人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

品質を向上させるコツ

前回は仕事のやり方の中でも
「納期」の考え方を
身につけさせるお話をしました。

 

今回は、
「品質」の考え方を
身につけさせるお話をします。

 

特に、要求された品質のものを
生み出せない社員に対する育成のコツです。

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

残念ながら、チーム会社は、
研修をするお金がない
研修をする時間がない
という理由で、研修という形での
人材育成はできません。

 

なので、社長自らが人材育成をするのです。

 

ただ、学校教育では教え方を学びません。
今までは人材育成の基礎や基本を
話してきました。

 

人材育成の基本的な3つの流れ
1.現在の社員を良く観察する
2.将来の会社をどうするのか考える
3.今の社員をどう成長させるのか考える

 

人材育成の基本(教える内容で分類)
1.技術や知識(座学やマニュアルを使う)
2.仕事をするスキル(面談を中心に)
3.人との関係性構築(エンパシースキルを磨く)

 

人材育成の基礎として、
教える側(社長)と教えられる側(社員)との間に
「信頼関係」が必要

 

詳細は、ブログカテゴリ「211_チーム会社の人材育成」
からどうぞ。

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品質とは

品質は実は上限がありません。

 

もちろん、顧客にとっては
最上の品質が良いに決まっています。

 

ですが、実際問題として、
最上の品質を毎度提供するのは、
時間がかかります。

 

また、その品質が本当に顧客に求められているのか、
といった問題もあります。

 

いわゆるガラケーと呼ばれている
携帯電話を持ったことがある方であれば、
(今持っている方も含めて)
次の質問にお答えください。

 

「あなたは以前の携帯電話の機能をすべて
使っていましたか(使っていますか)?」

 

おそらくすべての機能を使いこなしている方は
非常に少ないと思います。

 

こんな機能、いらないから
もっと安くならないのか、
と思った方もいらっしゃるでしょう。

 

品質の向上を求めすぎて
過剰になっていた良い事例です。

 

社長の会社の顧客が求めている品質は
どのような品質でしょうか。

 

求めている品質がハッキリわかるのであれば、
良いのですが、なかなか名言できる社長は
多くはいないでしょう。

 

サービスの場合は、
クレームを言う顧客は非常に少なく、
「次に来ない」という態度で
品質評価してきます。

 

顧客が企業や団体ではなく、
個人の場合は、
求める品質を一つに絞ることは
不可能です。

 

そのような場合、社員の仕事の成果の品質を
どこまで求めるのかが問題になります。

 

ただ、それ以前に、要求された品質に
到達できる成果を出せない、
という社員もいます。

 

社員はなぜ
要求された品質での成果が出せないのか、
という点です。

 

  1. 社長の要求が携帯電話のように過剰なのか
  2. 社員が求められている品質がわからないのか
  3. 社員が求められている品質を実現するだけの技術力がないのか

ということになります。

 

1.と3.は別の機会でお話しするとします。
今回は真ん中の
「2.社員が求められている品質がわからない」
ということについてお話ししていきましょう。

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求められている品質がわからないとは

求められている品質がわからない、とは
一体どういうことでしょうか?

 

社員の中に、何度も業務をさせるけれど
満足な仕上がりにならない、
といった社員がいらっしゃるのではないでしょうか。

 

もしくは、同じ失敗を何度も繰り返す、
依頼した仕事の出来が悪い、
といった場合です。

 

もちろん要求される品質が過剰という場合や
社員に技術力がないという場合は除きます。

 

他の社員にはできる簡単なことだけど、
その社員だけできない、
その社員はできるはずなんだけど、
何となく手を抜いたものしかできない、
といった場合は該当します。

 

故意に手を抜いた場合は、
その社員の質的な問題です。

 

真面目に取り組んでいるのだけど、
なかなか成果が出ない、といった社員は
質の問題ではありません。

 

そういった社員は
そもそも仕事がどうなれば終わりなのか
がわかっていない場合が多いのです。

 

例えば、目の前にないけれど何かを作る、
という時をイメージしてください。

 

何かを作るのだけど、どんなものかは
まだ実際に存在するものではないので
わかりません。

 

新製品などは得てしてそのようなモノでしょう。

 

ですが、基本的なところは決まっているはずです。

 

パソコンは便利な道具です。

 

ですが、パソコン自体を持ち運ぶのは
10年前はかなり重かったです。

 

だからこそ、手のひらサイズの小さく軽い
パソコンとしてスマートフォンが誕生しました。

 

基本的なことは、
パソコンとほぼ同じ機能であること
手のひらサイズで片手で持てる重さであること
電話機能をつけること
でしょう。

 

そこから発展して、
カメラ機能やGPS機能などがあり、
振動を感知して歩数も測れます。

 

手のひらサイズで片手で持てる重さであっても、
いきなり大きく開いて傘として使える、
ということは期待されていません。

 

仕事は基本的なことは決まっているけれど、
今までにないものを作り出す、
ということから始まります。

 

真面目で技術力もある社員だけど、
なかなか品質が良いものを作り出せない、
という場合では、

 

基本的なことをきちんと理解しているか、
それプラス、何を考える必要があるのかを理解しているか、
ということをチェックする必要があります。

 

その理解の先は、
その仕事の終わりをはっきりさせる、
どうなったら完成なのかをはっきりさせる
ということにつながります。

 

それは、つまり、
その仕事がどのようになれば終わりなのか、
を理解するということです。

 

その社員がしている業務が
どうすれば終わりなのかを明確にさせ、
それを理解させる、ということなのです。

仕事の終わりをわからせるために

仕事の終わりをわからせるためには、
仕事を依頼したら、
どの時点になったら終わりなのかを
明確に指示する、
もしくはわからせることが重要です。

 

そのために何回かチェックポイントを作り、
その都度チェックします。

 

できていない場合は、
何がどうできていないのか、
具体的にフィードバックすることが重要です。

 

社長がフィードバックするだけでなく、
社員自身も自分をふりかえり、
何が問題だったのか、
を明確にすることができます。

 

ものごとはゴールが明確になればなるほど、
ゴール達成できなかった理由が
明確になります。

 

早く走りたい、というゴールでは
少し練習しても早く走れるようになったかは
わかりません。

 

ですが、100メートルを12秒で走りたい
というゴールであれば、
12秒で走るために何をすれば良いのかが
明確になります。

 

同じ早く走りたいであっても、
42.195キロメートルを2時間少々で走るのとは
走り方が異なります。

 

鍛える筋肉さえ異なります。

 

仕事の終わりを明確にするということは
問題も明確に理解できるのです。

 

仕事の終わりなんて明確にしなくても
いつか気づくだろう、は
永遠に気づかないだろう、
と言っているのと同じです。

 

特に仕事に慣れない社員は、
社長自ら明確にしてやった方が
社員の成長に役立ちます。

 

そして、慣れた社員であれば、
仕事の終わりを明確に指示するよりも
何ができたら終わりなのかを
逆に尋ねる、というのも手です。

 

キチンと理解していればそのままで良いですし、
理解していなければ、
その場で理解させる必要があります。

残業をダラダラとしている社員には

たまに品質を上げる、ということを理由に
残業をダラダラとしている社員がいます。

 

「あと少しなんだけど」
と言いながら
残業をしている社員です。

 

残業代が欲しいだけであれば、
何らかの手当てを別に与える方が
効果的です。

 

でも、そういった社員を成長させたいのであれば、
何があと少しなのか、
どうすればあと少しが完成するのか、
聴いてみることです。

 

そういう社員の中には
顧客満足より自己満足が大事、
という人が多くいます。

 

技術者に比較的多い傾向がありますが、
自分の技術力を見せつけたいだけ、
ということです。

 

 

技術を見せつけたい相手は
誰でしょうか。

 

それは、社内の同僚だったり、
他社のライバルだったり、
社長自身だったりするのです。

 

その想いをまず聴くことです。

 

だからこそ、そんな社員には、
社員の想いを十分に聴いたあと、
社長の想いも話すことです。

 

共通点が必ずあるはずです。

 

 

その共通点から
社長(つまりは会社)に対して
その技術力を発揮できないのか
と伝えることができるはずです。

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会社には「目的」があり、
その目的を達成するために
社員一同頑張っているのです。

 

自分自身の技術力を見せつけるのではなく
会社の目的に沿って技術力を発揮することを
理解させるためには
十二分に話し合うことが重要なのです。

まとめ

今回は、社員が行う業務の結果の品質が
向上するために、ということで
お話をしてきました。

 

もちろん、技術的に不足していることもありますが、
慣れた社員であっても
なかなか品質が向上できない場合があります。

 

その場合は、どこまですれば
その仕事は完了するのかを
明確にさせ、それを理解させることが重要
ということです。

 

仕事の終わりが明確にさせ理解させておけば、
もしできなかった場合は、
どこに問題があるのかを
社員とともに明確にすることができます。

 

仕事の終わりを明確することが
品質を向上させることにもつながりますし、
ダラダラとした残業を終わらせることもできます。

 

私の感覚だと、
仕事の終わりを明確にして業務に臨む人は
比較的少ないような気がしています。

 

終業時間になって、
し残していた部分を思い出すのは
品質が保てていない証拠です。

 

終業時間に「すべて完了」となるように
「どうなっていたら仕事が終わるのか」を
明確にしておくことが
重要なのです。

 

それでは、今日はこの辺で。

納期を守らせるコツ

今日は今までお話ししてきた人材育成の中で
仕事のやり方の教え方を少し深めてお話しします。

 

前回のお話

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というのも、教える側である社長も
今までプロジェクト系の仕事をしていない
という方もいらっしゃるためです。

 

仕事をうまく管理すれば効率的になるのですが、
その管理手法を今までに学べなかった社長向けに
社員を効率的に仕事がさせるコツが
あります。

 

そのコツについてお話ししていきましょう。

 

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

残念ながら、チーム会社は、
研修をするお金がない
研修をする時間がない
という理由で、研修という形での
人材育成はできません。

 

なので、社長自らが人材育成をするのです。

 

ただ、学校教育では教え方を学びません。
今までは人材育成の基礎や基本を
話してきました。

 

人材育成の基本的な3つの流れ
1.現在の社員を良く観察する
2.将来の会社をどうするのか考える
3.今の社員をどう成長させるのか考える

 

人材育成の基本(教える内容で分類)
1.技術や知識(座学やマニュアルを使う)
2.仕事をするスキル(面談を中心に)
3.人との関係性構築(エンパシースキルを磨く)

 

人材育成の基礎として、
教える側(社長)と教えられる側(社員)との間に
「信頼関係」が必要

 

詳細は、ブログカテゴリ「211_チーム会社の人材育成」
からどうぞ。

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仕事のやり方とは

前回、お話しした通り、
仕事のやり方とは、

 

