タスクリストが全部終わらない人の困ったクセ
ビジネストレーナーの安部です。ユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。
昨日、タスクの性質について話しました。
- 完了するまでの時間(作業時間)
- 作業の難易度(前例や手順書がある・ない)
- 作業への関り度(作業者かチェック者か)
- 成果物の明確さ(ゴールが明確か不明確か)
- やっかいな化け物(てぇへんだ~!とやってくるタスク)
上記の中で、今日は「1.完了するまでの時間(作業時間)」について話をします。
通常、一日1タスクしかなければ、タスクリストを作成する必要はないでしょう。でも、よほどのことがない限り人には複数のタスクが存在します。そして、複数のタスクをリスト化して、今日一日の仕事を開始します。タスクが終われば消していく。今日のタスクリストは今日で消化したい、朝はそんな気持ちで頑張ります。
ですが、どうしてもタスクを全部終わることができず、帰社時にいくつかが必ず残る、という人。私も昔はそうでした。すっきりしませんよね、本当に。
何故なんでしょうか?
タスクには完了するまでの時間が短いものと長いものがあります。短いものは数分で終わりますが、長いものは数日かかるものがあるのです。
タスクリストにこの長いタスクを記入していませんか? 当然、その日のうちに終わりませんよね。タスクリストを見直してみてください。以下のようになっていませんか?
- 部長へメールの返信
- 後輩が作成した資料のチェック
- 顧客Aへの提案書の作成
- 顧客Bへ訪問のアポ取り
- C商品群の市場調査
これらをタスクの作業時間の長短で分けてみてください。
ここで、タスクを管理する上で重要なことがあります。そのタスクを完了させる所要時間の見積もりができるのかどうか、ということです。
上記のタスクリストだと、私の経験上、2つ程度完了すれば良い方だと思います。
特に問題は、3.顧客Aへの提案書の作成です。
「提案書の作成」というタスクは、とても大きなタスクです。いうならば、「粒」が大きなタスクです。「部長へメールの返信」というタスクから比較すると非常に大きなタスクです。こういったタスクがタスクリストの中に入っていると、終了させることが難しくなります。
ですから、この大きな粒のタスクを小さく分解することが必要です。
タスクは最大でも1~2時間程度で完了するレベルまで分解する方が良いです。
提案書の作成を分解するならば、
- 目次の作成ならびに資料の収集
- 提案の目的に関する文章ならびにグラフの作成
- 提案する商品の詳細な資料の作成
などになるかと思います。
もちろん、提案書を初めて作成する人であれば、もう少し細かく分解するべきでしょう。
要は、タスクの粒を揃える、ということなのです。粒を揃えるということを「粒度(りゅうど)を揃える」といいます。
例えば所要時間1時間程度のタスクが8個あれば、その日はそれだけで一日が完了してしまう、ということですね。
ま、通常、そんなにうまくいかないのがフツーなのですが。。。
更に、上記のタスクリストの問題について、話をします。
1.部長へメールの返信
ごく簡単そうなタスクです。これが決まりきったことを返信するだけなら。
もし、部長が気難しいタイプだったら、メールの文章も気を遣う必要があり、単純なメールであっても30分程度かかってしまう場合があります。もしかすると、文章を書くのが苦手、と思っている人は1時間くらいかかるかもしれません。
また、実は提出する資料を添付する必要がある、というのであれば、資料作成というタスクが新たに出現してきます。資料の大きさによっては、提案資料と同等レベルの粒の大きなタスクになる可能性があります。
返信内容によっては、所要時間を少し多めに考えておくか、タスクをもう一度見直した方が良いかもしれません。
2.後輩が作成した資料のチェック
もし、後輩の資料の出来が悪かったら、指摘事項を洗い出すだけで時間がかかりそうです。丁寧に指摘事項リストを書いて渡す、ということならば、2時間程度かかるかもしれません。
少し話はそれますが、こういった場合のお勧めは、後輩を会議室に呼んで、レビューさせるのが一番手っ取り早いと思います。資料の説明をさせながら、不明点を口頭で確認しながら、不備部分の指摘を行っていく・・・時間を節約するのであれば、このような方法を取ると良いでしょう。
4.顧客Bへ訪問のアポ取り
電話をするのは簡単ですが、担当者が不在でかけ直しとなると時間の見積もりが大変です。こういった場合は、先方にかけ直してもらうか、アポ取りメールを送るのが良いでしょう。
メールは最近でこそ使われるツールになりましたが、まだメールに不慣れな方も多くいらっしゃるので、相手の状況に応じて判断すると良いでしょう。アポ取りメールを出す場合は、候補日を3つ程度提示して、先方に選択してもらうようにしておくとスムーズです。
5.C商品群の市場調査
このタスクは、実は大変問題を多く含むタスクです。4.成果物の明確さ(ゴールが明確か不明確か)の時に、詳しくお話いたします。
タスクリストが全部終わらない人の困ったクセ。それは、タスクリストの粒度がバラバラで、終わるものもあれば終わらないものもリストアップしてあるということです。
タスクリストを終わらせて、すっきりとした気持ちで会社を後にするには、タスクリストを1日で終わらせるように作成することです。数日かかるものは、作業を数日に分けてリスト化しましょう。
明日は、作業の難易度について話をします。
それでは、また明日。