人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

人材育成の基礎は「信頼感」

チーム会社が発展するには
社長自身で人材育成をする必要がある
ということで、
これまでお話をしてきました。

 

今回は、人材育成の基礎は「信頼感」
というテーマでお話しします。

 

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

残念ながら、チーム会社は、
研修をするお金がない
研修をする時間がない
という理由で、研修という形での
人材育成はできません。

 

ないないづくし社員とは、
やる気がない、自分から動かない、といった
会社にとってダメージを与える社員

 

あるあるづくし社員とは、
常にやる気があって、
会社の業績をアップさせる行動力があり
自ら考えることができる社員

 

ただ、チーム会社には
あるあるづくし社員が入社しない
労働市場 で大企業へと流れてしまう

 

だからこそ、社長自ら人材育成をし
現在の社員をあるあるづくし社員へと
変貌させることが必要

 

人材育成の基本的な3つの流れ
1.現在の社員を良く観察する
2.将来の会社をどうするのか考える
3.今の社員をどう成長させるのか考える

 

これらを踏まえ、前回は、
人材育成の基本ということで
教える内容を3つの種類に分類し
それぞれの技術の概略について
お話ししました。

 

信頼とは何か

さて、人材育成の基礎は「信頼感」
ということです。

 

ただ、この「信頼」という言葉、
似たような言葉で「信用」があり、
混同されやすいので、
最初に言葉の意味についてです。

 

まず、信用です。

 

信用取引
信用を無くす

 

といったように信用という言葉は
ビジネスで良く使われます。

 

 

個人客であれば商品は現金と引き換え、
というのが当たり前ですが、
会社同士の場合は信用取引が普通です。

 

通常は、月末締め翌月末払いです。

 

ある製品を購入した場合、
1カ月分をまとめて月末時に
合計額を請求し、
翌月末に支払う、
ということです。

 

製品が現金化するのが1カ月後、
ということです。 

 

 

もし、この1カ月の間に
製品を購入した会社が倒産したら
現金はもらえなくなる可能性があります。

 

そこで、「信用」ということが
大事になります。

 

ある程度大きな会社になると
新規取引先の信用調査をします。

 

信用調査は、取引先の経営状況を調査して
1カ月後にキチンとお金が支払われるかどうか
を調べるのです。

 

もちろん、対社員でも同様です。

 

給料日に給料が支払われない、
となると大騒ぎになります。

 

勤めている会社への信用を無くしてしまうのです。

 

更に粗悪な製品を出荷した場合は
顧客からの信用を無くします。

 

食品偽装事件があったことを
記憶にある方もおられると思います。

 

そういった会社はなかなか信用を
得にくくなります。

 

信用はこのように
財産を含めた「価値」が関係した中で
「信じる」こと、ということです。

 

それに対して信頼は、
「価値」の部分がなくなります。

 

あの人は良い人だから
信頼するに足る人だ

 

信頼されたのだから信頼できる

 

といったように、
人と人とを結びつけるために
信じること、ということです。

 

明るくておおらかなのだけど、
おおらか過ぎて
小銭を借りたら返さない人がいるとします。

 

その人は、
単純に細かいことに無頓着なだけで、
人物的にはしっかりとして
仕事の成果は間違いがないとします。

 

そのような人に対して
信頼はするけれど、
信用はできない

 

といったことが生じてきます。

 

同じ信じるという意味であっても
信用と信頼とは
価値が関与するかどうかで
意味合いが異なるのです。

 

ここでは、信用というより
信頼に重きを置きます。

 

今から人材育成を行う上で
社長は社員から信頼されることが必要です。

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信頼されるとどうなるのか

講師として様々なところで話をしてきた経験で
講師になる時にまず重点的に言われたのが、
聴講者に信頼される講師になること、でした。

 

聴講者には、まず講師に対する信頼が必要です。

 

信頼されなければ、
いくら講師が良いことを話しても
聞いてもらえません。

 

信頼は
話を聞いてもらうための鍵なのです。

 

信頼がなければ
話を聞く前に耳に扉が固く閉じられてしまいます。

 

その扉を開くには鍵が必要であり、
それが信頼なのです。

 

聞く人の立場になって考えてみれば
すぐに理由がわかります。

 

皆さんが話を聞く際、
信頼できる人と信頼できない人の話、
どちらを聞く気になるでしょうか。

 

この人の話だったら聞いても良いな、
と思わせるのが信頼なのです。

 

人材育成も話を聞いてもらわなければ
何も伝わりません。

 

何はともかく、
信頼関係を築くことが一番重要です。

 

信頼関係がなければ人材育成のどんな技術を使っても
何の効果もありません。

 

なので、講師は最初の自己紹介で
話を聞くに値する信頼できる人材なのか
をアピールすることを叩き込まれます。

 

単純に自己紹介をするだけでなく
話を聞いてやろうか、
と思ってもらえることが大事なのです。

 

よって聴講者の年齢や性別、属性などは
事前に調査することになります。

 

小学生相手に
難しい単語を並べても
わかりません。

 

社名をクドクド言っても
理解してもらえません。

 

理解できないことを最初に話すと
途端に聞く気がなくなり、
隣の子同士でのおしゃべりが始まります。

 

高齢者相手でも
カタカナばかりの社名は通用しません。

 

このように
最初の自己紹介が重要ということなのです。

 

社長と社員の関係は
初対面ではないので、
自己紹介は不要です。

 

ですが、今までの関係性で
信頼関係が築けているかどうかが
重要になります。

 

社長のことを信頼していない社員ばかりでは
人材育成どころではないのです。

 

ただ、注意しておく必要があります。

 

社員は通常、社長の話は聞きます。

 

それは給料をくれる相手だから。
ただ、そこに信頼がない可能性があります。

 

社員であれば、
社長の話は必要最低限聞きます。

 

それは当たり前のことです。

 

話を聞いてくれるから大丈夫と
安心してはいけない、ということです。

 

話を聞いている「フリ」をしているだけです。

 

社長を信頼しているから
話を聞いてくれているのであれば、
社長の思うように会社が進んでいくでしょう。

 

ですが、どうもそうではない、
という場合は、
社員が社長のことを信頼しておらず、
聞いている「フリ」をしているだけ
ということが考えられます。

 

信頼関係ができていないな、
と感じるのであれば、
最初に信頼を築きあげることが必要です。

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信頼されるためには

では、信頼されるためには
どうすればよいでしょうか。

 

それは、
社員のことを信頼することから始まります。

 

そういうと
「社員のことを信頼できない」
と感じる社長がいます。

 

信頼して任せても
上手く仕事ができないから・・・

 

という理由がほとんどです。

 

お客様は怒らせてしまう、
とか
品質の悪い製品を作ってしまう、
とか
様々な理由で信頼できない、
と思うのです。

 

実は、
上手く仕事ができないから、
信頼できない、
のではなく、

 

それは、信用できない、
ということです。

 

仕事が関わると、価値が関わってきます。

 

売上だったり品質だったりと
価値が関わるのです。

 

会社は、
信頼と信用が混在してしまう環境にあります。

 

そこはキチンと分ける必要があるのです。

 

育成できていない社員は、
信頼するけれど、
信用できない
のです。

 

長年一緒に働いているので、
社員は暴力をふるったり
モノを盗んだりすることはなく
信頼できる人物であることは
わかっているはずです。

 

まず、信頼することです。

 

そして、どの部分が信用できないのか
をはっきりさせます。

 

その部分は育成できていない部分、
ということになります。

 

育成すれば、徐々に信用できる社員へと
変貌していくのです。

 

ただ、
「お前を信頼している」
といきなり言っても
社員は首をかしげるだけでしょう。

 

信頼されていない社長であれば、
「変なことを言い始めた」
くらいしか感じないと思います。

 

社員の中でも
信頼と信用を混同している人が多く、
勘違いをする人も出てきます。

 

それよりも、例えば
「○○ができるようになると助かるのだが、
教えるからできるようになってくれないか」
と持ち掛ける方が良いでしょう。

 

この場合、
社員からしてみると、
「自分は将来的に〇〇ができるようになる、と
信頼されている」
と感じるようになります。

 

この感じが重要なのです。

 

人は信頼されると
信頼してくれた人に対して
信頼するようになります。

 

言うならば
「期待」をかける
ということです。

 

期待される、
ということは、そこに信頼があるのです。

 

決して、
「○○ができないから信用できない」
と言ってはいけません。

 

そうすると、
その社員は近い将来退職してしまうでしょう。

 

期待を語るのであれば、
それは良い未来を語ることにつながります。

 

信頼していることを伝えるには
良い未来を語るように
伝えることが重要になります。

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まとめ

本日は、人材育成の基礎は信頼感、
ということでお話ししてきました。

 

まず、信頼と信用について
話をしました。

 

信用は価値の関与がある状態で信じることです。

 

信用を失うことは、価値を失うことです。

 

信頼は、その価値とは関係ないところで
信じることです。

 

人柄やその人の良い点を信じることです。

 

人材育成はこの信頼が重要です。

 

なぜなら、人の話を聞く気にさせるには
話す人に対して信頼が必要だからです。

 