目標を定め、少しずつ確実に歩を進め、
大きな課題が発生すれば、
解決のための道筋をつけ
周りの協力を取り付け
難題を乗り越えていくスキル。

 

ここでいう仕事のやり方とは、
このような着実に実現していくことを指します。

 

これが社員一人でできるようになれば、
チーム会社であっても
戦力が大きく増大します。

 

それらを教えるには、
まず社長ができることが前提ですが、
社長自身もあまり経験がないことであれば、
上手く教えることができません。

 

どんな仕事でも押さえるところがあります。

 

それは、
納期
品質
コスト
です。

 

経験がない社長であっても、
この3つに対しては深い経験や考察を
お持ちだと思います。

 

まずは、この3つを意識させることが
大事です。

 

ただ、意識させたいと、
毎朝の朝礼で、この3つが大事だ、
と言っても社員は育ちません。

 

実際の自分たちの仕事と
どう関係するのか、
どうすれば良いのか、
具体的にわからないからです。

 

話が抽象的過ぎて
現場と結びつかないのです。

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仕事を指示する時が教え時

まだ自ら仕事を作り出していく
スキルがない社員は、
社長からの指示があるのを
待っていると思います。

 

だから仕事の指示を出すことが
日常的にあるでしょう。

 

その時が、教え時なのです。

 

新しい仕事の指示を出す時、
「○○という仕事をしてくれ」
という言い方をすると思います。

 

社員は何と答えるでしょうか。

 

「はい、わかりました」
とだけ答えるのであれば、
まだ、仕事のやり方が理解できていません。

 

「はい、わかりました」
と答えた後、何も言わない場合は、
「それ、いつできる?」
と聞くのです。

 

これが、まず最初に納期を意識させる
重要な質問です。

 

そこで、
「今日中」とか「明日まで」とか
答えてきた時が注意です。

 

その社員の仕事が結構溜まっている状態で、
今日中という返事であれば、
社長の仕事の優先度が一気に上がって
他の仕事の優先度が一気に下がったことを
示します。

 

これで良ければ良いのですが、
「忖度(そんたく)」が入ってしまい、
社長が直接言ってきた仕事だから、
早く仕上げる方が良いだろう、
と思い込んでいるのであれば、
それを正す必要があります。

 

「いや、急がないんだけどね」
と答えた後、
「で、いつできる?」
と再び尋ねます。

 

おそらく今まで納期を意識していなかった
社員は軽いパニックを起こすでしょう。

 

社長から言われた仕事を後回しにした時、
それはいつから取りかかって、
いつ終わるのだろう、
と考えることになります。

 

いつもは、出勤してきたら、
目の前の仕事を順番などはあまり考えずに
ひたすら「する」ということをやってきて、
それがいつ終わるのか、
その次には「何がある」のか、
さっぱりわからない、
という状態の場合もあります。

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納期を考える時に必要な要素は、
その仕事を完了させる時間
仕事に当てる時間帯
の2つです。

 

仕事を完了させるのに
どれくらい時間がかかるのかが
わからない場合は、
実際に計測してみるのが一番です。

 

ですが、通常計測したことがある人は
ほとんどいないでしょう。

 

一生懸命やってみたら、
いつの間にか終業時間が来ていて
慌てて帰る、という毎日の中で、
一つひとつの仕事が
どれくらいの時間をかけて行っているのか
を意識している人はあまり見かけません。

 

社員が考えこんでしまったら、
ひとまず、予想を聴いてみましょう。

 

予想通りできたらOK。

 

予想通りできなかったら、
リフレクションです。

納期を守らせるためのリフレクション

リフレクションで何をするのか、
と言うと、
時間感覚を持たせることです。

 

その社員のいろいろな作業を
洗い出します。

 

これが意外と難しいのですが、
最初は少し足りないくらいでも
大丈夫です。

 

それを元に
作業名と時間を書き込む表を作らせます。
時間は予想と実測で2列作ります。

 

そして、それぞれがどれくらいかかっているのか
を予想させます。

 

その予想を表の中に書き込みます。

作業時間の計測

そして、ストップウォッチを持たせるのです。

 

ひとつの作業に入る直前にスイッチを押し
作業が終わったらストップします。

 

作業名の横に計測した時間を書き込みます。

 

もし、雑談したり、
作業を何らかで中断した場合も計測します。

 

ふと始める雑談や
トラブルでの中断の場合は、
そちらに気を取られて
ストップウォッチを押すことを忘れるでしょう。

 

その場合は、終わった時の時計を見て
だいたいの時間を計ります。

 

間違えてほしくないのは
〇秒といった細かい時間を計りたいのではなく、
雑談の時間を計りたいのでもないことです。

 

最初はある程度、大まかで大丈夫です。

 

後から計算して、就業時間をオーバーしている、
とか、逆に少し足りない、とか
気にする必要はないということです。

 

要は、どんな作業がだいたいどれくらいの
時間をかけて行っているのか、
という現状を知る、ということなのです。

 

雑談イコール仕事のサボりとして
計測しないことも考えられますが、
雑談は仕事場の潤滑油の役割を持ちます。

 

コロナ禍で在宅勤務をした人が言うのは、
同僚との雑談が減ったから辛い、
というものでした。

 

雑談の時間があまりにも長い場合は、
注意も必要かもしれませんが、
普通の社員のちょっとした雑談は
見逃してほしいのです。

 

おおよその時間がわかれば、
予定が立てられます。

 

目的は予定を立てる、
ということなので、
細かで正確な計測は不要です。

 

それを1、2週間ほど続けます。

 

というのも、人は日によって
調子が違います。

 

仕事が良くはかどった日もあれば、
何かうまくいかない日もあります。

 

お腹を壊してトイレに籠る日もあれば、
晴れやかに笑いながら余裕な日もあります。

 

だからこそ、平均をとるために
せめて2週間くらいのデータが欲しいのです。

計測後のリフレクション

平均が取れたら、再びリフレクションです。

 

ここでは予想時間との差異を
突き詰めるのではなく、
その差異を認識させるだけです。

 

そして、新たに登場した仕事に着目します。

 

最初に洗い出した仕事以外の仕事も
意外にたくさんやっていることに気づかせます。

 

また、やらなくても良い仕事を
やっていることがあれば、
それにも着目させるのです。

 

最後に重要なこと、
ひとつの仕事をするには、
前準備と後片付けの時間がある、
ということに気づかせることです。

 

良く予定を立てる時に、
その仕事は〇〇分で完了するから、
〇時から他の仕事ができる、
という計画を立てる人がいます。

 

その○○分は、前準備と後片付けの時間も
含んでいますか?
ということです。

 

意外と含まずに考える人が多く、
後から、
「あれ? 意外と時間がかかったな」
という感想を述べる人がいます。

 

自分の一日が
どんな仕事をして過ぎていっているのかが
わかれば、
仕事を見積もることができるようになります。

 

そうすれば、
社長から頼まれた仕事を
いつして、どれくらいで終わらせられるか
がわかるようになるでしょう。

仕事の見積もりができるためには

今までお話ししてきたことをしても
仕事の見積もりができない、
という社員は必ずいます。

 

ですが、それは当たり前のことです。

 

一生懸命学ぼうとしていても
どうしても人は
「腑に落ちない」ことは
理解できないのです。

 

ですから、何度でも言葉を変えて
説明し続けることが大事になります。

 

また、仕事の種類が多い人は、
見積もることが難しい場合もあります。

 

すぐに前に行ったことを忘れてしまう
人もいます。

 

そんな場合は、紙に一覧表を作って
見積もらせると良いでしょう。

 

手帳なども活用することもおすすめします。

 

手帳は時間管理ができるものが良いでしょう。

 

そうしているうちに
自分の時間管理ができるようになり、
仕事のスケジュールができるようになります。

 

そこまでくれば、
納期の意識が完全に植え付けられた
ことになるでしょう。

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まとめ

納期を守らせるコツとして、
仕事の見積もりができるようにする、
ということでした。

 

そのためには自分の仕事の全体像をみつめ、
個別の仕事がどれくらいの時間がかかるのか、
ということを認識させておく必要があります。

 

認識させるために、
予測させた後、実測する、
ということをお話ししました。

 

私はこのブログを書くのに、
下書き時点で、1,000字を1時間かかります。

 

5,000字書くのであれば、5時間かかる
という計算になります。

 

他に推敲する時間などを加えると、
どれくらいの時間を確保しておくことが必要、
とあらかじめ時間を割り出しておくと、
他の仕事と並行して書くことができます。

 

そうしなければ、
いつその仕事をどれくらいの時間するのか、
といったスケジュールを立てることは
できません。

 

意外とそういった意識を持ったことすらない
という社員は少なくありません。

 

こういった意識はいろいろなところに
役立ちます。

 

例えばプライベートで何かをする際にも
段取りが良くなり、
事がスムーズに運ぶようになります。

 

また、「忙しい」という意識も変わります。

 

忙しい状態は、本当に時間がなく
やることが多すぎる、
ということもありますが、

 

それ以前に、何をするのかが明確でなく、
何となく頭の中に仕事がいっぱいあって、
忙しいと感じていることがあります。

 

むしろ、後者の方が多いと
私は感じています。

 

忙しいと感じたら、
やることを一覧表にして、
それがどれくらい時間がかかるのか
を見積もってみれば、
意外と余裕が出てくるものです。

 

仕事の時間の見積もりができる人が
忙しい、というのは、
本当に忙しいので、
あまり仕事を割り振らないことも
肝要です。

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ここまで、仕事の時間の見積もりをさせる
方法についてお話ししてきました。

 

ですが、職種によっては、
突発的な仕事が降ってくる職種があります。

 

例えば代表選手として「営業職」です。

 

そういった人の時間管理については、
また後日お話ししましょう。

 

それでは、今日はこの辺で。

リフレクションの力

今日は今までお話ししてきた人材育成の中で
リフレクションについてお話しします。

 

リフレクションとは、ふりかえりのことです。

 

ですが、今までキチンとリフレクションを
していないと思います。

 

キチンとリフレクションをすれば、
その学習効果は高いものになります。

 

反省とは異なるリフレクション。

 

そのコツについてお話ししていきましょう。

 

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

残念ながら、チーム会社は、
研修をするお金がない
研修をする時間がない
という理由で、研修という形での
人材育成はできません。

 

なので、社長自らが人材育成をするのです。

 

ただ、学校教育では教え方を学びません。
今までは人材育成の基礎や基本を
話してきました。

 

人材育成の基本的な3つの流れ
1.現在の社員を良く観察する
2.将来の会社をどうするのか考える
3.今の社員をどう成長させるのか考える

 

