人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

クラウドはどこでもドア?

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

今日は久しぶりにITに関する話題です。

 

実は、ある専門学校の講師もやっています。もともとがITの講師だったため、情報系講師を引き受けています。最近は、システム開発など高度技術については縁遠くなってきたのでお断りしており、普通の人が普通にパソコンを使うことに主眼を置いた講習をしております。

 

学校ですので、先日期末テストを行いました。

 

テストは二週間前に完成しており、問題用紙は学校へ渡しております。印刷をしてもらうためです。こんなに仕事がスムーズに進んむなんて・・・と意気揚々と学校に到着し、教室に入りました。

 

ふと、そこで気づきます。

 

あ、テストで使うファイルを持ってくるのを忘れたことを。

 

学生にファイルを配り、そのファイルの中のデータを元にして指示した通りにデータ加工をしてもらうテストです。データはExcelファイルの中に保存しておりました。

 

自宅のパソコンに保存しているので、当然、教室にそのファイルがあるはずがありません。常勤講師であれば、空き時間で教室のパソコンに保存することは可能ですが、週一しか学校へ行かない非常勤講師の私には、授業の時しかパソコン教室に入りません。

 

通常であれば、USBメモリに保存するか、メールで自分宛に送っているのですが、今回はそれをした記憶は全くありません。

 

気づいたのは授業が始まる3分前。自宅に取りに戻る時間も全くありません。

 

冷や汗が流れ、足が震えてきました。

 

「いやいや、ここは冷静に手段を考える・・・」と自分に言い聞かせ、方法を考えます。

 

保存先は・・・と自宅のパソコンの保存先をイメージして頭に思い浮かべます。ドキュメントフォルダであることは確かです。ただ、私は、MicrosoftのOneDriveを利用していました。

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OneDriveは、Microsoftクラウドサービスです。少し前までSkyDriveと呼ばれていましたが、Office製品のバージョンで2016が発売される頃に、OneDriveと名前が変更になりました。

 

さまざまなことでMicrosoft Officeを使うことが多かった私は、OneDriveを普段の保存先としておりました。

 

クラウドサービスですので、通常、ネットにつながった環境でなければできませんが、常時接続の環境を構築しているので、私が今欲しいファイルはそこに保存されていることは確実です。

 

さて、そのファイルをどうすれば取得できるのか。

 

幸いに授業で使うのはパソコン教室であり、インターネットにも常時接続されています。ただ、共有パソコンであるため、今まで全くログインはしておりませんでした。

 

ですが、背に腹は変えられません。

 

また、パソコン教室のOfficeのバージョンがこれまた幸いなことに2016でした。昔のバージョンであればOneDriveへの接続は無理ですが、2010のバージョンからは接続ができることを確認しております。

 

Excelを起動し、ファイルを開くをクリックします。

 

ファイルを開く先から、OneDriveを選択し、IDとパスワードを入力します。

 

上手くログインできるのか。

 

もうドキドキが止まりません。ログインに失敗すれば、ファイルの取得は無理です。

 

例えば、教室の環境設定で、学外のクラウドサービスにアクセスできないようにするなど、制限を強くかけているところも多くあります。

 

でも、今回はうまく行きました。

 

二段階認証を行っているので、Microsoftから普段と異なるパソコンからログインされていることがメールで届きます。メールはスマートフォンで開き、そのメールに書かれているセキュリティコードを入力して・・・

 

無事、私のOneDriveを開くことができました。

 

急ぎ、必要なファイルを開き、教室のパソコンに保存します。

 

ここまででちょうど3分。ギリギリ授業に間に合いました。

 

汗が背中を流れておりました。ですが、極力平然とした顔をしておりました。慌てた様子を見せると、それでなくても学期末テスト直前でピリピリしている教室の雰囲気が悪化しそうなためです。

 

私自身が所有するパソコンからは通常のローカルフォルダ感覚で、つまりパソコンの中のフォルダと同じ感覚でOneDriveを利用できますが、それ以外のパソコンからはアプリケーションから開く形でOneDriveにアクセスします。

 

おそらくパソコンから直接OneDriveへアクセスするように設定をすれば良いのでしょうけれど、共有パソコンなので、そこまではしません。

 

平気な顔をして、授業を進め、学期末テストを実施しました。

 

すべてが完了し、学生らが提出したファイルをUSBメモリに保存し終わった後、本当に力が抜けました。腰砕けになりそうでした。本当に良かったです。

 

