人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

「習う」なら師を求めよ

ビジネストレーナーの安部です。ユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

私は前の会社に勤めている時から、人材育成や研修に深く関与していました。

 

まだ会社で勤務していたある時、上司から「コミュニケーションのカリキュラムを構築して欲しい」と言われました。

 

元来、IT企業なので、IT系の研修を主として担当していたのですが、ITエンジニアと言われる人種(?)は、比較的(?)コミュニケーションスキルが低いと言われています。要は、パソコンに四六時中向かってひたすらキーボードを打ち続け、隣の人との会話もメールやチャットで行う、という人種なのです。そういう人たち向けのコミュニケーション研修です。

 

最初は、できるだろうと思っていたのですが、結構これが難敵でした。まず、コミュニケーションという言葉の定義がわからない。コミュニケーションスキルがある人のレベル感がわからない。こんなわからないことだらけのテーマでカリキュラムを作るなんてことは絶対と言っていいほどできません。

 

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そこで、コミュニケーション系の学会に入ってみました。

 

そこで、いろいろな大学の先生の研究発表を聞いていくうちに、私たちのチームがコミュニケーション研修のカリキュラムを作っていくのは無理だと悟りました。どんなに私たちが考えても、知識がないので、カリキュラムは作れないのです。

 

世の中には大学の先生を含め、それを専門にしている方がたくさんおられます。いわゆる専門家と呼ばれている方々です。その方々は、その知識を極めるために、かなりの時間とお金を費やしています。

 

コミュニケーションのカリキュラムだって同じです。

 

講師を長年やってきたから、しゃべれるだろう。だから、コミュニケーションカリキュラムくらい作れるだろう・・・といった安直な考えで、カリキュラムなんてできるものではないのです。コミュニケーションは、そんな単純なものではないのです。

 

結局、私たちは断念しました。できないものはできないのです。

 

それから数年が経ち、会社を辞め、人材育成の市場の末席にお邪魔した時、さまざまなコミュニケーションカリキュラムを得意とする講師の方々にお会いすることができました。同じ地域にこんなにもたくさんのコミュニケーションの講師がいるのだと、改めて知って、感動しました。

 

そして、コミュニケーションというものは複合的なモノであり、さまざまなものに分類できることも知りました。そして、それぞれの行い方にコツがあることも。

 

今は、私自身、コミュニケーションカリキュラムを作ること自体は全く考えていません。コミュニケーションは知識だけで習得できるものではなく、行動の変化が必要な類のものです。ですから、昨日お話したように雑誌を一年間読んで習得できるものではないのです。

 

学ぶことには、実はいくつかの種類があります。一番良く知られているものが「知識」です。それ以外にも「技能」と「態度」というものがあります。「技能」は製造業ならモノを作る技術、建設業なら家を建てる技術、スポーツであればボールを打つ技術、バイクに乗る技術です。そして「態度」は、人間の行動、生活そのものです。コミュニケーションを図る、時間通りに出勤する、タイムマネジメントをする、といった項目はこの「態度」に入ります。

 

私が今学び進めているID(Instructional Design シンストラクショナルデザイン)では、「態度」の習得が一番難しいと言われています。私もそう思います。

 

理由は、いくつかありますが、私が考えるのは、普段の生活の中に埋没しやすいものだからです。ついつい、自分を甘やかして、ゲームを長時間してしまって寝坊する、長電話をして残業する羽目になる、甘いものを食べてダイエットに失敗する、など、日常的に起こりやすいものです。

 

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自分をコントロールする必要があり、知識や技能もあわせて習得する必要もあります。

 

本当に「態度」を習得したいのであれば、師を求めて、それなりにトレーニングを積むことが必要だと考えてます。知識は、人間の行動を変化させるのは微々たる力しか持っていません。人間の行動を変化させる必要のある研修を行うには、ある種のトレーニングが必要です。そこには、ある程度の時間とお金が必要なのです。

 

私は、コミュニケーションカリキュラムを諦めた代わりに、私にできることは、こういう専門家の方々を更に発展していただけるような場を作ることかなぁ、と考えています。私が研修プロデューサーと名乗っているのも、そういった観点からです。

 

ひとりの人間にできることは限られています。だからこそ、チームで、さまざまなお悩みに「研修」「人材育成」という形で解決プロセスを提供する。それが、ユーグレードの想いです。

 

今日は、「コミュニケーション」という言葉を広義なものとして扱いました。コミュニケーションというものに私が学んだこと・感じたことは、また、後日、お話できれば、と考えております。

 

明日は、私が学ぶことを考える推進力となった、sine関数のお話をします。

それでは、また明日。

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