人材育成の基本(教える内容で分類)
1.技術や知識(座学やマニュアルを使う)
2.仕事をするスキル(面談を中心に)
3.人との関係性構築(エンパシースキルを磨く)

 

人材育成の基礎として、
教える側(社長)と教えられる側(社員)との間に
「信頼関係」が必要

 

詳細は、ブログカテゴリ「211_チーム会社の人材育成」
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リフレクションとは

リフレクションとはふりかえりのことだと
先ほどお話ししました。

 

私がふりかえりという言葉を使わず、
あえてリフレクションという言葉を使うのか、
というと、
ふりかえりという言葉を強く誤解していたからです。

 

昔、良く言われたのが、
「反省しろ」
という言葉でした。

 

反省するということは、
どちらかというとネガティブなイメージがあります。

 

今までやってきたことは間違っていたので、
それを反復して省み、
心持ちを変える、やり方を変える、
といった何らかの変化を求めるものです。

 

今までやってきたことの
全否定まではいかないものの、
「否定する」イメージが強く残っています。

 

確かに改善をするためには
今までやってきたことはダメ、
とした方が良いでしょう。

 

ですが、すべてダメなのか、
と言えばそうではないはずです。

 

良いところも必ずあります。

 

私の中でふりかえりという言葉には
反省という意味が深く印象に残っていたので、
あえてリフレクションという言葉を使う
ようにしています。

 

もし、ふりかえりに、そこまで
ネガティブイメージがない方は、
リフレクションをふりかえりに読み替えて
いただいても構いません。

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ふりかえる猫…

リフレクションの基本的なやり方

リフレクションは、
自分の今までの行動を振り返って
良かった点と悪かった点を取り上げる、
というのが基本的なやり方です。

 

ところが、
取り上げて終わり、
だけでは本当の意味のリフレクションでは
ありません。

 

良かった点は、
どのように良かったのか、
ということを追及する必要があります。

 

今までできなかったのに、
できるようになった、
というだけではダメなのです。

 

何故できるようになったのか、
どのように変化させたらできるようになったのか、
ということを考える必要があります。

 

リフレクションが慣れていない社員であれば、
そこまで一人で考えるのが難しいので、
社長がそこを支援します。

 

社長自身が社員から話から、
できるようになったコツが理解できるまで
聴きだすことです。

 

何となくできるようになった、
という感触であれば、
その技術の再現性はありません。

 

偶然にできたモノやコトでは
仕事になりません。

 

どのように工夫をしたからできた、
という話を聴く、ということです。

 

もし、そのあたりの知識が乏しく
表現できないようであれば、
知識を伝授する機会です。

 

○○の理屈から××ができるんだ、
といった知識を身につけさせるのです。

 

社員も一度できているだけに、
理解度がグンと進みます。

 

また、社員が工夫した点が偶然にも
改善へとつながる可能性もあります。

 

社員が一生懸命考えた末の工夫が
とても役に立つものであれば、
その工夫を全社に渡って利用する方が
大変効果的です。

 

良い点を分析することは、
社員自身の知識を深めるとともに
改善に大いに役立つのです。

 

悪かった点、
できなかった点を聴く際は、
叱ったり怒ったりせずに、
順を追って、プロセスを確認します。

 

どこかでやり方が間違っていたのではないか、
考え方が間違っていないのではないか、
とチェックするわけです。

 

そうすることで、
できなかった理由がハッキリします。

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間違った!


できなかった理由が
知識不足であれば、
知識を補います。

 

最初に同じ知識を伝えたのかもしれませんが、
失敗した後の方が理解度が良くなります。

 

知識は十分に身についていたのであれば、
単なる技術不足です。

 

できない技術を繰り返し練習させるのです。

 

ここで、
努力不足や根性不足、
といった言葉でごまかさないことが
大変重要です。

 

良くできなかった理由で、
「努力が足りなかった」とか
「性格的に不向き」とかを
あげる方がいます。

 

努力が足りないのであれば、
今後、どのような努力をしていくのかを
明確にしておくことです。

 

「頑張る」という言葉が続いて出てきますが、
では、どのように頑張るのか・・・
という押し問答を続けるのです。

 

努力する、
頑張る、
といった言葉は、
やることが明確にわかってから
使う言葉です。

 

やることが明確になっていない時期に
ひたすら努力したり頑張ったりしても、
無駄、無意味の場合がたくさんあります。

 

ひたすら練習をする時間が
十分にあるのであれば良いのですが、
普通はあんまり時間がありません。

 

仕事をしなければお給料分の売上が上がりません。

 

練習している社員にお給料をあげるだけの
余力はチーム会社にはないはずです。

 

いつ、どのように練習をするのか、
練習する部分はどこなのか、
より具体的に、
今からすぐに行動に移せるくらい
話して決めておくことが肝要なのです。

リフレクションを通じての改善

そして、忘れてはならないのは、
「やり方の見直し」です。

 

できないのは、仕事のやり方そのものが
効率的ではない、わかりやすくない、
業務と関係ない技術が必要
(代表的な技術は社内政治力)
といった場合もあるからです。

 

技術を要する仕事ではないのに、
なかなかできない、という場合は、
やり方そのものを見直す必要があります。

 

これが「改善」につながるのです。

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改善でランクアップ


ですが、これ、なかなかの曲者です。

 

長年、このやり方で成功してきたのは、
他ならぬ社長自身です。

 

社長の成功体験が豊富であればあるほど、
そのやり方がおかしい、
と気づくのが、大変難しいのです。

 

これは、どんな人でも言えることです。

 

社長だから、というわけではありません。

 

経験豊富である、
ということ自体が、改善に気づかせない、
ということにつながるのは
どんな会社でも言えることなのです。

 

だからこそ、社員ができない、というのが、
社長自身のリフレクションのキッカケになります。

 

社員がどのようにやってもできない、
何度やってもできない、
技術も知識もある、
といった場合、やり方が悪い、
という可能性だってあるわけです。

 

だから、やり方を変える、
ということが必要になります。

 

社員と一緒にリフレクションをしていく利点は、
ここにあると言っても良いでしょう。

 

やり方も含めて、
社員とともに検討するのです。

 

それが改善につながっていきます。

 

最初は小さな改善かもしれません。

 

ですが、改善の成功体験は、
社員に大きな自信をつけさせ、
大きな改善へとつながっていきます。

 

それが元で、その社員は
あるある社員へと変貌を遂げるかもしれません。

 

それがチーム会社の危機を救うことに
なるかもしれません。

 

また、良かった点も改善へつながります。

 

社長一人では入手できる情報も限られていますが、
社員を含めて、もっと効率的にできる方法はないか、
と探っていけば、
きっとより良い改善へつながる情報が手に入ります。

リフレクションのタイミング

リフレクションは、
できれば何かをした、教えた、
そのすぐ後が効果的です。

 

特にコミュニケーションの場合は、
忘れてしまう可能性が高いので、
帰社したら、すぐに行う方が良いでしょう。

 

もし、できなかったことができるようになったら、
すぐに手放しで褒めます。

 

出来あがりが今一つでも、
何かができていたら、
そこをきちんと認めることが重要です。

 

そして、徐々にリフレクションまでの間隔を
開けていきます。

 

最初はものごとの直後だったものが、
一日の朝夕の2回、
一日一回、
三日に一回、
一週間に一回まで間隔をあけます。

 

成長度合いを見ながら、
開けていくので、
いきなり間隔をあけたり、
逆に狭めたりしてはいけません。

 

そして、できれば、
一週間に一回からはあけることが
ないようにしましょう。

 

社員数に応じて、
社長一人では厳しい場合は、
他の役員にも手伝ってもらいます。

 

一週間に一回というのは、
育成される側、つまり社員も
育成されている事項を忘れずにいるためにも
必要です。

 

これから人材育成をする、
と宣言しているはずですから、
間が二週間以上空いてしまうと、
社長に対する信頼感が損なわれてしまいます。

 

「また、言うばっかりで実行がない」
というレッテルを
社員から社長に貼られてしまうのです。

 

なので、全員が一週間に一回ペースであれば、
何曜日は誰誰の日、と決めておくか、
何曜日はリフレクションの日、と決めておくことを
おすすめします。

まとめ

今日は、リフレクションの力と題して
リフレクション、
つまり、ふりかえりのやり方について
お話ししてきました。

 

リフレクションは、人材育成に欠かせない
重要な教え方の技術です。

 

ですが、通り一遍のリフレクションであれば、
本当に効果は出ません。

 

リフレクションは、
良かった点、悪かった点を
洗い出すだけではありません。

 

良かった点はなぜ良かったのか、
どういった点が良かったのか、
なぜできるようになったのか、
等、分析します。

 

悪かった点もなぜ悪かったのか、
どういった点ができなかったのか、
どうやったらできるようになるのか、
等、分析が必要です。

 

そして、良かった点や悪かった点を元に
今後どのようにすればもっと良くなるのか、
どのようにすればで上手くできるのか、
といったことを考えていきます。

 

それが、社員の成長の糧となります。

 

また、それらリフレクションは、
会社の改善にもつなげていきます。

 

今まで社長だったらできていたものが
社員ではできない、というのであれば、
どう改善すれば社員もできるようになるのか、
と考えていくのです。

 

大した技術がなくてもできるというのであれば、
再現性(同じ品質の製品がいくつもできること)を
確保するために、「やり方」そのものを変える
改善が必要になります。

 

また、リフレクションのタイミングは
直後が最適です。

 

それから、できるようになってくると
徐々にリフレクションのタイミングの間隔を
開けていくのが良いです。

 

こういったことをお話ししてきました。

 

それでは、今日はこの辺で。

人間関係の構築の教え方

今日は人材育成の中で
人間関係の構築をどのように教えるのか
についてお話しします。

 

特に人間関係を構築するのが
苦手と思っている社員、
コミュニケーションがうまくない社員を
対象に教える場合を取り上げます。

 

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

残念ながら、チーム会社は、
研修をするお金がない
研修をする時間がない
という理由で、研修という形での
人材育成はできません。

 

なので、社長自らが人材育成をするのです。

 

ただ、学校教育では教え方を学びません。
今までは人材育成の基礎や基本を
話してきました。

 

人材育成の基本的な3つの流れ
1.現在の社員を良く観察する
2.将来の会社をどうするのか考える
3.今の社員をどう成長させるのか考える

 

人材育成の基本(教える内容で分類)
1.技術や知識(座学やマニュアルを使う)
2.仕事をするスキル(面談を中心に)
3.人との関係性構築(エンパシースキルを磨く)

 

人材育成の基礎として、
教える側(社長)と教えられる側(社員)との間に
「信頼関係」が必要

 

詳細は、ブログカテゴリ「211_チーム会社の人材育成」
からどうぞ。

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人間関係が一番難しい?