話を聞いてもらえなければ、
人材育成のための話を聞いてもらえません。

 

信頼されるためには、
相手を信頼することが重要です。

 

信用と信頼をきちんと使い分け、
信頼していることを伝えるのです。

 

その際に、
良い未来を語り、
期待していることを表現すると、
自然と社長の信頼感は伝わります。

 

是非とも信頼関係を築き、
チーム会社の人材育成を行ってください。

 

それでは、今日はこの辺で。

人材育成技術の基本

チーム会社が発展するには
社長自身で人材育成をする必要がある
ということで、
これまでお話をしてきました。

 

今回は、人材育成の技術について
概略をお話しします。

 

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

ないないづくし社員とは、
やる気がない、自分から動かない、といった
会社にとってダメージを与える社員

 

あるあるづくし社員とは、
常にやる気があって、
会社の業績をアップさせる行動力があり
自ら考えることができる社員

 

ただ、チーム会社には
あるあるづくし社員が入社しない
労働市場で大企業へと流れてしまう

 

そのため、社長が人材育成をし
現在の社員をあるあるづくし社員へと
変貌させることが必要

 

人材育成は、
まず、現在の社員を良く観察する
必要がある

 

そして、将来の会社をどうするのか
考えた後に今の社員をどう成長させるのかを
考えていく必要がある。

 

こういったことをお話ししてきました。

 

人材育成の技術

さて、人材育成の技術は
大きく分けて3つあります。

 

  1. 技術・知識
  2. 仕事そのもののやり方
  3. 人との関わり方

 

何を学ばせるかによって
人材育成の技術の3種類のうち
いずれかを選択します。

 

1.技術・知識

入社してすぐの社員や
若手社員に対しては
会社の業務そのものをやっていく上での
技術や知識が不足しているでしょう。

 

彼らを育成したい場合は、
技術や知識の伝授が必要です。

 

技術の伝授については
伝統的な教え方が今でも主流です。

 

徒弟制度があった時代、
師匠と弟子、という関係性の中
師匠が技術を見せて
それを弟子が見て真似て覚える、
という構図です。

 

 

技術は体得、つまり
体で覚えていく必要があるため、
繰り返し練習することが必要です。

 

そのために、
まずは真似る、
同じ動作を繰り返す、
少しずつ自分らしく変化させる、
自分なりに技術を高めていく
といった「守破離」の構造となります。

 

知識においても同様です。

 

一度に覚えることは限りがあるので
順番に少しずつ知識の範囲を広げていく
手法です。

 

ここは学校方式が一番最適でしょう。

 

これらの教え方は
比較的わかりやすいですし、
想像つきやすく、実践しやすいでしょう。

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2.仕事そのもののやり方

仕事そのもののやり方は
業種や会社によって異なります。

 

毎日、ほぼ同じことを行うような
業務であれば、
1.技術・知識で
お話ししたような教え方で十分です。

 

ですが、そうではない仕事の場合は、
仕事そのもののやり方を
教える必要があります。

 

例えば、「納期」がある仕事。

 

納期までに品質の良い製品を納品する
といった仕事の場合、
納期ギリギリに切羽詰まって
仕事を追い込まなくても良いように
管理していく必要があります。

 

例えば、家を建てる、
といった仕事の場合です。

 

同じ家を同じ大きさの敷地に建てる
というのであれば、大きな問題はないでしょう。

 

ですが、一軒一軒、土地の大きさも異なり、
建てる家も異なるのであれば、
簡単に建てられるものではありません。

 

言うなれば、
「段取り」というものが必要です。

 

納期まできちんと品質保証できた製品を
お渡しすることができるよう
前もって準備をしておくことです。

 

「段取り」という言葉で検索すると
さまざまな記事が出てきます。

 

また、本もさまざまな形で出版されています。

 

それだけ重要なことなのに、
実は学校ではあまり教えられておらず、
知らないことが多いのです。

 

ある程度年齢を重ね、
仕事を長年やってきた方でも
今までと異なる仕事になると
何もできなくなるケースがあります。

 

どんな場合でも段取りをする力がないと、
仕事でつまづくことになります。

 

こういった場合は、
社員一人ひとりのプロセスを確認しながら
指導していく必要があります。

 

育成する社員の経験値にもよりますが、
全くの新人であれば、日に2回、
朝と昼休み直後、もしくは終業時間直前などに
仕事の進捗具合や今後の進め方について
10分でも良いので話しあうのです。

 

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仕事が降ってきたら、
がむしゃらに取りかかるのではなく、
優先順位を考えて、
段取りを考えて、
仕事をする方が効率的ですし、
効果的です。

 

それらの手法については、
仕事を任せるだけでは
絶対に身につきません。

 

社員個人が気づいて修正しながら
自分なりに育っていく、
というのを期待すると
数年、数十年かかります。

 

3.人との関わり方

人との関わり方は
今までの人生経験の中で
ある程度身についているはずです。

 

ですが、
希望する研修の中で
コミュニケーション
が意外と多かったりします。

 

人との関わり方というのは
ほぼ100%コミュニケーションです。

 

例えば、
連絡・報告・相談と言われるものが
適切な時期に適切に行われているか
と聞くと、
首を横に振る社長が多いです。

 

連絡・報告・相談のタイミングがわからない
という嘆きも多く耳にしてきました。

 

そんなに難しいコミュニケーションではないのに
わからない、という人が多いのが現状です。

 

これでは上手に人と関わることは
難しくなってしまいます。

 

これらを学ばせるためには、
「話し合う」ことが必要です。

 

会議ではありません。

 

会議で育成できるのであれば、
それに越したことはありませんが、
通常はなかなか育成できません。

 

会議は複数人が一同に会するので、
なかなか言葉が出ない人、
見栄の方が優先して良いことしか言わない人
といった人が出てきます。

 

そうではなく、
社長と1対1の面談を行うのです。

 

この面談を最近では

1on1(ワン オン ワン)

と呼んでいます。

 

面談なら、半期に1回やっている
という会社は多いでしょう。

 

評価面談ですね。

 

私の言う面談は
評価面談ではありません。

 

少なくても週1回程度、
30分程度の面談を行います。

 

本来なら社員が面談テーマを決めて
面談に臨むのですが、
そこまで育成できていないのが現状でしょうから、
社長の方から面談テーマを決めておきます。

 

テーマは何でも構いません。

 

ただ、テーマを
「現状、困っていること」
といったアバウトなものにしてしまうと
「今は何も困っていません」
という返答しかないでしょう。

 

なので、最初は、
2.仕事そのもののやり方の
内容をここへ持ち込んでも良いでしょう。

 

その社員の夢を聞く、
というものでも良いでしょう。

 

個人的な夢でも構わず聞いて、
それを形にするために
一緒に考えよう、
というスタンスで話を聞くのです。

 

社員の意外な一面を垣間見ることになるでしょう。

 

 ここでの問題は
社長一人が30分話さない、ということです。

 

社長業を長くやっていると
自分の想いが強くなり、
つい他人を前にすると
自分の事を話してしまいがちです。

 

社長の面談ではないので、
あくまで主役は「社員」です。

 

社長は聞き手に徹します。

 

そのうち、社員の方から
仕事上の悩みが相談されるようになれば、
その社員の育成に大きく関与していくことに
なるでしょう。

 

そんな時でも
社長がアドバイスして終わりではなく、
一緒に考えようの態度は変えてはいけません。

 

社長よりも、
もっとうまくやっている社員がいるなら、
話を聞いてみることを勧めてみるなど、
回りを巻き込むことも必要です。

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人との関わり方ができないと仕事ができない

仕事は基本的に一人だけで完結することはありません。

 

自分でモノやサービスを提供し、
誰かから対価をもらうことで
仕事は完結します。

 

自給自足の生活であれば、
人と関わる必要はないかもしれませんが、
今の世の中、完全なる自給自足はありません。

 

水道・ガス・電気といったインフラ系は
サービス業者が必要です。

 

また、一人で牛を育てて
その肉をさばいて食べる、
といったことも無理でしょう。

 

誰かと一緒に何かをすることができる、
ということは、とても重要なことなのです。

 

チームスポーツ経験者であれば、
チーム(同僚)に貢献するという意識を
持っているでしょう。

 

ただ、会社で働く場合は、
チームに貢献だけすれば良いわけではなく、
「顧客」の存在があります。

 

その分、人間関係が複雑になってます。

 

人材を育成することの本質は、
その人材がちゃんと自分の足で立ち、
その目で相手を見つめ、
その心で相手を認めることができるようになる、
というものだと私は考えています。

 

もっと抽象的な言葉で言うならば、

 

自分自身に等身大の自信を持ち、
相手の立場を想像して
相手と相互的に関係性を持つ、
ということです。

 

そのためのツールとして「言葉」があり、
「表情」や「行動」がある
と思います。

 

ただ、意外と、
等身大の自信を持つ、
相手の立場を想像する、
相互的に関係性を持つ、
というのが難しいのです。

 

自信を持ちすぎて「尊大」になったり、
自信がなさ過ぎて「消極的」になったり
している人はたくさんいます。

 

また、「想像する」というのは
ある意味テクニックが必要です。

 

