人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

人材育成は誰がする?

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

昨日は、人材育成をすると会社の業績が上がる、そして、会社の業績を上げるために人材育成をする、というお話をしました。

 

人材育成は社内が良い?

 

会社の業績を上げるために人材育成をする、というのは当然かもしれませんが、本当にそう思われている方は少ないように思えます。というのも、人材育成をする・・・となると、「研修」を探す、という方が多いように見受けられるためです。

 

ここで言う研修は、講師を前においた座学を意味しています。いうところのOff-JTですね。職場を離れたところでワークショップやロールプレイングを行う研修が多数あります。人材育成をするために、当然研修も行う必要がありますが、研修はあくまで人材育成のツールの一つです。

 

そして、外部講師を呼んだ研修を行うのも、会社の業績アップを目的とするべきだと私は考えています。

 

ただ、外部講師を呼ぶのはとてもコストがかかります。一回くらいの研修だとどうしても身につかないので、半年コースなどを注文すると、どうしてもコストがかかってしまいます。私のところのような研修の会社としては、これはこれで良いことなのでしょうけれど、これでは継続した研修を実施できません。

 

毎年、会社の業績が良く、研修に費用がかけられる、というのであれば良いでしょう。

 

でも、10年前のリーマンショックの時、真っ先に削られたコストはITコストと人材育成コストでした。IT研修を行っていたウチの部署は、企業からの注文が全く途絶えたというダブルショックを受けたので、良く覚えています。

 

人は継続して育成するべきなのですが、景気に左右されるようであれば、継続性が途中で途切れてしまいます。

 

なので、私は人材育成の担当を社内で持った方が良いと考えています。

 

つまり、経営資源の「ヒト」の能力やスキルを管理し、それを伸ばすことで業績アップにつなげる部署としての人材育成担当です。いわゆる人事部が兼任するところが多いと思われます。当然、人事部が兼任する方が一番良いと考えています。

 

人材育成は、人事評価や給与制度(昇給関係ですね)、労務管理などと密接につながっています。だからこそ、人材育成以外を担当する人事部が兼任するのが普通ですし、効率的です。

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ただ、人事評価については非常に考える会社は多いのですが、人事評価と人材育成を関連づける会社は少ない気がしています。

 

「○○ができる」という評価をするだけの人事評価と、「○○ができない」から「○○をできるようにする」という人材育成は、関係づけるべきです。○○というスキルが会社の業績をアップさせるスキルであれば、その社員ができるようになる方が良いワケですから。そこは会社の努力として身につけてもらう必要があります。

 

そこで、○○というスキルを身につけさせるための研修を構築することになります。その研修を企画し実施・運営するのが人材育成担当者になります。

 

人材育成に必要なもの

 

人材育成には必要なものが3つあります。

 

最初は、人材育成の設計書です。計画書と言っても良いでしょう。つまり、どのような課題を解決するために、どのような研修を行い、どのような結果になることを想定しているのか、を決めたものです。そうしないと研修を実施しても、業績が上がらなかった原因を検証することができません。

 

研修は人間相手なので、研修当日の体調や気分で習得度は変化します。また、想定以上に未熟だったり、習得済みだったりすると、研修に対するモチベーションの維持が難しくなり、習得度に大きく影響します。

 

そういったことを検証するための設計書を事前に作成する必要があります。

 

続いては、人材育成のカリキュラムです。講師が良くプロジェクターに映し出して説明している、あの説明資料(コンテンツと言います)です。これがないと、教えることは難しいのです。

 

以前、一昨年まで勤めていた会社で、このコンテンツを作成することをやったことがあります。今までの経験を活かしたコンテンツ作成であれば、社内に蓄積されたノウハウがあるので、そんなに難しいことではありませんでした。でも、社内に蓄積されたものがないコンテンツは作成することに無理があります。

 

なので、こういった場合は外部にコンテンツを求める必要があります。

 

ネットで検索すれば、いくらかの価格はしますが、コンテンツは豊富にあります。それらを選択して買い求めることで社内にコンテンツは手に入ります。

 

最後の必要なもの、それは、そのコンテンツを使って教えられる人です。いうなれば講師です。講師は人前でわかりやすく説明するスキルが求められますし、聞こえやすい声や活舌のトレーニングをすることも求められます。

 

もっと欲を言えば、その方面の権威であること。つまり、その講師の背景が十分信頼おけるものであること、です。セミナーや研修で講師の略歴などをお伝えするのも、こういった観点からです。

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実は、Off-JTの講師で重要なのは「誰がしゃべるか」によるのです。

 

ただ、こういった人を社内におくのはとてもコストがかかることになります。

 

なので、研修は外部講師で、ということになるのです。コンテンツも含めて外部から導入すれば、複数の専門家を常時雇うよりはコストはかかりません。

 

こういったことは十分に必要なことだと思っています。

 

最終的に研修をするのは・・・

 

実は研修を受けさせる時、その上司もできればオブザーバーで出席してほしいと考えているのです。

 

部下が何を学び、何を体験したのかをきちんと知った方が良いと考えています。

 

外部講師は約束された期間が終了すればいなくなります。

 

でも、上司は常にそこにいます。

 

つまり、人材育成の総仕上げを上司、中間管理職が行うというのです。

 

