人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

専門家と講師。どちらが先?

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

講師で呼ばれると受講者に紹介される時、「専門家」と言われることがあります。その時、いつも「ああ、専門家なんだ、私は」と思います。専門家って、私のイメージでは学者の先生なのですが、長年、その関係の業務に携わった人も専門家に入るんだ、ということですよね。今更なんだ、という話ですが。

 

専門家が講師になることが多いと思います。というより、専門家であることは講師の必要条件の一つだと思います。専門の内容を話をするわけなので、当たり前ですよね。

 

ただ、専門家だから良い講師になれるのか、というと、これはまた別問題のような気がします。

 

専門家だからこそ専門用語については詳しいです。ですが、その専門用語を受講者にもわかりやすく説明できるか、という点についてはいかがでしょうか? それができてこそ講師だと思うのです。

 

私はプロの講師以外の講師の方(いわゆる専門家やプレゼンター)のセミナーに参加した経験があります。学会での発表などもあります。皆さん、話の内容についての専門家です。ただ、専門家だけの方の話は、残念な点が多いのです。

 

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先日もあるOA機器を使ってビジネスを広げないか、というセミナーを受けてきました。とても内容が気になったので行ってみたのですが、本当に知りたい情報を言ってくれないのです。それは何か。OA機器そのものの金額です。

 

その機器を使ってビジネスを広げるには、その機器そのものが必要です。だったら、購入するかどうかの判断をしなければなりません。ただ、一言も金額が提示されないのです。だったら判断のしようがない訳です。どんなに高機能をうたわれても欲しいと思っても、最初から「諦める」という言葉しかありません。

 

高額だから金額を言いたくないのだと思いますが、逆だと思います。金額が提示され、高いと引く人も多いと思いますが、その金額分だけ稼げると思うアイディアがあるのであれば逆に購入したいと思うものです。

 

でも、言わなければ金額を想像するしかないわけです。想像する金額はべらぼーに高くなります。だったら、アイディアがあるけど無理、となるのです。

 

ビジネスチャンス、逸してませんか? 

 

安かったら買う、高ければ買わない。それは当たり前かもしれませんが、高い・安いと感じるのは顧客の心次第。億万長者だったら安いと感じるものも普通の人だったら高いと感じます。

 

講師だって同じだと思います。納得した・納得できないというのも受講者の心次第。少しでも納得してもらうためには、どのように話の流れをしたら良いのか、ずっと考えています。そのやり方を勉強しています。

 

ただ、専門家だから、という理由だけで話をすると、逆効果になるということです。

 

高い金額を最初に提示して、でも、この金額だけのことはあるでしょう?と言わせられるほどの高機能を提示できれば、きっと顧客は満足します。

 

要は、聞き手が聞きたいと望むものを話せる技術が講師の技術だと私は思っています。だから、初めて出会う人に話すのはとても緊張します。それはニーズがわからないから。納得してもらえる話が始めからわからないから。

 

だからこそ、受講者の態度、表情、動き、メモを取ったタイミングなどすべてから情報を得ようとするために見るのです。何を聞きたがっているのか。もちろん、話をしながらです。

 

話をすることは口が勝手に話をします(笑)。

 

目は受講者の様子をしっかりと見つめてニーズを探ります(苦笑)。

 

頭はニーズを探りながら、ニーズに応えていくための話のもっていき方、レベル感を決定していきます。

 

もうフル回転です。講習やセミナーをやっている間、きっと講師は受講者以外で何があっても気がつかないかもしれません。それくらい私は集中します。

 

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これくらいマルチな能力がないと講師ができないのか、ということですが、そんなことはありません。ただ、講師をやり続けていると自然にできるようになってきます。そこがプロと言われるゆえんなのだと思います。

 

だからこそ、受講者が口をへの字に曲げて座っていると、メチャメチャ気になります。気に入ってもらえなかったことは確かです。どこが気に入らないのか、彼・彼女を満足させて帰ってもらうには、どんな話をすれば良いのか、頭はフル回転になります。

 

そんな時、最後の最後でニッと笑ってもらえると、後は何もいらないくらい嬉しいものです。そのニッとなった時に目があえば、何だか心まで通じたような気がして、私の心は昇天します(笑)。

 

専門家だから講師になる・・・と思われている方は、どうか受講者のことを考えて欲しいと思います。専門内容をどうやって伝えるのか。ここが一番大事だと私は考えています。

 

夏休みもあと本日と土日を残すのみとなりました。一週間はアッという間ですね。予想はしていましたが。。。おかげ様で、目的は果たせそうです。本日一日の目的がまだ残っているので、最終的なところはまだわかりません。

 

来週は、人材育成をすることによっての会社のメリットについて話しますね。

それでは、また来週。

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