会社を辞める最大の理由は
社内の人間関係だと言われています。

 

それは、同僚同士との人間関係だけでなく
社長や上司との人間関係、
顧客との人間関係も含まれます。

 

人間関係の構築に関しては
小学校から道徳の時間などを通じて、
また学級活動などを通じて
学んできているはずです。

 

ですが、
学校の場合、同じ年ごろの人間相手であり、 
年上の相手は「先生」や「親」といった
保護してもらえる対象です。

 

年齢層の幅広い社会で通用するとは思えない、
と普通の人は思ってしまうため、
学校で習ったことを活かせていないと
思われます。

 

また、
長い社会人生活を経験している人にとって
人間関係が一番大切だと口を揃えて言います。

 

その大切な人間関係の構築が
上手くいかず退職してしまうのは、
何故なのでしょうか?

 

人間関係を構築するのは
生まれ持った性質ではなく
「技術」です。

 

これをエンパシースキルと呼びます。

 

共感力とも言われているスキルですが、
相手の立場や感じ方を想像しながら
感じ取る技術です。

 

技術であれば、習得することができます。

 

ですが、意識して習得しようとしてこなかった人が
とても多いと感じています。

 

それは、日本社会が難しくなかったからです。

 

昔から「言わなくてもわかるだろう」という言葉を
何度か聞いたことがあります。

 

男女限らず、自分の気持ちを察するのが当然、
ということです。

 

同じ日本人なんだから、そのあたりはわかるよね、
といった言葉も別の表現として存在します。

 

同じ立場、同じ民族だから、
感じ方は同じである、
という思想的な感情は確かにありました。

 

 

様々な民族がいる国家の場合は、
言葉を通じてでしか分かり合えない、と
比較的幼い頃から
人間関係のための学習をしているようです。

 

ですが、日本は若干そのあたりを
あまり重視していなかったように思えます。

 

最近は見直しがなされていますが、
私が子どもの頃は、あんまり学校で学ぶことは
ありませんでした。

 

だから、自分の考えをきちんと話すこと、
人の考えをきちんと聞くこと、
相手の立場を考えることなどが
上手くできないまま社会に出ている人が
多いと私は思っています。

 

なので、相手のことを考えずに、
思いついたことをそのまま伝えてしまい、
トラブルになる、
相手に対してハラスメントをしてしまう、
といったことが発生してしまいます。

 

また、逆に相手のことを考えすぎて
がんじがらめになってしまい、
ストレスを強く感じて体調を崩してしまう、
ということも発生しています。

 

まずは、
人間関係を構築するという意識を持つこと
が必要です。

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社員が引っ込み思案で
なかなか人前で話せない、
コミュニケーションが苦手で
上手く人間関係が作れない、
という場合でも、

 

技術を磨けば
人間関係を構築できるのだ、
と伝えてほしいと思っています。

 

そして、人間関係を構築する支援を
してほしいのです。

 

ちょっとした支援で
社員はできるようになります。

人間関係を構築するという意識

まずは、人間関係を構築する、
という意識を持たないことには
先に進めません。

 

ところが、先日大学生と話をしていると、
数十歳もの歳の離れた人と話すことは
怖いと感じていることがわかりました。

 

確かに、大学生や高校生にとっては
家族や先生以外で
数十歳も年の離れた人と話す、
ということは生まれて初めての経験です。

 

怖いと感じるのは、
歳が離れた人のことを良く知らないからです。

 

最初に社長のことを良く知ってもらうことが
とても大事です。

 

良く知ることができれば、
怖くなくなるはずです。

 

また、なかなか人とじっくり話す、
という経験がない熟年社員もいるでしょう。

 

今まで顧客と話すのは営業に任せきりで
長年製品作りに没頭してきた
という熟年社員も
なかなかコミュニケーションを苦手としています。

 

ですが、今後その高い技術を会社のために
引き継いでもらう必要があり、
そのためにも若い社員へ教えることが必須になります。

 

ただ、熟年社員はその方自身が学ぶ時には
「オレの背中をみて仕事を覚えろ」的な
人材育成をされてきていますので、
話さなくても若い人に教えられる
と思い込んでいるかもしれません。

 

しかし、全く話さない状態では
人間関係は構築できません。

 

熟年社員にも
人間関係を構築する意識をもってもらう
必要があります。

人間関係構築のためのコミュニケーション

人間関係をスムーズにするには
コミュニケーションが欠かせません。

 

そこで、コミュニケーション研修を希望される
企業がたくさんあります。

 

私も何度もコミュニケーション研修を
企画してきました。

 

ただ、コミュニケーションは
研修で机上で学ぶものでは当然ありません。

 

なので、研修を企画する際は
ワーク中心、体験型研修を多く企画しています。

 

ですが、効果があったのか、
と言えば、かなりの疑問が残ります。

 

コミュニケーションは
1対1
1対多
といったケースの違い、
そして、相手がどんな人かによって
使われる技術が大きく異なります。

 

研修でいくら体験しても
その体験と同じシチュエーションが
現場では起こりえない、ということです。

 

コミュニケーションの課題は、
その場その場で対応の仕方が異なり、
基礎を学んでも応用力が効かないということです。

 

そこで、苦手意識がある人は
ますます他人と話すことがなくなり、
話す力が失われていくことになります。

 

もう一つ課題があります。

 

コミュニケーションは会話を中心としており、
後から思い返す際に
正確に思い返せない、ということです。

 

ああ言った、こう言った、で、
後々のトラブルの素になるように、
その時の正確な会話を再現するのは
不可能です。

 

それでも、コミュニケーション力を鍛えるために
基本から教えていく必要があります。

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コミュニケーション力をアップする教え方

基本を身につけさせる

コミュニケーションの基本とは
何でしょうか。

 

もちろん、良く言われる「あいさつ」は
肝心です。

 

ただ、あいさつもキチンと相手を見て
声とともに明るい表情や会釈が必要です。

 

人間関係の構築には、
このあいさつに続いて
天気の話や昨日のプロ野球の結果など
話が続くことが必要です。

 

いわゆる雑談です。

 

コミュニケーションが苦手な人は、
この雑談が苦手です。

 

何を話せば良いのかがわからないのです。

 

あいさつの練習だけをさせても
雑談ができなければ、
本当にあいさつだけで会話が終了します。

 

コミュニケーション力アップのために
少しの間、あいさつの後に雑談を取り入れます。

 

その日の天気の話やニュースの話題から
お互いの好きなモノや趣味、
興味のあることなどを話します。

 

政治的な話がしにくい場合は、
芸能ニュースなどでも良いでしょう。

 

変化があれば、それが雑談の話題になります。

 

そうすれば、良く知った相手となり、
怖いという感情はなくなるでしょう。

 

そこが重要なのです。

 

仕事上でトラブルが発生した時、
怖いと感じていなければ、
身近な人と感じてくれていれば、
すぐに報告に来てくれるでしょう。

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また、慣れてくれば、
好きなことだけでなく、
嫌いなことやモノ、苦手なモノなども
話題にします。

 

一人の人間として
さまざまな面を見せることが
関係性を強めていきます。

 

そして、このように人間関係を構築する
ということを
かなり慣れてから話すのです。

 

そして、
雑談を広げていくためにも
新聞やテレビのニュースなどを見ること、
必要と思われる情報の入手をすることなども
合わせて伝えましょう。

 

社長との人間関係ができ上がれば、
それを足掛かりに
他へと広げていくことができます。

 

なかなか上手く話せずに
何を考えているかわからない
若手や新入社員、
話すのが苦手な熟年社員などに対して
コミュニケーションの基本と
必要性を是非とも説いてください。

対応力がない社員には

あいさつなどのコミュニケーションの基本は
できているが、
なかなか顧客との会話が続かない、
対応力がない社員に対しては、
次のように教えていきます。

 

対応力を身につけさせるためには、
その場の目的が何なのかを
明確にしておくことです。

 

例えば異業種交流会のような場で、
初対面の方々と話さなければならない時、
あんまり話すのが苦手な社員だと
気おくれしてしまうでしょう。

 

ですが、
「どんな人たちがいたのか後で教えてくれ」
とそこに参加するための目的を明確にします。

 

異業種交流会であれば、
まず名刺交換をします。

 

その名刺を見て、
・相手の会社の主な業種、製品・サービス
・その中で相手の主な職種(営業、製造など)
・相手が得意としている点
・相手が苦労している点
などを起点に
「ひたすら聴く」ということを
行わせるのです。

 

さすがにその場ではメモを取れませんので、
聴いたら、その内容を自分の言葉で言い返す
ということをさせます。

 

そうすることで記憶に残りやすいからです。

 

人間は自分の事を話すのが大好きです。

 

聴かれたことに答えるうちに
だんだんと熱が入ってきます。

 

当然、聴きながら、リアクションも
忘れてはいけません。

 

リアクションもコミュニケーションです。

 

そうしているうちに
名刺交換の時間は過ぎてしまうでしょう。

 

名刺交換の時間を無事に過ごせたという自信は、
社員に大きな成長を与えます。

 

これを何度か繰り返せば、
徐々に反応が上手くなっていくのです。

 

営業として顧客へ向かわせる時も、
その顧客を訪問する目的を明確にします。

 

単なるあいさつ訪問だけなのか、
顧客の何を聞き出すのか、
といった目的を明確にします。

 

ただ、顧客のニーズを引き出す、
といった漠然としたものはNGです。

 

顧客○○さんの
最近の困ったと思ったことを聞く、
というくらい具体性を持たせます。

 

持ち帰った話が会社の事業に
直接役立たないかもしれませんが、
聴いてきたことについては
褒めてください。

 

「ばかやろう!
そんなことを聞いてどうする?!」
などと反応することはNGです。

リフレクションを必ず行わせる

そして、忘れずにさせるのが、
リフレクション(ふりかえり)です。

 

こういったリアクションしたら
相手の表情が和らいだ
とか
こういった質問したら
相手が困った顔をした
といったことを
忘れないうちに記録するのです。

 

できれば、その記録を見ながら
社長と一緒に話をすると良いでしょう。

 

コミュニケーションが苦手な社員は
相手の顔が困った表情になったなど
ネガティブな態度を示した際、
自分の無力さを感じ取ってしまいがちです。

 

良くありがちなのが
ネガティブな態度がネガティブな感情を
想起してしまって
相手を怒らせてしまったのでは、
と思い込んでしまうことです。

 

そこで社長が注意喚起してほしいのです。

 

ネガティブな態度と
ネガティブな感情は必ずしも一致しない
ということを。

 

