味での研修ではない、という思いが私を今まで突き動かしているのです。

 

結果にコミットする研修を作りたいっ!

それから、研修をするのであれば、KPIに良い変化をもたらす研修を行いたい、と強く思うようになりました。

 

ただ、実践するのは、とても難しいことを感じました。

 

研修の関係者はその三者ともに研修後の成果にそこまで求めていないのです。

 

まず、研修を実施する会社の人達が、研修にそこまで求めないこと。続いて、研修を実際に行う講師がそこまで考えていないこと。最後に受講する受講者もそこまでしなければ、ということに気づいていないこと。

 

研修を実施する会社の人達(いうなれば経営者だったり人事担当者だったり)は、おそらく内心は求めていると思います。費用を払ってまで会社で行うのですから、求めて当然です。ですが、今まで、経営目標に変化をもたらすほどの研修に出会ったことがないために、求めることすらなくなってしまったのだと思うのです。

 

確かに一度限りの研修であったなら、経営目標に到達する研修を行うのは難しいのです。でも、研修を複数回行えば、何らかの良い影響をもたらすことがあります。

 

ただ、この複数回を単純に行っても無駄です。計画をもって、受講者の成長を見越して行うことが肝心なのです。

 

そして、受講者も経営目標を知ってから研修に臨む必要があります。そうすれば、講師に対する姿勢も変わってきます。受け身だけではなく自主的な受講となるはずです。

 

最後に講師です。

 

経営目標に到達するように研修を行うとなると、講師の責任は重大になります。そんな責任を講師一人が背負うのは、また到底無理だと考えています。

 

人材育成に関して言えば、その担当する分野はとても広いです。

 

そこには、通常の業務内の技術や知識も含まれますし、コミュニケーションや人間関係の構築などのヒューマンスキルも入っています。他の従業員の管理や経営に関するスキルも含まれています。これら全部を一人で担当できる人はいません。

 

だからこそ、講師は複数人抱える必要があるのです。

 

そして、講師はその得意分野で最高のパフォーマンスをすることで、研修効果を上げるしかないのです。そして、講師群をまとめて会社に研修による効果をもたらすように仕組み作りをするのが、経営者であり人事担当者なのです。

 

経営者や人事担当者の業務は、人材育成だけではありません。また、人材育成のエキスパートでもありません。だからこそ、そこに商機があると考えているのです。私は、この経営者や人事担当者の人材育成部門のアウトソーシングを受けることをしたいと考えたのです。

 

f:id:ugrade:20171128224911j:plain

 

さまざまな分野がある人材育成の分野で、どの部分をどのように伸ばしたいのか、というのは経営戦略の一つですから、ここは会社で考えていただくところです。ですが、その理想像に近づけるためにどのような方策を講ずれば良いのか、という部分に、研修設計という考え方はとてもピッタリとはまると考えています。

 

結果、ソリューションなんだよね

研修設計といっても、ソリューションなのです。問題解決なのです。

 

こうありたいという目標に向かって、現状を分析して、その対策を研修というツールを使って行うだけです。研修は講師が前に立って話をする講義形式や上司や先輩が横について指導するOJTまで様々な形式があり、その中でどれを選択すれば一番効果が出るのかを考えるのが、設計なのです。

 

設計はある意味計画書でもあるので、実施してみて、効果を測定してみて、効果の具合によっては改善していくというPDCAにも当てはまります。

 

顧客である会社の経営者や人事担当者の問題を解決するために、研修を設計し提供する、それが「人材を育成して強い会社を創る」サポートになるわけです。

 

あー、ここまで、いろんな人に口頭で話をした内容なのですが、文章にしたのは初めてです。書いてみて、ずいぶんと自分の考えがまとまった気がします。なかなか手書きでここまでの文章を書くのはつらいので、アナログでは書かなかったろうなぁ・・・

 

私はキーのストロークはわりに早い方(一応、IT企業出身者ですから・・・)なので、書くより、キーボードで打った方が早いのです。話すのとほぼ同じくらいかな・・・ただ、話すと後に残らないので、こうやって書いた方が断然読み返せるし、自分の目でも確認できてGoodかも。

 

次回は、金曜日あたりに更新予定です。「人材育成をしようと決めたワケ」です。

それでは、また。 

www.ugrade-japan.com