もし、ファイルを取得できなかったら、ファイルを再度作り直す必要があります。あるのは完成例のみ。データそのものは厚生労働省の統計データですので、ダウンロードは比較的簡単に済みますが、そこからテスト用に形を変えるのに結構時間がかかります。

 

夏の始め、こんな体験をしました。

 

クラウドサービスは、本当に便利なサービスだと思っています。

 

もちろんセキュリティ的にどうか、という意見があることも承知しております。でも、テスト用のファイルなんて、誰かに盗まれても何の役にも立ちません。データそのものは厚生労働省が加工しても良いように公開しているものです。

 

確かに保存すべきものは検討する必要があります。

 

ですが、パソコン本体の保存しておいて、それを盗まれる、あるいは、落としてしまう、といった場合、中のファイルも当然他人に見られてしまう訳です。

 

パソコンのログインパスワードが堅牢なものであっても、ある程度の時間をかければ解読することができます。それだけ時間と手間をかけても欲しい情報があれば、おそらく悪い人たちは頑張るはずです。

 

また、普段使いのパソコンのパスワードを長く難しいものにすればするほど、普段の使い勝手が悪くなります。だからこそ、パスワードは簡単で短いものにしてしまう人も多いはずです。

 

そうした時、クラウドとパソコン本体ではどちらがセキュリティ的に大丈夫でしょうか。

 

クラウドの場合は、パソコン本体がなくても、他のパソコンからログインできる可能性はあります。ですが、二段階認証を行っていれば、他のパソコンからログインされる時は、メールやショートメールで連絡が入ってくるので、すぐにわかります。

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クラウドサービスは、物理的な「場所」という概念をなくすものだと私は考えています。いうなれば、「どこでもドア」に近づいたものですね。

 

そして、このサービスは働き方改革でも役立つと考えているのです。

 

自宅で仕事をする際、クラウド内にあるファイルで仕事をすることができます。さまざまな技術を使えば、かなりセキュリティが高い状態に持っていくことも可能です。

 

私のような個人事業主だと、いわゆる経理事務や労務事務など事務作業を誰かに手伝ってもらうのであれば、場所として事務所を作る必要があります。

 

ただ、その事務所の固定費が負担、もしくは、事務所自体がいらないと考えるのであれば、クラウドサービスを利用すれば良いのです。手伝っていただく方のご自宅にパソコンとネット環境が必要ですが。

 

領収書を、写真に撮る、あるいはスキャナでPDFにし、クラウドに置いて、お手伝いの方と共有をかけておきます。お手伝いの方は自宅で空いた時間にそれらを見て、経費の項目に入力をします。

 

FAXだって、ネットFAXがあるので、受信したFAXをお手伝いの方もメールで受信でき、確認することができます。送信だって、自宅からパソコンを使って送ることも可能です。

 

電話は転送サービスをうまく使えば、事務のお手伝いの方に取ってもらうことが可能です。

 

そして、スケジュールはグループウェアを利用すれば、離れた場所でも共有することが可能なのです。

 

例えば、電話が鳴ります。お手伝いの方が電話を取ります。私宛の電話ですが、私が今どこで何をしているのか、クラウド上のグループウェアを見ながら対応することができます。折り返しの電話が何時ごろであれば可能、といった対応をしていただけるのです。

 

電話があったことを私にメールなりメッセンジャーなりで連絡すればOKです。

 

もっとも私自身、まだ誰かを採用するほどの事業規模ではないので、ここまでの整備はしておりませんが、いつでもできる準備はできております(笑)。

 

また、お手伝いの方の立場から考えると、小さなお子さんをお持ちの専業主婦の方の働き方としては理想的なのではないかと考えるのです。個人事業主の電話なんて1カ月に数回程度しか鳴りません。事務作業は数十件程度です。時間は、お子さんの昼寝の合間でOKです。

 

その方のレベルのあわせて、数名の個人事業主と契約すれば、結構な金額が自宅に居ながら手にすることができるのでは・・・と考えているところです。

 

事務の経験がない方でも十分な経験を積むことができますので、お子さんがある程度大きくなって企業の事務員として働きたいと考えたとすれば、採用されるための経験値として職務経歴書に書けますし。

 

もっとも楽ではないですけどね。何事も仕事は大変ですよ。

 

そんなことをぼんやりとこの夏の間、考えておりました。

それでは、今日はこの辺で。

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