質問内容に正確に答えようとして
考えこんでしまったあまり、
つい眉間に皺を寄せた、
という場合もあります。

 

私はこれを
「認知をシフトする」
と言ってます。

 

元は認知行動療法から我流に拝借してます。

 

社員から話を聞きながら、
「お前の質問に真摯に対応しようと
していたことから生まれた表情」
とポジティブな方向性へと向けるのです。

 

そうすることで
社員は悪い方へと考えず、
自信も生まれてきます。

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まとめ

人間関係の構築が苦手な人は
たいがいコミュニケーションが苦手で
対人関係に悪い印象があり、
自分に自信が持てない場合が多いです。

 

それには、次のように教えていくと
良いでしょう。

 

1.あいさつの次に続く雑談にする話題を
たくさん集めさせ、会話が続くようにさせます。

 

2.大勢が集まる名刺交換会などに参加させ
名刺交換した相手の話を聴きだします。

 

3.その状況を終了直後に記録し、
自分なりにリフレクションします。

 

4.社長は、リフレクションに基づいた
話を聴き、ネガティブな認知をシフトします。

 

コミュニケーションに苦手意識を持ち、
あまり話さない社員でも、
家族(特に両親)や学校時代の友人とは
普通に話しているはずです。

 

要は「慣れ」と「自信」なのです。

 

会社で、
社会人としてコミュニケーションが取れる
慣れと自信がつけば
話せるようになっていきます。

 

本日は、
コミュニケーションに苦手意識がある
社員に対して、
人間関係の構築について教える教え方を
お話ししてきました。

 

それでは、今日はこの辺で。

仕事のやり方の教え方

今日は人材育成の中で
仕事の進め方をどのように教えるのか
についてお話しします。

 

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

残念ながら、チーム会社は、
研修をするお金がない
研修をする時間がない
という理由で、研修という形での
人材育成はできません。

 

なので、社長自らが人材育成をするのです。

 

ただ、学校教育では教え方を学びません。
今までは人材育成の基礎や基本を
話してきました。

 

人材育成の基本的な3つの流れ
1.現在の社員を良く観察する
2.将来の会社をどうするのか考える
3.今の社員をどう成長させるのか考える

 

人材育成の基本(教える内容で分類)
1.技術や知識(座学やマニュアルを使う)
2.仕事をするスキル(面談を中心に)
3.人との関係性構築(エンパシースキルを磨く)

 

人材育成の基礎として、
教える側(社長)と教えられる側(社員)との間に
「信頼関係」が必要

 

詳細は、ブログカテゴリ「211_チーム会社の人材育成」
からどうぞ。

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仕事のやり方とは

ところで、
仕事のやり方とは何でしょうか。

 

研修の提案をしに行くとき、
提案資料を作成します。

 

その提案資料を見ながら、
ぼそりと
良く言われる言葉があります。

 

「こういう資料を作れる人を育てたいんだよね」

 

それは、提案資料の作り方を知りたい、
というわけではなく
相手にわかりやすく図解や表を入れ
ポイントを押さえた資料を締め切りまでに作る、
ということ。

 

研修提案に慣れないうちは、
「あ、PowerPointの研修をしますか?」
などと返していましたが、
最近では、
「企画力」や「提案力」といったことを
望まれているんだと思っています。

 

企画力のある人が社員に一人いれば、
どんどん新しい仕事を生み出して
会社の業績は右肩上がりになる、
と思う社長は多いです。

 

ですが、企画力「だけ」ある人材は、
はっきり言って使いものになりません。

 

企画力や提案力とともに
そのアイデアを実現していくスキルが
必要なのです。

 

 

一から起業した社長であれば
経験されたと思いますが、
イデアを実現するためには
様々な課題を乗り越えていく必要があります。

 

目標を定め、少しずつ確実に歩を進め、
大きな課題が発生すれば、
解決のための道筋をつけ
周りの協力を取り付け
難題を乗り越えていくスキル。

 

ここでいう仕事のやり方とは、
このような着実に実現していくことを指します。

 

起業をする、という大きなものでなくても
普通に仕事をしていると出くわす
課題やトラブルを
上手くチャンスに変えたりかわしたりして
仕事をやり遂げていくことができる能力。

 

これは、学生時代でも身につく能力です。

 

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例えば、部活動。

 

大会などで勝つために
どのような練習をし、チームワークを醸成するのか、
といったことは同じ能力です。

 

学校生活でも、
高校受験や大学受験などに打ち勝つために
どのような戦略を練り、
どのように進めていくのか、
といったことも同じ能力です。

 

ですが、残念ながら、
監督やコーチの言う通りに行動しただけ、
学校や塾の先生の言う通りに学習しただけ
では、この能力は身につきません。

 

身につかないまま社会に出てしまい、
社長や上司の言う通りに動く社員となります。

 

素直で聞き分けの良い社員ですから、
大きな問題を起こすこともなく
定年まで働き続けることができます。

 

ただ、変化が激しい現代社会でも
自らを変えず、考えることもせず、
社長や上司の指示待ちの状態が
ずっと続くことになります。

 

自ら考えて動くような社員にするには、
まず、自分の仕事をきちんとこなせることが
重要です。

 

そのための仕事のやり方を学ぶ必要性があるのです。

 

※仕事で使う技術や知識については
前回お話ししていますので、
そちらを参考にしてください。

 

仕事には、
・納期
・品質
・コスト
の考え方が重要です。

 

納期がない仕事もありますが、
それでも毎月決められた締め日が
存在していると思います。

 

それだけでなく、年間を通しての業務もあります。

 

いわゆる「締め切り」です。

 

モノを作る業種でなければ
あまり品質を気にしない、
という社員もいます。

 

ですが、サービスであっても
今はサービス品質が問われる時代です。

 

「おもてなし」はサービスの
最高級の品質を表します。

 

最後に「コスト」です。

 

意外と
社員は自分にかかるコストを認識していません。

 

昔、言われた言葉で印象に残ったものがあります。

 

「会議に10分遅刻したら、
会議参加者全員の10分の給与泥棒だ」

 

1カ月手取り19万2千円の社員がいるとします。
※計算しやすいようにしています。

 

1カ月20日働くとして、1日が9,600円。
1日8時間働くとして、1時間が1,200円。
1時間は60分なので、1分が20円。

 

10分遅刻すれば、1人200円の損。
会議室に10人いれば、2,000円の損。
2,000円の利益を上げるには、
粗利率20%としたら10,000円ほど
売上をあげなければなりません。

 

こんな計算ができるのかどうか、です。

 

今までは教えるのではなく管理だった

今までは「管理」ですべて行ってきました。

 

管理職と言われる方が、
納期や品質、コストを管理するのです。

 

今までは、と言いましたが、
今でも、と言うべきでしょう。

 

今なお、管理職は現存し、
管理職はこの3点を主に管理します。

 

ですが、チーム会社には管理職はいません。

 

人数が少ないので、管理だけする人は
到底置けないのです。

 

一人ひとりがお金を稼ぐ仕事につかなければ
会社が成り立ちません。

 

ここが大企業とは大きく異なる部分です。

 

なので、社長が管理職を兼任しています。

 

でも、その管理を各社員に任せることができたら、
社長は他の業務を行うことができます。

 

だからこそ、仕事のやり方を
社員ができるようになるのは
とてもありがたいことなのです。

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「管理」は実は大変なのです。

 

建設業やIT業界などでは
プロジェクトマネジメントと言って
管理する技術について
学ぶ機会があります。

 

チームのスケジュール管理や
品質管理、
コスト管理をするやり方の
世界標準すら規定されています。

 

PMBOKという名前で、
プロジェクトマネジメントのノウハウが
記述されています。

 

PMBOKとは、
Project Management Body of Knowledgeの略で
直訳すればプロジェクト管理の知識体系です。

 

ただ、PMBOKを学んだと言っても
すぐにマネジメント、つまり管理が
できるのか、と言えば、難しいでしょう。

 

PMBOKはあらゆる業種に合わせて
作られているので、自分の業種や業務にあう
やり方は自分で選択する必要があります。

 

これを社員に学ばせるには
時間がかかり過ぎて
あまり効果が出ないでしょう。

 

そこで、ここではポイントのみを
お伝えしていきます。

管理ではなく社員自ら責任を持たせるために

社長が管理するのではなく
社員自ら自分の仕事を管理するには、
先ほどの「納期」「品質」「コスト」を
その社員の範囲内で管理する能力を
身につける必要があります。

 

PMBOKには他にもありますが、
私は必要最低限この3つだと考えています。

 

これらは実際に社員にやらせることをしないと
社員は自分の仕事に対して責任を持ちません。

 

重要なのは、その「社員の責任の範囲内」で
社員に管理する能力を身につけさせる、
という点です。

 

会社の全責任を負うのはもちろん社長です。

 

ですが、社長一人がすべてを背負っては
会社は発展していきません。

 

だからこそ、社員一人ひとりが自分の範囲内の
責任を負うことで、会社の土台を支えるのです。

 

ただ、責任だけを負わせるのでは
社員は社長についていきません。

 

責任がある、ということは
実は「自由」がある、ということです。

 

逆に、
自由がある、ということは
その結果に責任を持つ、ということです。

 

そのあたりを十分に社員に理解させておく
必要があります。

 

そして、
自由にさせるのは、「やり方」が中心であり、
「会社の方針」や「方向性」は社長が
全責任を持つ、ということです。

 

会社は人の集まりであり、
人が集まるところは何かの「想い」があります。

 

ここでいう想いは、会社の目的を指します。

 

この目的の部分は社長が責任を持ちます。

 

ですが、その目的に到達するための
やり方は社員が責任を持つのです。

仕事のやり方の教え方

では、仕事のやり方を教えるには
具体的にどうするのでしょうか。

 

「納期」「品質」「コスト」それぞれに
対して教え方が少しずつ異なります。

 

それらについてお話しします。

納期を管理する能力を身につけさせる

納期とは、つまり時間管理です。

 

どんな仕事でも
いつまでに仕上げる、
という時間制限があります。

 

いつかできたら良いな、
という仕事は、仕事ではなく
芸術の範疇でしょう。

 

ただ、それが
○○カ月後なのか
○○日後なのか
○○時間後なのか、
はてまた○○分後なのか
によっては人の動き方が異なります。

 

○○時間後や○○分後の場合は、
「急ぎの仕事」に含まれ、
他の仕事より優先されて実行されます。

 

えてして
急ぎの仕事は突然現れます。

 

任せていたはずの仕事が終わってないため、
急遽自分でやる羽目になったとか。

 

締め切りを忘れていて
慌てて取り組んだとか。

 

ただ、いつも
急ぎの仕事ばかりしていると
身も心も疲れてしまいます。

 