その上で、お互いに関係性を保つ、
というのは相手も同様のことができることが
求められます。

 

そこで、まずは社長との関わり方を
どのようにすれば良いのかを学ばせる、
という意味で、
面談という方式をご提案しました。

 

関わり方が苦手な方はもちろん、
関わり方が得意だと思い込んでいる方も
修正していくために
社長との関わり方を学ばせていくのです。

 

人材育成にかかる時間

人材育成にはある程度の時間はかかります。

 

人が育成されていく過程には、
「気づく」
「考える」
「課題を見つける」
「試みる」
ということを繰り返していく必要があります。

 

気づくには、
気づくために外からの刺激が必要です。

 

今まで通りで何事も変化ない状態では
余程のことがない限り、
気づけません。

 

そのきっかけが
社長との面談です。

 

気づいていない社員には
気づかせることから始めます。

 

そして、
「考える」
「課題を見つける」
に慣れていない社員であれば、
一緒に考え、課題を見つけます。

 

最後に
「試す」まで行けば、
フィードバックをしてあげます。

 

試したことに対して
社長自身のコメントです。

 

良かった、悪かった
だけではなく、どの部分が良かった、
と詳細にコメントした方が
育成効果は出ます。

 

人材育成は、
そういったステップを踏むために
即効性はありません。

 

また、せっかく前に進めても
ちょっとしたことで後退することもあります。

 

でも、ゼロまで戻ることはありません。

 

ただ、たまに
突然、大きく進化することがあります。

 

突然
「わかった!」
となるのです。

 

これは本当に不思議で、
私も何度か体験しました。

 

いきなり受講者の方の目がキラキラと輝き、
「ああ、わかりました!」
と叫ぶのです。

 

おそらく今までの経験と
学んでいる内容が
結びついた瞬間なのだと思います。

 

それに至るには、
育成をし続けているしかないのです。

 

育成をしていなければ
「わかった!」も絶対にありえません。

 

人材育成は前向きに、
一歩ずつ進むしかないのですが、
こういう時もある、と言い聞かせながら、
行っていくのです。

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まとめ

今回は、学ばせる内容に応じて
どのように育成していくのか、
それぞれの手法について
概説してきました。

 

1.技術は繰り返して体得させ、
知識は徐々に範囲を広げながら学ばせる

 

2.仕事そのもののやり方は、
面談でプロセスを確認しながら、
学ばせる

 

3.人との関わり方は、
面談を基本し、話し合いをさせながら、
学ばせる

 

人材育成は時間がかかりますが、
育成する側が前向きに行動し続けることが
とても大事である、
ということもお話ししました。

 

それでは、今日はこの辺で。

社長が考える「あるあるづくし社員」は

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

ないないづくし社員とは、
やる気がない、自分から動かない、といった
会社にとってダメージを与える社員

 

あるあるづくし社員とは、
常にやる気があって、
会社の業績をアップさせる行動力があり
自ら考えることができる社員

 

ただ、チーム会社には
あるあるづくし社員が入社しない
労働市場で大企業へと流れてしまう

 

そのため、社長が人材育成をし
現在の社員をあるあるづくし社員へと
変貌させることが必要

 

そのために現在の社員を良く観察する
必要がある

 

こういったことをお話ししてきました。

 

今回は、
社長が考えるあるあるづくし社員像について
お話ししていきます。

 

1.会社の今後はどうですか?

あるあるづくし社員像を考える前に
まずは、現在の会社の今後を
考える必要があります。

 

なぜなら、社員を育成しても
会社の将来とは合わない状態になれば
会社も社員も不幸だからです。

 

現在の事業を同じ規模で続けますか?

 

規模はどんどん大きくしたいですか?

 

新しい事業を始めますか?

 

ノーアイデアだけど
会社に変化をもたらしたいですか?

 

人材育成は会社の将来像が決まらなければ
育成計画そのものが成り立ちません。

 

ここで注意すべきことがあります。

 

良くある事例として
現状を突破するアイデアを新事業として
立ち上げたい、
現状を変化させて会社を発展させたい
といったものです。

 

そういった事例の場合は、
イデア豊富な社員へと育成する必要があります。

 

ところが、こういった社員育成は
少しだけ時間がかかります。

 

今すぐに変化をもたらす人材にはならない
ということを頭においておく必要があるのです。

 

イデアを出す、
だけであれば、おそらく現状でも可能です。

 

ブレーンストーミング手法を使えば
とりあえずアイデアは出ます。

 

ただ、そのアイデアを否定する人が
必ず存在するのです。

 

「そんなアイデア、つまらん」
「もっと現実的なアイデアを出せ」
という人です。

 

残念ながら、社長自身が
そういう人になるパターンがあります。

 

そうなれば、アイデアは絶対に生まれません。

 

イデアを出して
それが新事業になるには、
最初の段階として
自由にアイデアを出せる「雰囲気」が
必要なのです。

 

この雰囲気が実は大変なのです。
ここでいう雰囲気は、
「社風」とか
「組織内の暗黙のルール」
とか言われているものです。

 

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実は、人には「思い込み」があります。

 

特に経験豊富な人ほど
経験に基づいた「思い込み」があるのです。

 

そういった人たちが
「そのアイデアは荒唐無稽すぎる」
「現実的ではないだろう」
「今まで成功した試しがない」
「昔も同様のことをやったが、無理だった」
といった風に否定してくるのです。

 

その思い込みが
イデアを全否定するわけなのです。

 

そして、社内の雰囲気を悪くしてしまいます。

 

否定された方は気分を害します。
否定した方も「ヤツは何もわかってない」
と憤慨します。

 

 

せっかくアイデアを思いついても
否定されれば、
それを外に出そうとは思いません。

 

その思い込みを打開するには
コツが必要であり、
多少時間がかかります。

 

この前準備ができていなければ
いきなりアイデアを出し合って
新事業を立ち上げる、
といったことは不可能なのです。

 

ある程度の時間がかかっても
新事業を行いたい、
というのであれば、
じっくり取り組む必要があります。

 

ですが、時間があまりないのだが、
現状を打開したい、という場合は、
比較的若い社員から人材育成を行うことを
おすすめします。

 

どうしても年齢が高くなれば
今までの経験から新しいことを
生み出しにくくなります。

 

人は、自分が変化するのを好みません。
が、周りが変化してくれるのは好みます。
(ただし自分に都合の良い変化のみです)

 

ただ、経験値が浅い若い社員は
今までの自分ではダメだ、
という思いを持っていることが多いため、
育成すれば大きく変化する可能性があります。

 

あくまでも可能性です。

 

中には60歳代でも素早く大きく変化する人もいます。
ただ、その確率が低いだけなのです。

 

もし、社長の心の中で
60歳代だけど、こいつは変化しそうだ、
と思われる方がいらっしゃれば
その方を中心に育成すると良いでしょう。

 

そして、会社の今後も
大きく変化させるよりも
今の現状から少しだけ伸ばす
というような計画にした方が
早く実現します。

 

その会社の伸ばす方向性によっては
社員の育成目標が変わってきます。

 

会社の伸ばす方向が決まれば
人材育成の方向が決まります。

 

そこで、
こんなあるあるづくし社員像が良いな
と考えることになります。

 

2.誰を育成しますか?

さて、会社の将来像はある程度でき上がれば
あとは、誰をどのように育成するのか
ということになります。

 

一遍にすべてが良くなるようにはできません。

 

ただ、チーム会社の良いところは
人数が少ない、
ということです。

 

それだけ人材育成の効果が
顕著に現れてきます。

 

大企業の場合は、
人数が多い分、効果が限定的ですし、
研修をやるにしても
一部という訳にもいかず、
結局全体を通して同じ研修、
となりがちです。

 

これでは研修の効果は半減以下です。

 

ですが、チーム会社の場合は
一人ひとりに着目して
一人ひとりに育成メニューを組み立てます。

 

その分、効果が出やすくなります。

 

誰に対して育成を行うのか
ということが決まれば、
その社員の現状と将来像を考えます。

 

そこまでできたら、
ようやく社員そのものと話すことになります。

 

社員が育成されることを納得しなければ
思うように育成できません。

 

その社員と1対1で面談をします。

 

その時、社長の思いを伝え、
どのように成長してほしいかを
キチンと告げるのです。

 

そう難しいことでなければ、
告げただけで
その社員は変わるでしょう。

 

少し練習が必要であれば、
失敗した際のフォローについても
十分に話しておく必要があります。

 

そして、
社員全体にもその社員に対して
育成を行うことを
伝えます。

 

中にはその社員だけ
「特別扱い」
をしていると誤解する社員も出てきます。

 

だからこそ、
忘れてほしくないのは
「全員が人材育成の対象である」
ことを明確に伝えることです。

 

社長の人材育成の計画の全体像を
話しても良いでしょう。

 

目標ができると、人は動きやすくなります。

 

時差があっても
全員に大きく育ってほしい、
という社長の思いを
キチンと告げるのです。

 

これを言わない社長がいます。

 

そんな社長は、
「言わなくてもわかっているだろう」
という思い込みをもっています。

 

大事なところなので
是非とも理解してほしいです。

 

わかっているだろうと思っても
キチンと言葉で伝えることが
一番大事です。

 

実は、
言葉だけでは一度に伝わりません。

 

なので、
何度も言葉を変えて伝えることが
重要です。

 

そして、伝えたことを
体現することです。

 

社長自身が行動で示すことです。

 

それで、徐々に
社員全体に社長の思いが
伝わっていきます。

 

一度言ったから
とか、
もうわかっているはず
とかは厳禁です。

 

社長の真実の思いは
何度も言って、
なおかつ、
行動で示さなければ
伝わりません。

 

人材育成が成功するために
是非とも押さえてほしいコツです。

 

3.どのように育てますか?

