人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

悪い習慣をなくす教え方

もし、あなたの後輩が毎日遅刻をしてきているのなら、
どうしますか?

 

注意しても叱っても
精巧な時計を送っても
なかなか遅刻をすることが改善されません。

 

その人にとって「遅刻をする」ということが
習慣化してしまっているので、
どうしても遅刻をしてしまうのです。

 

さて、その遅刻の本当の原因は何でしょうか。

 

 

確かにギリギリまで寝ているパターンが多くあります。
夜更かしをしてしまうため起きられないというパターンです。

 

でも、原因は本当にそれでしょうか?

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他にも、トイレを出る時に電灯を消す、とか
出したものは片づける、とか
ちょっとしたことから重大なことまで
たくさんあります。

 

経費削減のために、トイレの電灯は必ず消すように
という申し渡しがあったはずなのに、
どうしてもつけっぱなしになっている。

 

工具を出したら出しっぱなしになってしまい、
何かをしようとすると工具を「探す」ことから始まる
といった状態になる。

 

工具でなくても書類だと当てはまる方が
多いのではないでしょうか。

 

航空機の整備者であれば工具が見つからない、
となれば、飛行機の出発が見送られる程
重大事項です。 

 

万が一、飛行機の内部に工具を忘れていたら
それが元で事故につながる、と考えるからです。

 

見つかるまでその飛行機は出発できない、
という決まりになっているそうです。

 

そのため、工具をしまう場所がきちんと決められており、
何がないのかが瞬時でわかるようになっています。

 

もし遅刻の常習者であっても、
彼氏・彼女のとの最初のデートの朝であれば
寝過ごすことはないでしょう。

 

デートへの遅刻は重大事項だからです。

 

ん?
会社に遅刻することは重大事項じゃないんか!

 

と怒る前に、少し考えてみましょう。

 

注意したり怒ったりしても
当事者の意識が変わることはありません。

 

意識を変えようと本人が強く思わない限り
変わることはないのです。

 

よく研修を注文される経営者の方が、
「社員の意識が変わるようビシッと言っていただきたい」
と言われますが、

 

他人の意識が変わるのは本人がそう思っていない限り
変わりません。残念ですが。

 

なので、遅刻をなくすには
「本人が意識を変えなくては」
と思うような説得をすることです。

 

上司からの説得で効かないのであれば、
本人の後輩が、遅刻するために
仕事を聞けずに困っているというように伝える、

 

問い合わせてきた顧客に迷惑をかけている、

 

といった事実を伝え、
本人の意識を変える必要があります。

 

本人が意識を変えなければ、と思ったら、
第一段階完了です。

 

これが、「動機付け」という作業です。

 

第二段階としては、
「定時に来ること」
を意識づけることです。

 

「遅刻をしない」という否定形ではなく
「定時にくる」という肯定形で考えるのです。

 

脳は否定形をとらえにくいそうです。

 

だからこそ、言葉で表現するのは「肯定形」を
意識します。

 

第三段階としては、
「定時に来ると、何か良いことがある」
ということを意識させます。

 

ギリギリでも定時に到着すれば、
上司は(最初は少し大げさ気味に)
褒めるのです。

 

同僚も「定時に来てくれると助かる」
といった言葉をかけます。

 

そうすれと本人の脳には、
「定時に来るとよいことがある」
とインプットされ、
自然とその行動を選択するようになるのです。

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注意点としては、
物品やお金を安易に与えない、
ということ。

 

例えば、「遅刻せずに10日間きたら、
手当を5,000円つけよう」
といったことはダメです。

 

5,000円をもらったら動機付けが完了するので、
次の日から、また遅刻がぶり返します。

 

物品やお金は持続を要するような習慣づけには
効果があまり期待できません。

 

なので、子どもに勉強させるために
ゲーム機を買う、といったことは
しないことが賢明です。

 

この手法は「行動分析学」という心理学の
考え方に基づいております。

 

行動分析学は、ある行動を行うと
良いこと(例えば褒められるなど、要は「アメ」)
悪いこと(例えば怒られるなど、要は「ムチ」)
という結果が起れば、その行動が続くようになったり
行動をしなくなったりする
といったことを研究する学問です。

 

悪い習慣をなくすには、
1.悪い習慣行動を行った後、いやなことが起こる、
2.悪い習慣行動をしないと良いことが起こる、
といった結果があれば、自然としなくなるのです。

 

そして、「2」のやり方の方が、
より強化されやすく、
その結果、悪い習慣がなくなっていきやすい
と言われています。

 

何か、簡単なことから試しにやってみると
良いかもしれません。

 

それでは、今日はこの辺で。