人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

働く女性のちょっと先は

先週は私の両親と私の今までについてお話ししました。今週と来週にかけて、私自身と私が見てきた働く女性について、お話ししたいと思います。

 

私は、今まで3つの職場で働いてきました。新卒から就職した最初の会社、専業主婦を経験した後にパートで働いた職場、そして、2年ちょっと前まで働いていた会社です。それから忘れてならないのが専業主婦時代。こちらも気がついたところをお話しします。

 

最初の会社と2番目のパートで働いていた職場は、そのほとんどが年上でした。年上の女性がたくさん働いていました。

 

最初の会社は、私と同年代のメンバーと10歳近く歳の離れた女性社員群にはっきり分かれていました。私と同年代の女性たちは、20代前半。今回、話題にするのが、もう一つの年齢層の女性社員たちです。

 

  • 28歳独身
  • 32歳独身
  • 36歳独身

この3名は、当時「結婚できなかった女」とささやかれていました。社内の男性社員たちからは「困った社員」という表現をされていました。今だったら、セクハラ行為ですが、当時はそんなことを思う人もいません。

 

また、この年齢、現代社会では独身であっても当たり前な感覚です。ただ、当時はクリスマスケーキと言われていた時代です。女は24歳(24日)まではクリスマスケーキとして価値がある。25歳(25日)はギリギリ。26歳(26日)になったら余り物のクリスマスケーキだ、という考え方です。下手をすれば廃棄処分です…(涙)

f:id:ugrade:20180213183529j:plain

 

なので、一番若い28歳であっても、余り物という評価だったのです。

 

私が4月に入社したその年の夏、ですから、まだ入社3~4カ月くらいの頃です。彼女たち3名と私とで一つのチームとなり、「改善」に向けての社内取り組みをすることになります。

 

はっきり言って、ベテラン3名と新卒入社1名という組み合わせになったのも、何かの罠じゃないかといまだに思っていますが(苦笑)。

 

結果として、私一人にすべてが押し付けられました。テーマを見つけるのも、対策を考えるのも、社内発表のための資料を作るのも。右も左もわからない時期に、ベテラン3人組に良いように使われて。

 

彼女たちに「モチベーション」なんて言葉は全くありませんでした。

 

働かなくては食べていけないから。ただ、それだけ。

 

より効率的に働く、とか、課題を見つけて解決する、とかいったことは、何に役立つのか。そんなことをやっても「何も変わらない」。だから、「改善」なんてやっても「ムダ」。

 

というのが彼女たちの言い分でした。

 

当時の私は、そんなことを言う彼女たちに何を言うこともできませんでした。効率的に働く以前に今の仕事を覚えるのが必死だったのですから。

 

私のモチベーションが落ち始めたのも、この一件からでした。

 

そんなわからないづくしのまま、あれよあれよという間に、全社大会で発表することになっていました。私は生まれて初めて700人を超える人たちの前で発表しましたが、もう苦しかった、という記憶しかありませんでした。

 

発表の時、ベテラン女性社員たちは私の後ろにいてくれるのですが、私がセリフを飛ばしてもフォローを入れてくれることはありませんでした。だって、彼女たちは発表の内容すら知らないのですから。

 

そんな思いをした私は、彼女たちを目標にしたいとは全く思えませんでした。

 

ただ、今、彼女たちよりずいぶん年上になった私が思うには、彼女たちもわからなかったのだと思います。

 f:id:ugrade:20180213183957j:plain

彼女たちが置かれた環境を思い起こせば、上司である男性社員からは厄介者のように扱われ、それでいて与えられている仕事ができることが当然であり、でも仕事をする人間として認められることはありません。同期の男性社員は、どんどん出世していきます。最年長の女性社員の同期の方は既に管理職になっています。でも、彼女は昔のままです。

 

仕事そのものは先輩たちから受け継いできています。でも、仕事のやり方は誰にも教わりません。電話を取った際の最初の話し方は学ぶものの、新規の顧客に分かりやすく説明する方法というのは学びません。効率的に仕事をして残業を減らす方法も知りません。学ぶ機会すらなかったのです。

 

「改善」を行う、といきなり上司から言われて、「改善」を行うための分析ツールは学ぶものの「改善」を行う課題の見つけ方は学びません。

 

そんな彼女たちも、きっと上司から告げられて、途方に暮れていたのではないかと思うのです。わからないから、これ以上自分たちの心証を悪くしないためにも新人に任せてしまおう…と考えるのも不思議ではないと思います。

 

だって、彼女たち(おそらく当時の私も含む)は会社から見て、会社の一部の仕事をミスなく着実にこなし、それなりに顧客との関係性を持つことで営業成績のほんの一部をカバーしてくれればOKなのです。

 

会社に「本当に役立つ人材」は男性社員であり、彼らを育てることは会社は力を注ぐけれども、女性社員を育てることは時間とコストのムダだ、ということなのです。

 

さすがに現代社会で、上記のような会社(表面上は、に限定しますが)はないですが、まだまだ多くの会社が隠れた部分で上記のような考え方を持っている会社は少なくないと私は考えています。

 

そして、彼女たちの行く末を考えてみます。

 

もし、その会社に不満を持って退職したとしても、次の仕事は全く保証されません。事務職は女性の一番人気職であり、事務職につける女性は限られています。結局、スーパーのレジ打ちなどのパートの仕事しかなく、そうなれば必然的に給与額は下がります。

 

でも、この状況、どこかで聞いたことがありませんか?

 

今、この時代でも同様のことが起きています。30歳台後半の女性が再就職するとなると、よほどのスキルやコネがない限り、パートで働くことが最初となるのではないでしょうか。

 

この2~3年ほどの人手不足で、女性でも能力があれば正社員、という話を多く聞くようになりました。でも、一般の女性たちは、私が最初に会社に入った頃と全く変わっていない気がします。

 

あれから30年が経っているにも関わらず、です。考えてみればショックです。

 

次回は、専業主婦となった頃の話をしたいと思います。

今日は、この辺で。

www.ugrade-japan.com