社長の考える「あるあるづくし社員」像は
おそらくかなり抽象的だと思います。

 

前項で何度も言って、
行動で示して、
と申し上げましたが、

社員たちが、
おそらく正確に理解できる可能性は
ゼロに等しいでしょう。

 

社員の将来像なんて
具体的に考えられるのは
かなり慣れてからでしょう。

 

おそらく慣れたとしても
なかなか具体的には考えにくいと
私は考えています。

 

ただ、それを一生懸命考える
社長が
社員から見て一番刺激になるのです。

 

今まで会社の事業を
社員は変わりなくやり続けてきたけれど、
会社の今後のことを
真剣に考えている社長を見れば
何か良い方向に変わるかもしれない、

 

そんな良い影響を与えることが
できるのです。

 

社長が発する言葉が
抽象的すぎて
良くわからなくても
何かを変えようとする
熱い思いは伝わります。

 

そして、
言葉を尽くして話し、
体現していくことで、
社員には
こんな感じなのかな、
と自然と伝わっていくでしょう。

 

そのためにも
社長自身が「変わる」ことです。

 

前にもお伝えしましたが、
社長自身が
「あるあるづくし社員」となることです。

 

完璧にできなくても結構です。
雰囲気さえ伝われば良いのですから。
完璧な人間はいません。

 

ただ、社長は変わろうと
努力している
キチンと学ぼうとしている
という姿を社員に見せることが
大切なのです。

 

そうした姿は
組織の雰囲気を変貌させます。

 

先に書いたように
イデアを速攻否定する雰囲気ではなく
イデアをさらに膨らませて
実現可能にさせる雰囲気へと
変貌するのです。

 

言うなれば、
社長が考える
あるあるづくし社員は
社長そのもの
なのです。

 

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4.あるあるづくし社員の発展形

あるあるづくし社員が
社長そのものである
と言っても、

 

他の社員が同様になれば、
それは社長のコピーではありません。

 

社長と異なる人が
社長同様の人になろうとしても
コピーには絶対になりえません。

 

そこには全く違う要素が入り込みます。

 

それを伸ばすことが肝要です。

 

それで会社内に「多様性」が生まれます。

 

そうすることで
あるあるづくし社員の発展形が
形成されます。

 

一人ひとり、
あるあるづくし社員の発展形となった
社員が会社の中で育成されてくるのです。

 

多様性というと面倒だ、
と思う方がいらっしゃいます。

 

一人ひとり異なるわけですから
管理がしにくいでしょう。

 

ですが、
違うことは良いことなのです。

 

違うことは対立を生みますが、
違うことは発想を豊かにします。

 

工夫ができる会社へと変わるのです。

 

そして、多様性があっても
根本的なところは変わりません。

根本的なところは
社長の会社への思いです。

 

そこで、始めて
ワンチームになるのです。

 

人材育成は、全く異なる人材へ
育てるのではありません。

 

まずは、社長の思いを汲み取った
社員にすることです。

 

それには、社長の思いを
あらゆる方法を使って
表現することが肝要なのです。

 

5.まとめ

今日は、社長が考える
「あるあるづくし社員」像、
というテーマで話してきました。

 

まずは会社の方向性を決める、
続いて最初は育てやすい社員を
選んでいきます。

 

そして、社長の思いとともに
社員に対して語り、
体現していくのです。

 

正確性を求めたい、
と思っているのに、
社長自身が正確性を求めなければ、
人は育ちません。

 

体現することが重要です。

 

社長の話を聞いて
社長の行動を見て
社員は学んでいきます。

 

学ぶということは
「まねる」
からきているそうです。

 

だから、社長の真似をします。

 

でも、絶対にコピーではありえません。

 

その社員の良さが十分に発揮できる
あるあるづくし社員の発展形へと
変貌していくでしょう。

 

さて、これまで、
人材育成の心がまえ、
人材の現状の把握
将来の人材像
という観点からお話ししてきました。

 

これからは人材育成を実際について
お話ししていきます。

 

それでは、今日はこの辺で。

現在の社員の状態を把握する

さて、今回から人材育成の実際について
お話ししていきます。

 

チーム会社のような
スポーツチームを構成する人数の会社では
なかなか研修を行うだけの予算と時間がない
というお話を以前よりしてきました。

 

だからこそ、
社長(もしくは上司)が
人材育成を行う方が良い、
と私は考えています。

 

ですが、どうしても人に何かを教える
ということは学校では学びませんし、
人材育成に力を入れてきた会社に
以前勤めていなければ
どうして良いのかわからない、
というのが実情でしょう。

 

人材育成にも基本があります。

 

それは、手順を以下のようにすることです。

 

1.現在の状態を把握すること

2.将来の人材像を明確にすること

3.現在の状態を将来の人材像にするための
 育成法を決めること

 

本日は、現在の状態を把握することについて
お話ししましょう。

 

1.現状の状態の把握とは

別に現在の社員の学生時代の成績などを
調べるわけではありません。

 

あまり学歴には関係ありません。

 

学歴に関係なくても
学ぶことについて上手い人は存在します。

 

それよりも
現在、その社員に対して社長が
どのように感じているのか
を調査します。

 

この社員に対しては
信頼がおけるので、
いろいろ仕事を任せている

 

とか

 

この社員はなかなか覚えが悪いので
常にチェックが必要だ

 

とか

 

普段、一緒に仕事をしている間に
感じることがあると思います。

 

それらを「見える化」していくのです。

 

つまり、メモを取っていくのです。

 

感じている、思っている
だけでは、なかなかうまくいきません。

 

まずは、見える化
とても重要なのです。

 

一人の社員に対して
複数個、できれば数十個のメモがあれば
良いでしょう。

 

それだけ、社長自身が社員のことを
ちゃんと見ていることになります。

 

十数個くらい、十個にも満たない
という場合は、
改めて社員を良く観察してください。

 

現状を把握する、
ということは、こんなところから始まります。

 

人間は一面的ではありません。

 

通常であれば、いろいろな面を見せています。

 

感情の現れ方や
考え方など
千差万別であり、
一人ひとり異なっています。

 

それらをつぶさに見ていきます。

 

かなり大変な作業です。

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ある程度の人生経験がある社長であれば
それなりに人の分類ができているでしょう。

 

例えば、
いつも冷静なタイプ
感情的なタイプ
人懐っこいタイプ
といった風にです。

 

社員を何となく
その分類に当てはめて
日頃見ていることも多いでしょう。

 

ですが、この現状把握には
分類をし直すくらいの気概で
望んでほしいのです。

 

あ、あいつにはあんな面もあったのか
と思うことが多い方が、
この後、うまくいくのです。

 

2.できていることの把握

現状の把握の際、
往々にして良くあることが
「できないこと」がピックアップされる
ということです。

 

人材育成をしよう、
と思っている社長であればこそ、
できないこと自体に目が向きやすくなります。

 

そうではなく、
「できていること」
にも目を向けてください。

 

社員歴十数年だから
「できて当たり前」
ととらえるのではなく
「できていること」
を一つずつ取り上げるのです。

 

大ベテランだが、
後輩に教えるのが上手い、
といったことでも良いです。

 

営業成績はあんまり良くないが、
お客さんのファンは多い、
といったことも取り上げます。

 

このできていることは
何故できるようになったのでしょうか。

 

「努力」や「性格」といった言葉だけで
済ますことなく、
「毎日トレーニングした」
「いつも笑顔でいるようにしている」
といったことまでわかるのであれば、
メモをしておきましょう。

 

わからなければ、
今後、本人に聞いていく項目として
印をつけておきます。

 

※ここでいきなり聞いても
なかなか答えてもらえない可能性があります。

 

3.信頼関係を構築すること

この現状を把握すること自体、
人材育成の基本になることなので
とても重要なことだと申し上げました。

 

実はそれだけではないのです。

 

社長自身の社員のとらえ方に関して
「お、ウチの社員、意外とできるな」
と思うようになっていただきたい、
というのがあります。

 

というのは、
どうしても日頃は「できない」部分ばかり
目につきます。

 

だからこそ、
ないないづくし社員ばかり
と嘆くことになるのです。

 

ですが、今まで会社を支えてきた社員ですから
それなりに「できている」はずなのです。

 

改めてその現実を把握していただきたい
ということもあります。

 

この次の作業としては
会社としてのあるあるづくし社員を
作っていくわけですが、
その作業は夢を描く作業である分、
無鉄砲な方向へ進む可能性があります。

 

社長が理想の社員を思い描く時、
スーパーエリート社員のような
現実的ではないイメージを
言われる場面に多く遭遇しました。

 

