人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

これが何の役に立つんですか?と聞いた結果

ビジネストレーナーの安部です。ユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

学ぶことについて話をしようと思った時、真っ先に私の頭の中に浮かんだ光景について、今日は話したいと思います。

 

高校一年生の一学期だったと記憶しています。数学Ⅰの授業で、おそらく新任の若い(ハンサムな)男の先生が教えてくださっていました。中間試験が終わったちょうど今頃です。Sin関数を学びました。いわゆる三角関数です。三角形の角と辺の関係を表す関数です。あわせてCos関数やTan関数も学びました。

 

この関数を教えてもらった時、疑問に思ったのです。

 

Sin関数って、どこで使われているのか?

 

ということです。私にはひどく唐突に感じたのです。今までの数学は、使われている場面が想像できたのですが、今回ばかりは全く想像できなかったのです。

 

何に役立つのか、なぜ、これを学ばなければならないのか、疑問が大きくなって、数学の先生に質問しました。

 

その時、私は数学の先生が少し後ずさりされたと感じています。「んー、それについては、今は時間がないから後で教えるね」と言われました。次の時間、楽しみに待っていると、何も回答してくれません。翌週かな?と思っていると、何の返答もありません。

 

今の私だったら、「いつ回答をいただけますか?」と聞くところですが、何となく聞いてはいけないことを聞いたのかな、という感覚があって、私はそのままにしてしまいました。結局、翌年の3月まで何の返答もないどころか、その質問に全く触れることもなく、終わりました。

 

いつの間にか、私の数学の学習は、そこで止まってしまいました。

 

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それは先生のせいではなく、私が数学の勉強をサボったからなのですが、何となく、勉強する気にはなれなかったのです。

 

2年生になって、数学の先生が変わりました。数学は今でもとても好きな科目です。でも、一番できない科目です。きっと、2年の先生に同じ質問すれば、答えてくれた気がします。でも、できませんでした。

 

時は流れて、卒論を書く時、どうしても立証方法が知りたくて、数学の本を手にしました。数学というのは、こういった論文を書く時はとても役に立つ科目だ、と痛切にその時思いましたし、改めて数学が好きになりました(でも、勉強するのは嫌いです)。

 

今では、Sin関数を始めとする三角関数が、建築や土木の現場で利用されていることを知っています。でも、高校一年生の時にそれを教えてくれたら、私はもっともっと数学が好きになり、熱心に勉強していた気がします。

 

私は、なぜ、数学を勉強したくなくなったのか、社会人になってから、ずっとそのことを考えていました。そして、それは私の学び方のクセのせいだと考えつきました。

 

何故、それを学ぶのか?

 

これがわからないと、学ぶ意欲に結びつかない、ということです。

 

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実は、学習へのモチベーションを学ぶと、これはとても大切だということになっています。ID(Instructional Design)で、今学ぼうとしていることを学ぶことは自分にとって○○なところでプラスになる、ということを明確に知らせておく必要がある、となっています。

 

上記のモデルをIDではARCS(アークス)モデルと呼んでいます。

 

ARCSモデルは、

  1. Attention(注意) 面白そう!と思わせる、注意を引く
  2. Relevance(関連) 自分と関連がありそうだ、やりがいがありそうだ
  3. Confidence(自信) できそう、これはやる自信があるぞ
  4. Satisfaction(満足) やったー!できたぞ! 次もやりたい!

 

で、学習へのモチベーションを持たせるための対策方法です。

 

何のために学ぶのか? これはARCSモデルの2.Relevanceにあたります。

 

ここでの学ぶ理由は、高校生までは進学のためとか、就職のためではありません。もちろん、出世のため、自分の知的好奇心のためでもありません。もっともっと自分の内面に関連しているかも、自分の足りてないところを補えるかも、と思えることです。

 

そういった理由だけではなく、学ぶことでどうなるのか、ということ。学ぶことで、今までの知識の補強、裏付け、または違った視点での考え方などを増やすことができます。そうすることで、自分が一皮むける、成長できる、バージョンアップすることができるのです。

 

成長するために学ぶ。昨日の自分とちょっとだけ違う自分になるために学ぶ。

 

私はここにモチベーションの素があるような気がします。

 

学び続けて素敵な自分に出会う・・・素敵ですよね。

 

明日はもう少しこの話題を続けたいと思います。

それでは、また明日。 

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