ただし、中間管理職は無茶苦茶に忙しい人たちです。

 

部下の管理(勤怠管理や業務管理)を含め、顧客との調整、製品やサービスの品質管理、会社(もっと上層の管理職)への情報の提供、営業成績に対する責任(つまり、管理職も製品やサービスを売る、現場に出るということ)が求められる、など多岐にわたる業務をこなす必要があります。

 

いわゆるプレーイングマネージャーです。

 

そんな超忙しい人たちに更に業務を追加する、ということは、今の働き方改革に反することかもしれません。でも、おそらくもっと多くの人数がいる一般社員の働き方改革をするためには、中間管理職が人材育成を担うようにする必要があります。

 

中間管理職が人材育成を担うととても良いメリットがあります。

 

部下を常に見ているので、部下の伸ばした方が良い点、伸ばせる点が良くわかる

毎日研修を行うことができる(研修効果が高くなる)

 

でも、現在の中間管理職にそんな業務を担当させるのは、本当に酷です。

 

そこは、更に上の経営者を含めた人たちの協力が絶対に欠かせません。

 

経営者は、社内すべての人材に必要な能力やスキルを設定し、それを公表しておくことが必要です。その一覧表を見て、中間管理職は自分の部下に身につけさせるべき能力やスキルを把握することができます。

 

もし、自律的な人材であれば、自分で必要な能力やスキルを見つけ出し、自ら学習をするようになるかもしれません(これが一番理想的ですが・・・)。

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身につけさせるべき能力やスキルがわかれば、どのような研修を行えばよいのか、人材育成担当者に相談して、必要な研修をピックアップすれば良いのです。

 

また、毎日のトレーニングが必要な研修であれば、中間管理職がやりやすいツールを人材育成担当者が準備しておけば、それを利用して部下にトレーニングを行うことができます。ここで言うツールは、チェックシートやマニュアルなどのツール類からコーチングやアサーションスキルなど中間管理職が身につけておくコミュニケーションスキルなどを含んでいます。

 

つまり、中間管理職にコーチングやアサーションのコミュニケーションスキルが不足しているならば、中間管理職自身に研修を受けさせるということなのです。

 

今、求められる人材育成

 

今は研修をすれば良い、という時期ではないと考えています。研修を受けさせれば社員の満足度が高まり、それが顧客満足度につながって、会社の業績が上がる、ということが言われています。それはそれで良いですが、もっと先を考える必要があると思うのです。

 

それは、社員一人一人の生産性を上げるために、人材育成を行う、ということです。

 

いつまでも残業して業務を終わらせるのではなく、短時間で業務を効率的に終わらせ、かつ、実績を上げる(つまり顧客満足度を高める)ことが求められています。それをするには、いわゆる「できる社員」を採用する必要があります。

 

でも、「できる社員」は、労働市場に出回っていません。求人倍率1.4倍を超える現在、求職者の数が少ないのです。

 

だったら、「できる社員」を作る必要があるのです。今いる社員を「できる社員」にするのです。何もスーパー社員にする必要はありません。今の業務を1.2倍くらいできるような社員になってくれれば良いはずです。

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そして、その「できる社員」は汎用的な、つまりどの会社でもできるのではなく、所属する会社の中で「できる社員」であった方が会社のためです。この会社では○○というスキルを身につけるように、会社が必要とするスキルをピックアップして社員に提示することが必要なのです。

 

と、書くと、社員にとっては、その会社しか通用しないスキルなんか身につけてたら転職できないじゃないか、と思われるかもしれません。

 

実は、その会社しか通用しないスキルは、その会社が製造もしくは提供している製品やサービスに関する技術や知識だけであって、生産性を向上させるスキルは十分に他の会社でも通用します。

 

でも、その会社で身につけたスキルは、きっとその会社の居心地を良くさせて、転職を考えることもなくなるでしょう。だって、「できる社員」になったのですから。

 

終わりに

 

私が最初に入った会社は、現在人材育成の部署があると聞いています。今は、人材育成が求められている時代だと思っています。

 

ただ、その当時の管理職は、部下を育てる=(イコール)男性社員を一人前にするという概念しかなく、女性を指導する、という概念はなかったと思われます。また、女性も学んでこなかったので、後輩にうまい指導ができないまま、次世代に受け継がれていったのだと考えています。

 

人材育成は、やっぱり人が育つことで、いろんなところで業績を伸ばしてくれるものだと考えています。業績は売上を上げるだけでなく、コストを削減することも含みますから、間接部門(いわゆる人事部や経理部といった部署)の人たちも人材育成をどんどん行うべきです。

 

そして、もっと大事なのが、人材育成をすることで、一人一人の社員に目をかけているよ、という会社側の「想い」が社員に伝わります。一般の社員にとっての会社は「上司」です。だからこそ、上司である中間管理職が人材育成を行うことは、会社の想いを部下に届けることができるのです。

 

私自身、前の会社でそんな想いをもって部下に接していたわけでは決してなく、反省しきりなのですが・・・(汗)

 

ひとりでも多くの方々が幸せに社会生活が送ることができるよう、このブログで情報発信できたら、という想いを今、持っています。

 

次回は、マンネリとストレスについて、お話しします。

それでは、また次回。 

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