そんな人材は普通いませんよ
と言いたくなるような人材像です。

 

現実をまず把握することで
あんまり現実とかけ離れた
夢のような人材を求めるのではなく
人間味を帯びるようになります。

 

そして、最も重要なことがあります。

 

それは、
社長と社員との間に
「信頼関係」を醸成することです。

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人材育成には信頼関係は欠かせません。

 

皆さんも体験されたことがあるかと思います。

 

怪しい雰囲気だったり
何か虫が好かなったりする講師の話は
真剣に聞こうという気が起こらないでしょう。

 

全く初対面の講師の場合は、
まずは聞いてもらえるようになるために
研修の冒頭部分は非常に重要です。

 

この人の話は聞いてみようかな、
と思わせることが重要なのです。

 

これから人材育成をしていくには
信頼関係が必要なのです。

 

社長と社員の間だから
信頼関係ができているはずなのですが、
これが意外と難しい場合があります。

 

そのためにも
「できていること」のメモが
活かされてきます。

 

この社員は意外とできている
と感じた社員に対して
社長として
「信頼できる社員」と
思えるようになります。

 

信頼関係がない、と感じた場合は、
その社員をまず「信頼する」ことが
スタートなのです。

 

そのためには、
社長の中で「信頼するに足る社員だ」
と思わせる事実を
手にすることです。

 

信頼することについて、
もっと具体的なコツは後日お伝えしますが、
現在の社員を信頼するためにも
「できている」ことをきちんと
把握してください。

 

ただ、これができているから
助かっているよ
という社長からのメッセージは
社員にとって「承認」になりますが、

 

社員が社長を信頼していない場合は
逆効果になる可能性があります。

 

信頼関係が築けていると感じたら
承認メッセージは有効ですが、
そうでない場合は、
不信感を募らせるだけです。

 

是非とも気をつけてください。

 

4.まとめ

現状の把握について
お話ししてきました。

 

まず、社員一人ひとりについて
感じたこと、思ったことのメモを取る

 

そのメモは一人につき
数十個が理想である

 

「できていること」もメモに取る

 

そのメモが信頼関係を築くことになる

 

といったことをお話ししました。

 

ここで、一つ不思議に思われませんでしたか?

 

現状の把握で、社員に対して
何も聞いていない、
ということです。

 

社員に思っていることや考えていることを
聞くのではなく、
社長自身が感じたことを
ピックアップしています。

 

ここは、人材育成の準備段階にすぎません。

 

社員に聞いても
聞いた事柄が社長の考えとズレていれば
チーム会社として進みづらくなります。

 

それよりも
まず社長としてどんな人材にしていくか
という計画をしている段階なのです。

 

実際に育成に入ってから、
社員の考えや思いを聞いていきます。

 

ですから、今社長がメモをした
社員に対する感じたことは
あくまで社長個人の感じ方です。

 

ですから、これから
社員の話を聞いていけば
もっと変わっていくはずです。

 

ですから、今感じたことが絶対、
ということは思わないようにします。

 

変更可能な要素がたくさんある
ということなのです。

 

人は変わっていきます。

 

ですから、「絶対」ということは
あり得ません。

 

ということで、
次回は
会社にとってのあるあるづくし社員
についてお話ししていきます。

 

それでは、今日はこの辺で。

人材育成をする前の心がまえ

今の社員は、
あるあるづくし社員ですか?
それとも、
ないないづくし社員ですか?

 

これらの言葉についてはそれぞれ
以下を参照ください。

あるあるづくし社員で会社を盛り上げる - 人材育成の道すがら

困る「ないないづくし社員」 - 人材育成の道すがら

 

ないないづくし社員であっても
社長(もしくは上司)が成長させれば
変化が訪れます。

 

今日は、社長が人材育成する際における
心がまえについてお話しします。

  

1.人材育成の基本

これまで人材育成を行ってきた方にとっては
当たり前のことかもしれませんが、
人材育成の基本について
まずは押さえておこうと思います。

 

人材育成は、やろう!と考えて
すぐに行動に移す方がおられます。

 

その行動とは、
「研修会に出す」
「説教をする」
などです。

 

確かに行動することは重要ですが、
人材育成をする前に
やっておくべきことが3つあります。

 

1つ目は、
現在の状態を把握することです。

 

2つ目は
将来どのような人材にしたいかを
明確にすることです。

 

3つ目は、
現在の状態を将来の人材像にするために
どのような育成を行うのかを
決めることです。

 

現状を把握して
将来を明確にする、
現状と将来のギャップを埋める
解決手法を導き出す。

 

これは、課題解決の手法と同じです。

 

人材育成も課題解決なのです。

 

問題なのが、
社員一人ひとりのレベルが異なり、
成長度合いも
育成させる手法も異なる、
ということです。

 

Aさんでうまくいった手法でも
Bさんでは使えない可能性があります。

 

また、同じ社員であっても
時期によっては異なる反応を示します。

 

成績が落ち込んでいる時と
大型案件を受注したばかりでは
同じ社員でも気持ちの持ちようが変わります。

 

そして、人は
日々変わっていきます。

 

ちょっとした一言で
急にやる気をなくしたり、
ちょっとしたトラブルで
ふさぎこんでしまったり
します。

 

そんな人間を成長させるためには
育成させる側の心がまえが重要です。

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2.育成の心がまえ

私は、将来の人材像を
「あるあるづくし社員」と
名づけました。

 

言うなれば、自立した
イデアと実行力に富んだ人材、
というべきでしょう。

 

社長が不在でも、
バリバリと仕事をして、
業績を上げられる人材。

 

そのようなイメージをされても
そう違ってはおりません。

 

ですが、このような人材を育成するには
育成する社長の側にも心構えが必要です。

 

それは、社長自身が
「あるあるづくし」であること
です。

 

具体的にどういうことか
みていきましょう。

 

1)気持ちをサッと切り替える 

毎日やる気に満ちた社員を求めるなら
ご自身も毎日やる気に満ちた社長である
ということです。

 

社長自身がやる気がみえないのに
社員にやる気を持て、
ということ自体が無理です。

 

社員は社長をよく観察しています。

 

ですから、少しでもやる気のなさを見せたら
社員のやる気もなくなってしまう、
と思っておいてください。

 

ただ、
人間ですから多少の感情の波風があっても
仕方ありません。

 

ですが、
ネガティブな言葉を言い続けたり
しないことの言い訳を言い続けるようなことは
できる限りしないようにします。

 

大きなトラブルが発生して
会社の存続が危ぶまれるような事態となっても
周囲の責任を追及するのではなく

 

自分の至らなかったところや
この試練をどういう方向性で切り抜けるのか
といったことを話すようにします。

 

そして、
気持ちをサッと切り替えるよう
心がける必要があります。

 

もし、社員が失敗をして
カッとなってしまっても
感情的に怒鳴り散らさないようにします。

 

「怒る」と「叱る」は
明らかに異なります。

 

どうしても「怒りたい」時は
怒った方が良い場面かどうかを判断して
ドーンと一発怒鳴ってください。

 

一発だけです。

 

その後は、カラリと態度を変えて
冷静に行動することが重要です。

 

怒った方が良い場面とは
相手の社員が怒られることで
気持ちがリセットされる
ということがわかっている場合です。

 

相手との信頼関係があるかどうか
ということになります。

 

それ以外の場面では
「怒る」をやめて「叱る」に
切り替えます。

 

 

いつまでもネチネチと怒り続けません。

 

なかなか気持ちが切り替えられない方は
一旦席を外すことをおすすめします。

 

アンガーマネジメント協会では
6秒程度で最初の爆発的な感情は収まる
といっています。

 

一番良いのは、
異なる場面に身を置くこと。

 

トイレや喫煙所などへ行くのです。

 

他にも
コーヒーやお茶を飲むなどをして
気分を切り替えましょう。

 

そんなテクニックをいくつか
自分の中に取り込んでおくことが
心がまえとして必要です。

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2)我慢する

自立した社員に育てたいのであれば
あれこれ指示を出すことなく
ジッと観察するだけにする
ということがあります。

 

自立した社員、
つまり社長がいなくても
自分で行動する社員にしたい、
ということであれば、
いつまでも社長が細かい指示を
出し続けては意味がありません。

 

社員に対して
その社員が動けるだけの指示を出したら
あとは社員に「任せる」
ということが必要です。

 

この「任せる」のに
我慢が必要なのです。

 

社員によっては拙い手法で
非効率的に業務を行っている場面に
出くわすでしょう。

 

その際、社長が手を出し
口を出してしまえば、
社員は
「やっぱり社長の指示だけで
動いていた方が良い」
と思ってしまいます。

 

任せたいのであれば、
決めたところまで業務が進むまで
任せる必要があるのです。

 

それは「我慢」がいります。

 

我慢が苦手だと思われる方は多いでしょう。

 

私は講師仲間を含めて
今までたくさんの研修講師を見てきた中で
「我慢」を習得しているのは
子育てを経験した方ばかり、
ということを強く感じています。

 

小さい子を育てる時は本当に
「我慢」が必要です。

 