なので、できれば急ぎの仕事は
必要最低限に抑える必要があります。

 

必要最低限とは、
顧客からのクレーム、
突発的な災害や事故、
というものです。

 

先ほど例に挙げた
頼んでいた仕事ができていない、や
締め切りを忘れていたなどは
時間管理ができていれば
防ぐことができます。

 

その時、時間管理の訓練にちょうど良いのが
○○日後が締め切りの仕事です。

 

締め切り日を記述したカレンダーを見ながら
その仕事ができる時間を算出します。

 

ひとつの仕事しかしていない社員は
ほとんどいないと思いますので、
他の仕事との兼ね合いを考えるのです。

 

通常、人は締め切り日が直前に来ると
取りかかる習性があります。

 

夏休みの宿題を夏休みが終わる日に仕上げる
といったようなものです。

 

ですが、前もって準備をしておくと
締め切り日前でも
仕事を終わらせることができるのです。

 

例えば3日後が締め切りの場合、
社長は社員に対して、
今日は何をするのか、
明日は何をするのか、
明後日は何をするのか、
と準備の内容を確認することで
社員は時間管理の方法を学ぶことができます。

 

そして、必ず毎日チェックします。

 

一日の終わりに、
今日する予定だったことはできたのか、
できていたら、明日は何をするのか、
できていなかったら、
今後どうするのか、
といったことを確認していきます。

 

これを繰り返していくと
納期を管理する能力が身についていきます。

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品質を管理する能力を身につけさせる

品質を管理するには、
納品するモノについて
どこまでするのか、を把握させる
ということが一番大事です。

 

例えば、先に企画書や提案書の話をしましたが、
企画書や提案書は時間をかければかけるほど
手の込んだものを作ることができます。

 

ですが、本当にそこまで手の込んだものを
顧客が望んでいるのか、と聞くと
たいがいは
「お客様のためになるから」となります。

 

顧客の望みを表現するために
作りこむのは良いです。

 

ですが、顧客が望んでいる以上のものを
作りこむのは自己満足でしかありません。

 

品質を管理する能力を身につけさせるには、
まず、何ができ上がったら、
もしくは、
何がどうなったら
この仕事は完了なのかを
明確にさせることが重要です。

 

いわゆる「仕事の終わり」を明確にさせます。

 

実は意外とここが不明瞭のまま
仕事をし始めていることが多いのです。

 

○○をしなさい、
と指示を出すことがあります。

 

その際に「すること」を指示します。

 

最初に○○をして、次に△△をして・・・

 

仕事の指示はこのように
手順を指示することが多い時は
指示の出し方を変更します。

 

つまり、
××という作業をしなさい、
やり方は任せる、
という指示をすることが必要なのです。

 

もちろん、その社員のレベルに応じて
指示する必要があります。

 

すでに何度もその作業を完了させた経験を持つ
社員には、やり方を任せてみることです。

 

いきなり任せるには少し不安、
という場合は、
どのようにやるのか、
やり方を確認していくのです。

 

やり方の中には、
今まで通りの方が効率的の場合もあります。

 

ですが、今まで通りよりもっと
効率的な方法があることもあります。

 

やり方の場合は、
細かくチェックする、
というよりも、
必要最低限可能かどうか、
というチェックにします。

 

要は法律に違反していないかどうか、
道徳に違反していないかどうか、
といったことをチェックするだけです。

 

業種によっては法律で
きめ細かく決められているやり方も
ありますので、
それを大きく逸脱することはNGです。

 

ですが、そうでなければ、
新しい方法を「やってみる」というのもあり
なのです。

コストを管理する能力を身につけさせる

コストの考え方を習得するには、
2段階あります。

 

1つは原材料などの目に見えるコスト。

 

製造業などはモノを作るため、
原材料がいくらなのか、
といったことは比較的簡単にわかります。

 

また、工場の電気代や水道代、
地代や家賃など、一般家庭にもある
コストも比較的理解しやすいでしょう。

 

地代や家賃の場合は、
机1個当たりのスペースの地代家賃を
計算するのもわかりやすくなります。

 

例えば、1人分の作業をするスペースが
月額10,000円、といった風にすると、
もうけをこれ以上確保しないと
会社が損する、と理解しやすくなります。

 

もう1つは、社員の給与そのものです。

 

社員にとって給与はコストではないのですが、
会社にとってはコスト(というより支払う
現金)です。

 

ただ社員は、なかなかこれが理解しにくいのです。

 

実際には社員1人に対して、
給与額+各種社会保険料のコストが
会社にかかっています。

 

これを理解しているのは、社長と
人事担当者か経理担当者くらいでしょう。

 

これらは、まず知識として
社員に伝えておく必要があります。

 

これらの知識は、もし万が一
会社を退職することになっても
非常に役立つ知識です。

 

労災や労働保険、
健康保険や年金がどのようになっているのか、
比較的若い時から
教えておくと良いでしょう。

 

この時、「会社が負担してやっているんだ」
と上から目線での言葉ではなく、
事実を淡々と伝えます。

 

もしくは知識を伝える際、
社長ではなく、
経理担当者や顧問の社会保険労務士
話してもらうのも手です。

 

社長自らが話すと、
恩着せがましい、といったイメージに
受け取られがちです。

※信頼関係があるとマイナスイメージは
半減するのですが・・・

 

そして、コストを習得させるには
何度も社員自ら計算させることが大事です。

 

概算で構いませんが、
コスト計算ができるようになれば、
あらゆるところで役立つようになります。

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教える際の注意点

教える際の細かな注意点は、
今までお話ししてきました。

 

ここでは全体を通しての注意点を
お話ししたいと思います。

 

お気づきだと思いますが、
仕事のやり方の教え方は、
一人ひとりの社員のスケジュールや
やり方をチェックする、
という方法です。

 

未熟な社員であればあるほど、
その頻度は多くなります。

 

社長自身がプレーイングマネージャーである
チーム会社では、
社長の負担が増大します。

 

ですから、
人材育成を行う社員の優先順位を
まずは考えていただきたいのです。

 

できれば未熟な社員よりも
経験豊富な社員から育成するのです。

 

仕事のやり方そのものは
経験豊富な社員の方が断然優位です。

 

ですが、今まで社長の指示に従った
仕事のやり方をしていた社員ですから、
戸惑いも大きいと思います。

 

しかし、社長に対する信頼度は
長い期間一緒に働いてきただけに
高いものがあるはずです。

 

経験豊富な社員は新しいことに慣れるのに
時間が若干かかりますが、
できなくはないはずです。

 

そして、その仕事のやり方の教え方も伝え、
更に若い未熟な社員への育成時には
協力してもらうようにする方が
現実的でしょう。

 

また、社員へ仕事を任せるタイミングですが、
「徐々に」がキーワードです。

 

一度に任せてしまうと失敗した時に
大変ですし、
「丸投げされた」というネガティブな
イメージを植え付ける可能性があります。

 

それよりも
少しずつできるようになったら
任せていくことが肝要です。

 

そして、重要な点が一つ。

 

社長自身が仕事のやり方をきちんと
マスターしておく必要がある、
ということです。

 

納期が守れない、
品質が低いままである、
コスト意識が薄い、
という状態では、社員は育ちません。

 

今すぐすべてができる、
というのが難しければ、
社員に学んでいるところを
是非とも見せてください。

 

学ぶ社長を見て、
社員は学ぶことの大切さを学び、
成長することを喜ぶようになるでしょう。

まとめ

本日は、仕事のやり方の教え方について
お話ししてきました。

 

社員一人ひとりに社員の作業を
管理する能力を身につけてもらうことが
仕事のやり方を教える最大の目的です。

 

それができるようになることで、
社長の手間がずいぶんと省けます。

 

そのために
「納期」「品質」「コスト」の3点から
それぞれ教え方をお伝えしました。

 

納期では、自分のスケジュール管理ができるよう
毎日作業進捗のチェックをする。

 

品質では、仕事の終わりがどんなものなのかを
意識させる。

 

そして、やり方を任せるために、
どんなやり方をしているのかを
必要に応じてチェックする。

 

やり方のチェックは違法でない、
モラルに反しない、という程度のチェックに
とどめておく。

 

コストでは、
原材料の費用や光熱費などのコストを学んだあと、
社員自身の給料と各種保険料の会社負担について
概算できるようにする。

 

そして注意点として、
社長自身が仕事のやり方を学んでおくこと

 

本日は、当ブログ最大の文字数を記録しております。

 

そろそろこれで終わりにしますね。

 

もっと具体的に、詳細に
今後お話ししていく予定ですので、
今後とも何卒よろしくお願いします。

 

それでは、今日はこの辺で。

技術・知識の教え方

今日は人材育成で多く取り入れられている
技術や知識の伝え方について
お話しします。

  

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

残念ながら、チーム会社は、
研修をするお金がない
研修をする時間がない
という理由で、研修という形での
人材育成はできません。

 

なので、社長自らが人材育成をするのです。

 

ただ、学校教育では教え方を学びません。
今までは人材育成の基礎や基本を
話してきました。

 

人材育成の基本的な3つの流れ
1.現在の社員を良く観察する
2.将来の会社をどうするのか考える
3.今の社員をどう成長させるのか考える

 

人材育成の基本(教える内容で分類)
1.技術や知識(座学やマニュアルを使う)
2.仕事をするスキル(面談を中心に)
3.人との関係性構築(エンパシースキルを磨く)

 

人材育成の基礎として、
教える側(社長)と教えられる側(社員)との間に
「信頼関係」が必要

 

詳細は、ブログカテゴリ「211_チーム会社の人材育成」
からどうぞ。

ugrade.hatenadiary.jp

技術を教える基本的な考え方

入社してすぐの社員や
若手社員に対しては
会社の業務そのものをやっていく上での
技術や知識が不足しているでしょう。

 

彼らを育成する場合は、
まず、技術や知識の伝授が必要です。

 

教える技術の内容に応じて
教え方も変える必要があります。

 

  • 一子相伝のような特殊技術 
  • 一般的な技術(機械操作、製作など)
  • 知識を必要としない技術

 

同じ技術でも大きく分類すると
上記の3つに分かれます。

 

一子相伝のような特殊技術の伝授については
伝統的な教え方が今でも主流です。

 

徒弟制度があった時代、
師匠と弟子、という関係性の中
師匠が技術を見せて
それを弟子が見て真似て覚える、
という構図です。

 

実は、特殊な技術の場合、
この方法が一番です。

 

一般的な技術の場合は
技術の流れを分解して
ひとつずつ教えていく必要があります。

 

そして、あまり知識が必要ない技術は
基本的にマニュアルを利用します。

 

一子相伝の技術の教え方

こちらは伝統工芸などの職場に相当します。

 

おそらく今でも徒弟制度に近い
教え方をされていると思います。

 

ただ、今まで通りであれば、
どうしても一人前になるのに
数十年かかってしまう、
という場合は、
技術に関連する知識を教える
という項目も参考にしてください。

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獲物の狙い方を猫に学ぶ?