何でもできるようになるには
やらせる必要がありますが、
それができるようになるには
とても長い時間がかかります。

 

子育てをする中で
自分の中の忍耐強さを養成し
「我慢」が身につくのです。

 

もっとも小さい子どもを育てるほど
社会人の育成には「我慢」は必要ありません。

 

言葉が通じる大人相手ですから
あんまり我慢することを経験していなくても
できるようになるでしょう。

 

ですが、ある程度の我慢が強いられることは
認識しておいてください。

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3)PDCAを回す

そして、是非とも
PDCAを意識してください。

 

Plan-Do-Check-Action
計画-実行-評価-改善

 

計画をして、
計画通り実行してみて
上手くいったこと・上手くいかなかったことを
振り返ってみて
改善策を考えてみる

 

このPDCAを回すことを意識するのです。

 

実は人材育成には
王道パターンはありません。

 

人が一人ひとり特徴が異なるため
これをすれば万事OKという
方策はありません。

 

私がここで申し上げているのも
基本的なことが主であり
ケースごとに基本を元に応用して
いただく必要があります。

 

一人ひとりのケースごとに異なるため
ある程度計画を立てて行動しても
思い通りにならないことがあります。

 

その際に、次の対策を考えるためにも
PDCAをきちんと回していくことが
大事です。

 

直感的に行動していては
社員からみると一貫性がないように
受け取られてしまいます。

 

また、PDCAを回していくと
今まで気づかなかった課題に
気づくようにもなります。

 

業務をさせた後の反応が
人によっては想定外なことがあります。

 

こいつはこんな風に思っていたんだ、
あいつは思っていた以上に○○だ
といったことが
育成途中でわかることもあります。

 

ダメだと思い込んでいた社員が
思わぬ実力を発揮する、
といったこともあるでしょう。

 

人一人ひとりに多面性があります。

 

それらを把握するには、
何かをさせてみることが必要です。

 

そして、
今までとは異なる一面を見つけたら
それまでの計画を変更することも
あり得ます。

 

どんなやり方でもうまくいかない
という社員にも出会うでしょう。

 

その時も勘頼りに育成するより
計画・実行して
計画時に立てた仮説を一つひとつ
つぶしていく方が、
より早く、その社員にあった育成法に
たどり着くでしょう。

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3.どうしても育成できない時

人間同士ですから、
どうしても思うように育成できない
ということも起こりえます。

 

育成方法が悪かったかもしれません。

 

ですが、
様々な育成方法を試したながら
PDCAを回していたけど
どうしても上手くいかない、
ということもあり得ます。

 

そのような場合はどうすれば
良いでしょうか。

 

育成できなかった原因を
まずは考えましょう。

 

その業務がどうしても
あわないタイプの社員がいます。

 

緻密な作業が大の苦手な社員に
緻密さを求めても
社員には不幸です。

 

そんな場合は、
他の業務をしてもらう、
いわゆる配置換えを検討します。

 

ですが、チーム会社には
配置換えをするほど部署がない
という場合もあります。

 

そんな場合は、
その社員本人の勤める会社を変えることも
考えの中に入れておくべきです。

 

また、性格的に
どうしても育成できない
という人もいます。

 

真摯に取り組んでほしいのに、
いつも「ズル」をしてしまう社員。

 

自分だけ楽をしようとする社員。

 

何度言っても聞いてもらえない、
といった場合があります。

 

おそらくその社員は
社長を信頼できないのだと思います。

 

そんな人の場合は
今後育成するためのコスト
(社長の手間暇のこと)
が見合うかどうかを検討し、
やはり会社を変わってもらう、
ということも候補の一つでしょう。

 

会社のあるあるづくし社員の社員像は
ある意味、社長の考えそのものです。

 

社長の考えに共感できない方なので、
チーム会社に雇い入れておくだけの
余裕がない場合は
会社を変わってもらう
ということが出てきます。

 

社員側からしても
会社を変わった方が幸せでしょう。

 

4.人材育成をしたことで現れる重要なこと

 

前項は退社を促す話となりましたが、
人材育成をしたことで現れる
重要なことについて
触れておきましょう。

 

人材育成をするうちに
「うちの会社はこういう人材が欲しい」
ということが明確になります。

 

明確になれば、
実は採用する際に
明確な採用基準となります。

 

育成の経験が積まれていけば、
「この程度の人であれば
育成すればモノになる」
ということもわかってきます。

 

実はそれこそが
人材管理の重要なポイントなのです。

 

人材育成を始めた当初は
辞める人が出てくるのは
多少仕方がないことです。

 

ですが、明確な採用基準ができれば、
採用の時点で辞めにくい人材を
確保することができます。

 

育成する経験を積んでいけば、
多少条件が悪くても
育成可能ということがわかれば、
チーム会社であっても将来的な優秀人材を
確保することができるのです。

 

これは会社として
とても重要なことです。

 

会社は継続していく必要があります。

 

継続するには人材が必要です。

 

チーム会社であったとしても
それは同じです。

 

大企業のように名前だけで
わんさかと優秀な人材が来る可能性は
大変少ないでしょう。

 

ですが、採用基準が明確になるだけでも
労働市場の人材が
将来の宝かどうかが
はっきりわかるようになるのです。

 

5.まとめ

まずは、
人材育成する社長の心がまえとして

  1. 気持ちを切り替えること
  2. 我慢すること
  3. PDCAを回すこと

の3つをあげました。

 

また、どうしても育成できない
社員への対応についても
お話ししました。

 

社員が社長の言うことが聞けないのは
そこに信頼関係が築けていないことなので、
ある程度シビアにすることは重要です。

 

ただし、それはあらゆる手段を講じた後
ということにしましょう。

 

不当解雇、
という話になれば、
後々大変なことになります。

 

最後に、人材育成を行うことで
採用時に育成できない人材を
採用しないことができる
という話をいたしました。

 

心がまえについてお話しした後は
いよいよ人材育成そのものについて
お話ししていきましょう。

 

それでは、今日はこの辺で。

あるあるづくし社員で会社を盛り上げる

基本的にチーム会社では
豊富に人材を確保する余裕がありません。

 

だからこそ、社員一人ひとりが
能力を最大限に発揮して頑張ってもらわないと
チーム会社の業績は上がっていきません。

 

チーム会社が発展するのに有効な
あるあるづくしの社員はどんな社員でしょうか。

 

  1. どんな時でもやる気がある
  2. 業務を遂行する能力がある
  3. 人間関係を構築するコミュニケーション力がある

 

とても大雑把に分類すれば、
上記3つに当てはまる人材ということでしょう。

 

でも、本当にそういう人材が存在するのでしょうか

 

今日は、このことについて
お話しします。

 

 

チーム会社については前々回のブログを参照ください。

1.あるあるづくし社員とは

ないないづくし社員の反対が
あるあるづくし社員という訳ではないですが、
ほぼ反対語と思っていただければ、
と思っています。

 

ないないづくし社員が本質的に
自立していない社員、
自力で課題を解決できない社員
という位置づけなのに対して

 

あるあるづくし社員は、
自分で課題を解決できる社員
ということになります。

 

ただ、「勝手にやってしまう」
わけではありません。

 

課題を自分で解決する力を持っており、
それを上司と共有しながら
会社に迷惑をかけることなく
会社の業績が上がる方向で解決していく。

 

そんな都合の良い社員がいるわけがない、
とお思いの方もおられるでしょう。

 

ですが、世の中には優れた能力の持ち主がおり
彼ら彼女らは会社を背負って業績を上げる
そんな社員もたくさんいることは事実です。

 

そんな方々は大企業の中だけではなく
中小企業の中にもおられます。

 

あるあるづくし社員は学歴は全く関係ありません。

 

大卒であっても大学の偏差値も関係ありません。

 

もちろん、学校の成績が良い方の中には
比較的多く存在しているのも事実ですが、
彼ら彼女らは育った環境が影響して
「あるあるづくし社員」となった
特異な例です。

 

そのような方々はなかなかチーム会社には
入社してくれそうにはありません。

 

労働市場ですぐに規模の大きな会社に
スカウトされてしまいます。

 

ただ、チーム会社に入社している
現在の社員たちも育て方次第で
大きく変貌する可能性を秘めています。

 

これだけはまず知っておいていただきたいのです。

 

そして、どんな年齢の方でも
あるあるづくし社員へと変貌することができます。

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ここである事例をご紹介しましょう。

 

彼は高校卒業後、家庭の事情で進学を諦めました。
しかし、やりたい仕事があり、
就職はしませんでした。

 

家に負担をかけず、やりたい仕事をするには
まず、移動のための自動車免許が必要だと
免許を取得するためとその間の生活費のため
自宅近くでバイトをしました。

 

その後、免許を取得した彼は、
やりたい仕事のやり方を教えてくれる
職業訓練へ行くために、
その間の生活費を貯めるため、
バイト代が少し高めのバイトへ変更しました。

 

車があるので移動に困らないからです。

 

そして、とうとう念願がかなって
職業訓練に入り、資格を取って
やりたい仕事につきました。

 

高校を卒業してから4年ほど
経過していました。

 

職場では、そのやる気維持の力と
着実に業務をこなす力が認められ
若いうちにリーダー格となっていったのです。

 