一般的な技術の教え方

たいがい教える人は
その技術を当たり前のように使っているため
技術を使用している間は深く考えていません。

 

よって、今から教えられる人が
教える人のようになること、つまり、
深く考えずにできるようになる、
というのが目標となります。

 

ただ、教え方となると、
「これがこうなると、あれがこうなるから
こうやって、ああなれば、こうやって・・・」
という教え方をしていませんか?

 

「これ」とか「あれ」とかは
具体的な言葉が入るとしても、
実はこれだけでは
決してできるようにはなりません。

 

大きな技術の塊があれば、
まずはそれを分解することが必要です。

 

一番わかりやすいのは、
一連の技術の流れを
いくつかのパーツに分けるのです。

 

他にも内容や習熟する期間別に分ける
というのも良いでしょう。

 

要は、一度に何もかも教えない、
ということです。

 

スポーツの技術の習得の方が
イメージしやすいと思いますので、
サッカーのシュートの技術で
お話ししましょう。

 

シュートをする際、
足先の向きや蹴る強さ、
ボールに対する足の位置など
様々なことが複雑に絡み合って
ボールはゴールの中に飛び込みます。

 

人間の体の中で言えば、
蹴る足だけでなく、支える足の位置、
体の軸、手の振り、目線などがあります。

 

他に実践でシュートが打てるようになるには、
ゴールキーパーの立ち位置や能力、
他の選手の立ち位置など
複雑な要素が絡み合いながら、
シュートコースを瞬時に考え、
それを実行できるよう体の各部へ指示する力も必要です。

 

習得する技術は何気なくしているように見えて
意外とたくさんの要素に分解できるのです。

 

あとは、教えられる側がどこまでできているか、
によって、
教える内容を選択していきます。

 

足腰が鍛えられている人材なら、
ボールの蹴り方から教えれば良い、
というようなことです。

 

逆にボールの蹴り方はできるけど、
足腰が弱いなら、
筋力トレーニングや走り込みから始まります。

 

そして、できるようになるまで
努力が必要となります。

 

技術の場合は、体に身につける必要があるため
何度も練習を行う必要があります。

 

自動車運転のことを想像していただくと
わかりやすいでしょう。

 

運転歴1カ月程度だと、まだ、
「アクセルを踏んで、ここでブレーキを踏む」
といったことを頭の中で考えながら
操作していたと思います。

 

ですが、数十年経つと体の方が自然に動いて
助手席の人と会話もできるようになります。

 

業務の技術は、
何回も何回も失敗するでしょうけれど、
練習することが必要なのです。

 

ただ、失敗するたびに、
どこを修正すべきなのか、
を必ず考えさせることをしてください。

 

スポーツの一流と言われる選手も
繰り返し練習をしています。

 

ですが、アマチュアの選手も
同様に繰り返し練習しているはずです。

 

その違いは、
もちろん練習の総時間の違いもあると思われますが、
それ以上に、失敗に対して
「振り返り」があるかないかだと
考えています。

 

「どうやったらできるようになるんだろう」
と考え続けているかどうか、です。

 

ただ、その振り返りで気をつけたいのは
「できないのは努力が足りないから」
とはしないことです。

 

練習不足であるかもしれません。

 

ですが、前回もお話ししたように
ガムシャラにするだけでは
何の成長もありません。

 

精神論で片付けるな、
と言っているわけでもありません。

 

人間ですから、気分の好不調はあります。

 

他に気になることがあれば、
うまくいくこともいきません。

 

だから、メンタル面も重要です。

 

ですが、努力や根性だけで済ますことは
避けるべきです。

 

繰り返し練習するのは当然として、
できなかったら、なぜできないのか、
自分に足りていないのは何か、
を常に考えることが重要です。

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できるようになるため練習する

知識を必要としない技術の教え方

この技術は具体的に言えば、
・決められた様式の書類の数字を
 パソコンの決められた箇所に打ち込む、
・決められたメニューの中から選ばれた注文を
 決められた通りに調理して提供する、
といったことです。

 

実は本当に役に立つ人材にするには
幅広い知識を持ってもらった方が良いのですが、
当座で役立つ人材にするために
必要最低限覚えてもらいたい技術、
と言い換えた方が良いでしょう。

 

このような技術の場合、
教える時間がもったいないです。

 

ですから、大まかな流れを伝えた後は
マニュアル通りに行ってもらうことが
重要です。

 

マニュアルを見ながら
イレギュラーが発生した時だけ
呼んでもらうようにする、
のです。

 

ただし、そのマニュアルは
「誰が見ても、すぐにわかり、
誤解が生じないマニュアルであること」
が重要です。

 

パソコンへ数値を入力する技術であれば、
表示されるパソコンの画面写真に
クリックする順番や数値を入れる箇所を明記します。

 

注文通りに作成するためには、
手順通りに何をどのくらいの大きさで
どのようにするのかが、キチンとわかるように
できれば写真や図を載せておきます。

 

マニュアル通りに行わせれば
同じことを何度もするので
自然と技術も身についていきます。

 

このマニュアルを作成するのも大変な労力がいります。

 

ただ、一度作っておくと
次の人が覚える際にも役立ちます。

 

マニュアルに対して注意点があります。

 

マニュアルはあります、
という会社は多く存在します。

 

ですが、マニュアルを更新している会社は
ほとんどありません。

 

大変な労力をかけて作成された
マニュアルですから、
作ったら安心する、
という気持ちもわからなくはありません。

 

ですが、マニュアルは「更新」すべきです。

 

わかりにくいところ、
使い勝手の悪いところ、
社会全体が変化したところなど
マニュアル自体は常に更新される必要が
あります。

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マニュアルは人材育成にも重要

技術に関連する知識を教える

知識の場合は、
基本知識と背景知識に分けられます。

 

良く新入社員研修時に知識を
詰め込んで教えるケースがありますが、
実はそこで完全理解することは稀です。

 

比較的、
基本知識はすぐに覚えるでしょう。

 

例えば、美容師で言えば、
シャンプーとコンディショナーの違いは
簡単な説明で理解してくれるでしょう。

 

ですが、
背景知識は違います。

 

シャンプーの主成分の知識や
汚れが落ちる仕組みなどについては
ある程度、化学の知識が必要になります。

 

背景知識は、この化学の知識のことです。

 

他にも美容師の場合は、
頭の骨格や髪の成分など
生物学的な要素もあります。

 

どんな業種であっても
業種内の知識だけではなく
専門的な知識が必要でしょう。

 

そこだけは大学で学ぶ知識とほぼ同じ、
というケースも多くあります。

 

背景知識は
新入社員時に詰め込んでも
理解は全く得られません。

 

実は、ある程度経験を積むことで
理解されるようになります。

 

なぜ、この技術が必要なのだろう
なぜ、こんなふうにするのだろう
なぜ、この技術は生まれたのだろう

 

こういった疑問に答えるのが
背景知識です。

 

この疑問はある程度仕事に慣れた頃に
現れてくる疑問です。

 

疑問が生じたら、
難しい知識になりますが、
少しずつでも教えていきましょう。

 

必要に応じて
通信教育などを受けさせるのも手です。

 

技術には
その技術が生まれてきた理由があります。

 

 

そんな技術の歴史を含め、
その技術の背景となっている知識群を
学ばせることで、
より技術の扱いが上達していくでしょう。

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知識の山の書籍の山

背景知識が生じてこない

ただ、こんな疑問が現れてこない
社員もいます。

 

今まで通りにすれば良い、
と思い込んでしまい、
疑問が出なかったケースです。

 

これは、実は誰にでも起こりえます。

 

その社員の能力が劣っているわけでは
ありません。

 

思いもよらなかったことを
若い新入社員から疑問に投げかけられて
そこで改めて考えた、
という経験もあるでしょう。

 

その時、知ったかぶりをしないでください。

 

どうしても新入社員の手前、
「知らなかった」は恥ずかしいかもしれません。

 

ですが、知ったかぶりをすることは、
後々の人材育成に影を落としてしまいます。

 

若い社員から疑問を投げかけられた時、
「よく気づいたなぁ、すごいなぁ」
と感心してみせてください。

 

そして、
「今まで考えたこともなかったが、
それは学んでみる必要性がありそうだ」
と自ら学ぶ姿勢を示してください。

 

この対応は2つのメリットがあります。

 

1つは、素直に褒められてうれしい、
と思わせることができます。

 

それは知識や技術をもっと深めようという
やる気にもつながっていきます。

2つ目は、社長自らが学ぼうという姿勢を見て
人はいくつになっても学ぶことが大事なのだ、
ということを教えます。

 

もう30歳になったから学ぶことはない、
50歳にもなって知らないのはおかしい、
といった声を聞きます。

 

30歳になったからと言って
学ぶものがないことはありません。

 

50歳になったからと言って
知らないこともあります。

 

人間国宝になるような技術者はいつも
「わしゃ、まだまだだ。もっと上手くなりたい」
と言っているのを良く耳にします。

 

人間、いくつになっても学ぶことはあり、
いくつになっても学び始めて構わないのです。

 

それを教える良いチャンスと思ってください。

 

まとめ

今日は、技術と知識の教え方について
お話ししてきました。

 

技術は技術の内容によって
少しずつ教え方が変わります。

 

一子相伝のような技術は
徒弟制度のように一人や二人程度に
少しずつ教えていきます。

 

一般的な技術は、
いくつかに分解して、
教えられる側の習熟度に合わせて
選択して教えていきます。

 

そして、何度も練習させることが重要です。

 

ただし、失敗した際は、
どうしたらうまくできるようになるのか、
という振り返りが重要だということ。

 

知識が不要な技術に関しては、
マニュアルを作って
それを元に動いてもらうということ。

 

そして、知識は、
業務に密接に関係する基本知識と
技術の背景にある背景知識があります。

 

基本知識は技術を覚える際に自然と身につきます。

 

背景知識は、大学で学ぶ専門知識にもなる
難しい知識です。

 

ですが、技術に習熟するにつれ、
疑問が湧いてきて、
それに応えるように身につけていく知識でもあります。

 

今日の内容は比較的どんな会社でも
実践されてきたような教え方だと思います。

 

是非とも技術力のある人材へ育成してください。

 

それでは、今日はこの辺で。

根性が足りないからできない?

チーム会社が発展するには
社長自身で人材育成をする必要がある
ということで、
これまでお話をしてきました。

 

今回は、良くあるはなしとして
「根性が足りないからできないんだ」
というテーマでお話しします。

 

人を育成する時、育成される側の根性は
必要と思われますか?

 

結論から申せば、
根性そのものは
人材育成に必要です。

 

ただし、根性が必要なのは
人材育成の一部です。

 

何もかも根性一つで済ませるのは
間違いだということです。

 

今回は以下のような内容で
お話ししていきます。

  

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

残念ながら、チーム会社は、
研修をするお金がない
研修をする時間がない
という理由で、研修という形での
人材育成はできません。

 

ないないづくし社員とは、
やる気がない、自分から動かない、といった
会社にとってダメージを与える社員

 

あるあるづくし社員とは、
常にやる気があって、
会社の業績をアップさせる行動力があり
自ら考えることができる社員

 

ただ、チーム会社には
あるあるづくし社員が入社しない
労働市場で大企業へと流れてしまう

 

だからこそ、社長自ら人材育成をし
現在の社員をあるあるづくし社員へと
変貌させることが必要

 

人材育成の基本的な3つの流れ
1.現在の社員を良く観察する
2.将来の会社をどうするのか考える
3.今の社員をどう成長させるのか考える

 

人材育成の基本(教える内容で分類)
1.技術や知識(座学やマニュアルを使う)
2.仕事をするスキル(面談を中心に)
3.人との関係性構築(エンパシースキルを磨く)

 

人材育成の基礎として、
教える側(社長)と教えられる側(社員)との間に
「信頼関係」が必要

 

根性が足りないからできない?

人材育成の現場で良く耳にする言葉として
「根性が足りないからできないんだ」
というものがあります。

 

続けられた言葉は、
「今どきの若い者は根性が足りない」
です。

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根性がない猫

先日、ちょっと小耳にはさんだニュースで
宝塚音楽学校で伝統的な指導法(?)の一部が
廃止になる、というのがありました。

 

内容は言及しませんが、
これを聞いた人が
「本当に若い者は根性がない」
と言うのでは、と
つい思ってしまいました。

 

私自身、そんなに長く生きたつもりはないですが、
気づけば半世紀以上生きてました。

 

だから、半世紀前の状況だと
「仕事は盗み見て、根性で覚えるんだ」
「できなければできるまでやれ! 根性が一番」
といった言葉が普通に使われていたことを
知っています。

 

それを言われた、その当時の若い人である
私は、「根性って何?」
と思ったことを今でも覚えています。

 

仕事を盗み見るって言われても
事務作業は盗み見ることはできません。

 

机に向かって何やら書き込んでいるのを
覗き込むのは、かなり勇気がいります。

 

ずいぶん時が経って
ソフトウェア開発の会社に再就職した際は
「これは絶対に盗み見るは不可能だな」
と思いました。

 

先輩が頭の中で組み立てたプログラミングを
見ていただけでは習得できません。

 

できなければできるまで根性をもってする
ことも不可能です。

 

「なぜできないのか」の理由がわからないと
何時間も何日もそこに留まっているだけです。

 

理由を理解するには、たくさんの知識が必要です。

 

たくさんの知識を詰め込むには
かなりの時間が必要です。
時には数カ月、数年が必要でしょう。

 

ということは、
その人は納期までにその仕事をできない
というわけです。

 

今どき、
スポーツ選手でも「根性」を出して
練習に打ち込む人は少なくなりました。

 

ただガムシャラにやるだけでは
非効率だ、という理由からです。

 

そう。

 

根性という言葉の背後にある意味合いは
「ガムシャラに同じことを繰り返す」
というものがあります。

 

効率は全く考えません。

 

確かに、効率悪くても
時間をかけることができるのであれば、
どんな人でもそれなりにできるようになります。

 

天才は1万時間の練習をしている
という「1万時間のルール」があります。

 

 

人はある程度の時間をかければ
それなりに経験値を積んで
上達するものです。

 

ただし、上達したい、
という気持ちがあることが条件です。

 

何も考えずに単純に作業を繰り返すだけでは
人は上達しません。

 

単純に「ガムシャラ」にやるだけでは
上達しません。

 

そうです。
「ガムシャラにする」とペアのようになっている
「根性」では上達する可能性が低くなります。

 

根性とは?

では、根性とは何でしょうか。

 

広辞苑によると、
1.その人の根本的な性質。こころね。しょうね。
2.困難にもくじけない強い性質
とあります。

 

普段聞いている言葉からすると、
2.の意味が強く感じられます。

 

困難にもくじけない強い性質は
ガムシャラに何かをする、
ということに相通じるからです。 

 

困難にくじけない強さは、
学ぶ上で重要な要素です。

 

技術を習得するには
同じことを何度も繰り返し、
体に覚えこませる必要があります。

 

その際に辛いことも多いでしょう。

 

同じことを繰り返してもできない自分を
悔しく思ったり、
何事もなくできる同僚を羨ましく思ったり、
精神的にも辛いことが続きます。

 

ですが、その辛いことを乗り越えて
練習することで、
その技術は自分のものになるのです。

 

その際、決して忘れてはいけないことがあります。

 

先ほど
「何も考えずに同じことを繰り返すだけでは
上達しない」
とお話ししました。

 

技術が上達するためには、
一回行うごとに「振り返り」が必要なのです。

 

わかりやすいパターンとして
スポーツを取り上げます。

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シュートの練習

例えば、サッカーの練習。

 

シュートの練習を繰り返しています。

 

その際、一回シュートを打つたびに
ボールの右側を蹴り過ぎてしまった、
とか
ボールを蹴る時の力が弱すぎた、
といったことを頭の中で考えるはずです。

 

そうしていくうちに、
体のコントロールが上手くいくようになり、
思うようなシュートが打てるようになります。

 

仕事での技術も同じなのです。

 

陶工が器を形づくるために
何度もロクロを回して土を削っていくように。

 

大工が滑らかな肌の柱を作るために
カンナのかけ方を練習するように。

 

世界有数の技術者たちも
そこに到達する前に
その技術を何度も練習して
磨いていっています。

 

そういった技術を身につける際は
「根性」が必要なのです。

 

ですが、
営業職の人がアポイントが取れない、
といって「根性」を出しても
何の解決もありません。

 

中には断られても断られても
売り込みに行くことで
成約にこぎつけた
という話もありますが、
それは根性だけの話ではありません。

 

あくまでビジネス上の話ですから、
相手も成約することでメリットが
あったからできた話です。

 

デメリットしかない場合は
迷惑だけしかありません。

 

根性は、人材育成で教える内容の
一部では大変必要とされるのですが、
他の内容では邪魔でしかありません。

 

根性と相性が悪い教える内容とは

以前に教える内容を3つに分類しました。

ugrade.hatenadiary.jp

 

概要は以下の通りです。

人材育成の基本(教える内容で分類)
1.技術や知識
2.仕事をするスキル
3.人との関係性構築

 

この中で根性と相性が良いのは、
1.技術や知識です。

 

知識にも根性が必要です。

 

知識を覚えなくてはならない、
資格試験に合格しなければならない、
といった場合は、ある程度根性が必要です。

 

それ以外はあまり根性との相性が悪いです。

 

2.仕事をするスキルでは、
納期と品質の管理スキルなどが含まれます。

 

納期が迫っている時に
根性で何とかする、
というのは間違っています。

 

人には限界があり、
1カ月かかる作業を1週間でするのは
無理です。

 

それを根性だけで片付けようとするのは
問題が多すぎます。

 

3.人との関係構築では、
営業による顧客との関係性構築も
含まれます。

 

確かに気に入ってもらうために
何度も訪問というのはあります。

 

ただ、そこに根性だけで
毎日通うのは、本当の意味では
何のメリットもありません。

 

いやがられてしまっては
根性どころではありません。

 

なのに、
根性が足りないからできないんだ、
と社長から言われたら
社員は困ってしまうでしょう。

 

人材育成として根性より優先すべきなのは
「仕事をする時の考え方」を教えることです。
「人の気持ちを考える力」を教えることです。

 

納期が間に合わない、ということであれば、
人を増やす、
納期を伸ばす、
品質レベルを落とす
といったことが考えられます。

 

これが可能かどうかを検討し、
手を打っていくことになります。

 

また、納期が間に合いそうにない
原因を突き止めて
事前に対策を講じることも必要です。

 

顧客に気に入ってもらいたければ、
その顧客がどんな気持ちで
売りたい製品を使うのかを考えて
提案する方法を考えることです。

 

これらの考え方ややり方を
教えていくことで
社員は成長していくのです。

 

根性が足りないから
の一言で済ませてしまったら、
社員の成長は見込めません。

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根性は猫に不向き

 

人は教えられたように教える

人に教えることは学校では学びません。

 

だから、社会に出た時、
教えてもらったように
教えることしかできません。

 

教えるやり方の見本は
昔の先輩たちのやり方です。

 

確かにその方法でも人は育ちます。

 

現に社長もその方法で
育ってきているからです。

 

ところが、振り返ってみてください。

 

一人前になるまでに
どれくらいの時間がかかりましたか?

 

そして、今現在、
その時間をかけてゆっくり育てる
余裕がありますか?

 

今、世界はものすごい速さで変化しています。

 

今までの技術が不要になる事態が
頻繁に起こっています。

 

少し古い例えですが、
郵便で書類を送っていたのが
FAXの登場で、郵便自体が減少しています。

 

また、年賀状がメールの発達により
売上枚数が減少しているという
ニュースは最近よく耳にします。

 

会社が時代に乗り遅れないためにも
更に技術力を高めなければならない、
という切迫した気持ちを持つ
社長も少なくはないでしょう。

 

こんな時代だからこそ、
人材育成は効率的に教える必要があります。

 

教える内容に応じて
やり方を変えるのです。

 

今までのように
根性の一言だけでは
済まされなくなってきているのです。

 

また、
最近の若い人たちが持つ情報量は
想像以上に多いです。

 

昔ならばちょっと辛いことがあっても
周りの情報が入ってきませんでしたから、
ここで頑張るしかない、
と思い、何とか、
それこそ根性を出して頑張ってきました。

 

ですが、今はちょっと辛いことがあると、
他の会社はもっと楽に学んで成長させてくれる、
という情報を得てしまいます。

 

本当は、
「隣の芝生は青い」、
という状態なのですが、
若い人たちには、経験不足ゆえに
そこまで考えが及ばないケースが多いです。

 

そのため、転職してしまう、
というパターンとなってしまいます。

 

こんな状況にならないためにも
せっかく採用した人材が
辞めてしまわないためにも
人材育成の方法を習得する必要があるのです。

次回からは
教える内容に応じた
教え方についてお話ししていきます。

 

それでは、今日はこの辺で。