彼は、バイト時代は接客業だったので
他人とのコミュニケーションもキチンと
取ることができました。

 

このような人材が実はいます。

 

彼は、たまたま高校生時代から
戦略的に何をすべきかを
自ら考え計画し、実行、
そして、成功しました。

 

学歴が関係ないことは
お分かりいただけるでしょう。

 

彼のような存在がいたら
採用したいと考えるのではないでしょうか。

 

彼の他にも優れた人材はたくさんいます。
そして、指導次第では
現在社内にいる人材も優れた人材へ変貌します。

 

あるづくし社員とは繰り返しますが、
以下のような特徴があります。

  • どんな時でもやる気がある
  • 業務を遂行する能力がある
  • 人間関係を構築するコミュニケーション力がある

では、具体的に育て方を見ていきましょう。

 

2.今の社員を成長させるためには

どんな時でもそうですが、社員を成長させるためには
その社員との間に信頼関係が必要です。

 

信頼関係さえあれば、どんな難題でも
上手く乗り越え、社員は成長してくれます。

 

社員を信頼できない、という社長や上司は
どうすれば良いのか、と言えば、
「社員を信頼する」ことです。

 

社員が信頼できないのであれば、
その社員のどこが信頼できないのでしょうか。

  • すぐにサボるから
  • 言い訳がましいから
  • いつも中途半端だから

といった理由が挙げられるかもしれません。

 

でも、
彼ら彼女らがそのような態度を取る理由を
ご存じでしょうか。

 

もしかすると、
仕事がつまらないのかもしれません
仕事が難しいのかもしれません
仕事のやり方が悪いのかもしれません

 

仕事がつまらないのであれば、
ついついサボりたくなるでしょう。
勉強がつまらないと思えば、
宿題をサボったように。

 

仕事が難しければ失敗も多いでしょう。
それについて言い訳したくもなります。

 

仕事のやり方が悪くて効率が悪く
期限までに仕上げられないこともあるでしょう。

 

本当に社員の能力が低いから
信頼できないような態度を取るのでしょうか。

 

理由をきちんとわかり、
できない部分を取り除いた時、
その社員は
信頼できないような人物かどうか
再度、思い直してみてください。

 

信頼できると思えば、
あとはできない部分を強化すれば良いのです。

2-1.どんな時でもやる気がある人材

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やる気があるとはどんな状態でしょう。

 

いつもやる気がある社員でも
たまには元気がない時があります。

 

体調がすぐれない時や
悩んでいる時などでしょう。

 

社長が思うやる気がある社員は
どんな社員でしょうか。

 

いつもハキハキと返事する社員ですか?
それとも、仕事に対して実直な社員ですか?

 

ここでいうやる気があるは、
困難な課題に当たったとしても
投げ出さずに仕事を続けること
としています。

 

誤解しないでいただきたいのは、
困難な課題をその社員一人で
解決できるかどうかは
社員のスキルレベルや経験値、
課題の重大さなどによって異なるため
別問題です。

 

それよりも社員が前向きに課題をとらえ
何もせずに諦めることなく
チャレンジしようとする姿勢です。

 

この前向きに課題をとらえるには
元々の性格だけではなく
課題に対応する際の自由度だと
私は考えています。

 

課題を解決するための相談相手を
自由に選択できる。

 

課題を解決するための予算を
社長に自由に相談できる。

 

課題を解決するための手段を
自由に選択できる。

 

といった自由度です。

 

また、課題に対応する際の
責任度合いも重要です。

 

失敗するかもしれない、と思えば
憂鬱になり、手出しできにくくなります。

 

失敗をある程度寛容に受け入れられる
社内の雰囲気が必要となります。

 

要は、自分がすることを
社長が認めてくれている、
失敗をも受け入れてくれる、
という思いがあれば、
人はやる気を出すものです。

 

2-2.業務を遂行する能力がある人材

通常、仕事を長年していけば
身についていく「段取り力」だったり
「時間管理力」「品質管理力」だったりします。

 

ですが、なかなかそのような機会に
めぐり合わなかった方が
チーム会社には多くいらっしゃいます。

 

今まで「通例」や「勘」でやっていた、
という人も多いのではないでしょうか。

 

それよりも、ちゃんと計画を立て実行し、
その実行結果を踏まえての振り返り。
要するにPDCAを回しながら実施している
社員は非常に少ないのではないでしょうか。

 

仕事に関する技術だけでは
実は仕事はできません。

 

新しい技術が出た時、
新しい仕事が現れた時、
新しい現場が入った時、
今まで通りではいかないことが多く
失敗が増えてしまいます。

 

ただ、いくら新しいとは言え、
全く知らない仕事ではないはずです。

 

例えば、建築業の会社に
介護の仕事がくるはずはありません。

 

もっともその該当する社員が
親の介護で介護に詳しくなっている
というのであれば、
話は別ですが。

 

それよりも高齢者が転倒し難い玄関の設計、
といった仕事の方が普通でしょう。

 

今までそういったことの経験がなくても
設計そのものは今までやってきているので、
あとは転倒し難い玄関の定義をすれば
良いわけです。

 

その際、PDCAを回しながら
より転倒し難い玄関を造ることをしていけば、
必ず成功するでしょう。

 

このような業務を遂行する能力がある人材は
チーム会社には不可欠です。

 

2-3.人間関係を構築するコミュニケーション力がある人材

そして、仕事は一人でするものではありません。
必ず数名のチームで行います。

 

そのような時、人間関係を構築するための
コミュニケーション力がある人材であれば、
よりチームワークが上がっていき
成功に近づくでしょう。

 

そんなコミュニケーションは
ベラベラとしゃべることではなく、
朴訥としていても伝えたいことが伝わる
ような意思伝達が必要です。

 

昔の徒弟制度のように
師匠は何も語らず、背中を見て技術を盗め
的なコミュニケーションではありません。

 

手取り足取りベラベラ語って教える、
ということでもありません。

 

ただ、言葉を尽くして語っても
伝わらないことがあります。

 

意味をきちんと受け止められないのは
コミュニケーションのデメリットです。

 

ですが、言動を一致させておけば、
自然と伝わっていきます。

 

多少時間はかかりますが、
焦らずにコミュニケーションを取る
そういったことができる社員が
チーム会社の団結力を高めていきます。

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3.あるあるづくし社員だけの会社での注意点

あるあるづくし社員だけになったら
会社の業績はどんどん上がっていく
と思われるでしょう。

 

社員と力を合わせて
業績を上げていく会社は少なくありません。

 

ただし、注意点があります。

 

1)あるあるづくし社員はできる社員ですので、
将来的には独立などが考えられること。

 

その可能性は覚悟しておく必要があります。

 

その独立にしてもお互いが認め合った方向で
進むのであれば問題はないでしょう。

 

ケンカ別れにならないよう気をつける必要があります。

 

2)あるあるづくし社員ばかりだと
中にはどうしても緩んでしまう社員が出ること。

 

2:6:2の法則と言われるものがあります。

 

全社員のうち2割ができる社員、6割が普通の社員、
残りの2割ができない社員となる、
という法則です。

 

また、人間ですから、どうしても上等の
あるあるづくし社員にはなれない方が
出てきます。

 

他のメンバーができるのであれば、
そこそこできるメンバーは劣ってみえて
しまいます。

 

そんなメンバーが出ることは
当たり前、と思うようにしておくことです。

 

人はみんな違うのですから当然です。

 

そんな時は、よく社員を観察して
最適な場所へ配置することが重要です。

 

いわゆる「チームワーク」です。

 

本人も回りと自分を比較して
凹んでいたり、やる気を失ったりせず、
自分の居場所を確保できれば
安心して業務に取り組めます。

 

3)あるあるづくし社員が成功例を重ねると
独断的になりやすい傾向があること。

 

経験値はとても社員の成長につながるものですが、
成功例が多すぎると、自分の力を過剰に評価して
いわゆる鼻持ちならない社員と化する傾向があります。

 

たまたま成功しているだけ、と
自己評価が低すぎるのも問題ですが、
自分がいれば必ず成功する、
というのも問題です。

 

未来は必ず思う通りにはならないものです。

 

あまり自信過剰になっていると
失敗した時にモチベーションを下げてしまいます。

 

そのためにも「もっと頑張れるよね?」と
声かけしておくことが必要なのです。

 

4.まとめ

 あるあるづくし社員について、語ってきました。

 

社員数が少ないからこそ、
一人ひとりが自分の業務に責任をもって
当たってくれれば、
社長としてありがたいことはありません。

 

そして、自分の会社をより良い会社にするために
さまざまなアイデアを実現させていく力を持つ
あるあるづくし社員はありがたい存在です。

 

そんな社員にしていくための具体的なコツは
これからお話ししていきます。

 

それでは、今日はこの辺で。

 

 

困る「ないないづくし社員」

今日は、チーム会社を悩ませる
ないないづくし社員について
お話しします。

 

チーム会社については前回のブログを参照ください。

ugrade.hatenadiary.jp

 

ないないづくし社員とは

ないないづくし社員とはどんな社員でしょうか。

  • 言われた通りしかし「ない」社員
  • 何も自分で考え「ない」社員
  • 成長しようとし「ない」社員
  • やる気が「ない」社員

といった社員を指す、私の造語です。

 

心あたりがある方、多いのではないでしょうか。

 

たくさんの社員がいる会社とは違い
チーム会社のような会社では
このような社員が一人でもいると
少し困ってしまいます。

 

私がまだ会社に勤めていた頃、
こんな社員のことを
「親に餌を求めるひな鳥みたい」
と評したことがあります(苦笑)

 

年齢層は、それこそ10代から60代まで(笑)

 

彼らは口を揃えて言います。
「指示してください。それがないと動けません」

 

「なぜ動けないの?」
と聞くと
「失敗したら困ります」
と言います。

 

もしくは、黙ったままジッとしている社員もいます。

 

指示をしないと動かない岩のようです(笑)

 

良くこんな社員ばかりで困る、
という話も聞きます。

 

昨年、このテーマでセミナーをしたら
たくさんの方が集まっていただきました。

 

ないないづくし社員は、
他の会社の社長さんの話を聞いたり
いろいろなところで観察したりしていると
至るところで出没しています。

 

しかも、集団で。

 

単独行動に出て一人でトッピなことをする社員と違い
ないないづくし社員は複数人の集団でいることも
あります。

 

中には全員で5人しかいないのに、
社長と専務以外はないないづくし社員だったり・・・

 

ないないづくし社員の弊害

こんな社員がいるとどんな弊害が起こるでしょうか。

 

社長がワンマンで、自分で何もかも
決定しないと気が済まない会社であれば
特に弊害はないでしょう。

 

ただ、この変化が激しい現代社会の中で
その会社は取り残されていきます。

 

というのは、たった一人の社長のアイデアだけで
変化激しい社会の荒波を乗り越えるには
厳しいものがあります。

 

会社という船を漕ぐオールが1本しかないのです。

 

どんな荒波が来ても
沈まないように進んでいくには
当然オールが何本もあった方が良いです。

 

ないないづくし社員がいるチーム会社は
その分だけオールの数が少なくなるので
何かあった時、危機に陥ってしまうのです。

 

自分でアイデアを生み出し、
それを実行するために他者との協力を創出し
実行時に発生した困難を乗り越えるには
社長一人が頑張っても限界があります。

 

社員がそれぞれの能力や得意分野を活かして
チームとして頑張った方が
断然生き残れる可能性が高くなるのです。

 

営業が得意な社員
経理が得意な社員
モノづくりのアイデアが豊富な社員
技術力はぴか一の社員
それらの社員が現場での困ったを
イデアを出し合って解決していけば

 

社長が一人で頑張って
社員全員に指示をして回るより
スムーズに会社が動いていくはずです。

 

ないないづくし社員がいる弊害は
会社が右肩下がりになってしまうことです。

 

特にチーム会社のように
規模が小さな会社であればあるほど、
その弊害は大きくなっていきます。

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ないないづくし社員発生の原因

こんな現象はなぜ起こるのでしょうか。

 

全国の事例を見て回ったわけではないので
私の想定ですが、
原因として以下のことがあげられると考えています。

  1. 良い子信仰
  2. 学校教育の弊害
  3. できる上司の存在

つまり、今までの育てられ方や今の育て方に
原因があると思っています。

 

一つずつみていきましょう。

 

1.良い子信仰

読んで字のごとく、「良い子」であろう
と強く願い、それを実行しようとする態度です。

 

まるでそれは信仰のようだと思い、
私がこのように命名しました。

 

これは比較的女性に多い気がしています。

 

子どもの頃から親の言うことを良く聞いて
親がやってはいけない、ということをせずに
常に良い子でいた人は、

 

会社でも上司の言うことを良く聞く
良い社員であろうとします。

 

叱られることが極度に怖がったり
失敗することを恐れたりします。

 

中には上司の顔色を伺うことが上手く
上司が嫌な顔を少しでも見せると
慌てて「無難」な方向へ引き戻ります。

 

例えば、ある事業の計画を立てたとしても
上司が少しでも眉間に皺を寄せたり
「うーん」とうなったりすると
先んじて上司の思いを汲んで
計画を修正しようとします。

 

上司は考えているだけなのに、です。

 

私も若い頃、上司に計画書を提出したら
上司が難しい顔をしたので
慌てて取り消そうとした記憶があります。

 

その時、上司は
「ちょっと待って、読んでるだけだから」
と言いました。

 

それ以来、我慢して上司が読む間は待つことを覚え、
数年経てば、だんだん上司の表情が
気にならなくなりました。
(ただ、厚かましくなっただけ?笑)

 

あまりにも良い子であろうとする気持ちが強い
社員は、どうしても上司の顔色を伺い
上司の言いなりになろうとしてしまいます。

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2.学校教育の弊害

学校教育がいけない、
と全面否定しているわけではないことを
まず強くお伝えしておきます。

 

学校教育は
子どもの成長には欠かせないものです。

 

ですが、その中には若干問題を含んでいるのでは?
ということです。

 

私は社会人向けの研修を多く扱っていますが、
良く聞かれるのが
「これをどうすれば正解ですか?」
という質問です。

 

社会人になったら「これが正解」ということは
ありません。

 

私は、回答として、
メリットとデメリットを伝え、
それぞれで判断をしてください
とお伝えします。

 

正解というのではなく、
メリットとデメリットの中で
最適な解を自分で選択・決定してほしいからです。

 

次に良く聞かれるのは
「(どんな場合でも)この手段を取れば良いのですね」
という質問。

 

あらゆる場面に通用する手段はありません。

 

その手段を選択するには、いくつかの条件があります。

 

回答として、それらの条件をお伝えします。

 

これら良く聞かれる質問には、
「正解」を求める気持ちや
どんな時でも通用する「手段」を確保する気持ちが
見え隠れする、ということです。

 

学校教育の現場では、
「これが正解」と言わざるを得ない場面が
多くあると私は考えています。

 

試験問題でいくつも解答があるのは
問題視されてしまいます。

 

そのために「正解」はこれ、
と決めなければならないのです。

 

ただ、社会に出ると「正解」がない世界です。

 

でも、「正解」を求めるクセがついた人は
上司が「正解」を持っている人とみなします。

 

上司に正解を求めるあまり自分の考えを持たず
上司の言いなりになるのです。 

 

3.できる上司の存在

通常、社会に出て働くようになると
正解のない世界に慣れてきて、
徐々に正解を強く求めるクセは失われます。

 

ですが、そこに登場するのが、
「できる上司」です。

 

できる上司は、チームを常勝へ導く力を持っています。

 

知識も豊富、経験も豊富、
やる気もリーダーシップも豊富です。

 

そんな人の部下になった社員は、
自分が下手に考えるより
上司が考えた通りに実行した方が
成功の確率が高くなることにすぐ気づきます。

 

そんな上司は、部下が自ら動かないことを
嘆きながらも、どうやったら動く部下になるか
勉強熱心だったりします。

 

上司ができるのに部下ができないケースは、
上司ができすぎるという課題があります。

 

プロスポーツで監督に実力がありすぎると
チーム全体がこじんまりとなってしまう
といった話を良く聞きます。

 

良くできる上司(この場合は監督)が
部下(この場合は選手)を熱心に指導するあまり
選手たちがないないづくし社員となってしまったと
考えられます。

 

ないないづくし社員の発生のメカニズム

これまでのことを統合してみます。

 

社員に良い子信仰や正解を強く求める傾向があり
できる上司に恵まれた時、
ないないづくし社員へとなってしまうと
考えられます。

 

ですが、
もう一つ、発生のメカニズムのパターンがあります。

 

ないないづくし社員の要素を持っていなくても
社内でないないづくし社員を養成してしまう
大変困ったメカニズムです。

 

それは、できる上司ではなくても
ワンマンな社長や上司でも同様のことが
発生するということです。

 

新しいことをしようとしても
それが絶対会社にとって良いことだと思えても
ワンマン社長が「No」と言えばできません。

 

そんな環境であれば、
自分で考えて行動しよう、
なんて社員は生まれてくるはずがありません。

 

何でも自分で決めなければ気がすまない人は
たくさんいます。

 

それが社長であったり
影響力のある上司だったりすると
社員は自然と黙ってしまうのです。

 

そして、
ないないづくし社員へと変貌していきます。

 

集団でないないづくし社員が存在する会社は
社長や上司がワンマンである可能性が
高いと考えています。

 

そんなワンマンな人たちの誤解が一つあります。

 

「うちの社員はツマラン奴ばかりだから、
良い人材がいたら採用したい」

 

ということです。
会社の外に人材を求めるわけです。

 

ですが、
良い人材もワンマン社長の下に入れば
社長の言う「ツマラン奴」に変わります。

 

それでも独自路線を進めば
きっと「クビ」になるだけです(汗)

 

もともとないないづくし社員の要素を持っていた
あるいは
ないないづくし社員を養成するワンマン社長がいる
ということが発生のメカニズムでしょう。

 

次回は、ないないづくし社員の反対、
あるあるづくし社員について
お話しします。

 

それでは、今日はこの辺で。