人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

終わらない仕事がやってきた

終わらない仕事をしたことがありますか?

 

ここで言う終わらない仕事とは、
顧客向け提案書の作成だったり
新規イベントの企画書だったり
これで完璧!といつまで経っても感じられない
仕事のことです。

 

逆に終わる仕事とは
時間が来れば自動的に終わる仕事(マッサージなんかそうですよね)
格通りの製品が完成したら終わる仕事
だと考えています。

 

これらは、いわゆるゴールが見えている仕事です。

 

でも、同じマッサージの仕事でも
一人ひとりの顧客に対して満足してもらえるマッサージをする仕事
となるとガラリと仕事が変わってきます。

 

顧客の体に触れた時、「コリ」の強さを判別し、
顧客が感じている辛さ解消の優先度を判別し、
マッサージのメニューを変更していくとなると、
仕事の奥がとたんに深くなります。

 

それらができるようになるために
経験を積んだり、更なる勉強をしたりすることが必要となり
時間がいくらあっても足りなくなるのです。

 

終わらない仕事はこれからもっと増える
という予想があります。

 

AI時代に減る仕事は
ゴールが見える仕事であるというのは
想像できるでしょう。

 

だからこそ人間は終わらない仕事をする必要が
出てくるわけです。

 

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この終わらない仕事、
取り組むとなると本当に大変です。

 

顧客が気に入る提案書を作る。

 

これって、どうやったら作ることができるのでしょう。

 

結論から言うと、
どうやっても作ることはできません。

 

何故なら、提案書を作る人と顧客は
全く異なる人だからです。
当たり前ですが。

 

顧客満足度100%のマッサージ屋になる
と決めても、なることはできません。

 

理由は、上と同じです。

 

だったら、どうすれば良いのでしょうか。

 

終わらない仕事を終わらせるには、
ゴールのでき具合を60~70%程度にすること。

 

え!
それじゃ、品質が悪いものができるじゃん、
と思うかもしれません。

 

でも、考えてみてください。

 

世界のイチローだって、
打席数に対して最高で40%程度しか
完成させていないのです。

 

60%の完成度は素晴らしいものじゃないですか。

 

そんないい加減な。。。
とお思いの方。

 

私も昔はそう思っていました。

 

そうやって終わらない仕事をやっていると
次に何が来るのか、というと
「過労」がやってきます。

 

体調を崩したら仕事どころではないのです。

 

それよりも、
その60%の中に、
顧客が本当に求めるものを盛り込んで、
後は次の段階にした方が断然良いのです。

 

それでも、もう少し完成度をあげたい方は
チームを構成するのです。

 

一人の力はたかがしれています。

 

顧客の気持ちを想定するには、
一人では無理です。

 

せめてもう一人。
できれば、上司。

 

自分が上司であるならば、
部下を一人。

 

こういう時こそ、年上の部下に
チームになってもらうのも一つの手です。

 

二人いれば、自分の考えをぶつけて
その意見を聞くことができます。

 

そうなると自分の考えを冷静に見つめ直すことができるのです。

 

冷静に見つめ直すこと←ここが肝心です。

 

上司や部下であっても、
全く反対意見の人がいたり
自分の考えに対して痛烈な批判をしたり
してきます。

 

でも、チームを組む目的は
「自分の考えを冷静に見つめ直すこと」
なので、そこは感情的にならずに
素直になることが大事です。

 

あくまでも目的達成重視で。

 

チームを組むことができない人。

 

中小企業には人手が足りず、
一人で何でもしなければならない人も多いはず。

 

そういう人ならば、
ひとまず60%を目指すのです。

 

自分で60%の完成度、
ということであれば、上出来です。

 

私はここ数年、これを完成度60%を前提として
仕事をしてきました。

 

もちろん受注できたものもあれば、
できなかったものもあります。

 

でも、100%を目指して
残業もいとわず頑張ってきた頃と
何が異なるのか、というと、
「余裕」です。

 

当然ですが(苦笑)。

 

この「余裕」、
甘く見てはいけません。

 

顧客に提案した際、
当然ながら顧客の想定していた要望を
全部答えているわけではない、という前提です。

 

そこで顧客は質問をしてきます。

 

実は、その質問、
提案書を作る前のヒアリング時とは異なる
もっと深い質問であることが多いのです。

 

その時、
「あ、そうか! 顧客の課題はこれだったのか!」
とわかるのです。

 

その気づきは、必ず次の提案に活きてきます。

 

別に次の機会を待つまでもなく、
口頭でも「では、○○ということはいかがですか?」
と提案することができます。

 

こうして、うまく行く可能性に近づけることが
できるわけです。

 

※絶対にうまく行くと言えないのは、
その場で対応した担当者が社長でもない限り、
担当者が上司からの反対にあう可能性があるため。

これが、完成度100%と思っている提案書だったら、
顧客の質問が来た時、
ものすごいショックを受けます。

 

ただの質問なのですが、
下手をすると「顧客に反対された」と
思ってしまうことが起きてしまいます。

 

冷静な対応ができない、ということなのです。

 

だから、チームで、
と申し上げたのも、その耐性をつけるのと、
いろいろな意見を反映させて
少しでも質問を少なくするための対策です。

 

そして。

 

期限ギリギリまで、残業を重ねた結果、
結局できたところまでを出さなければならない、
というケースより、
最初から60%を目指して、スムーズに作成した方が
同じでき具合が60%でも、
後者は絶対に「余裕」が生じてきます。

 

その余裕で、質問対策を講じたり、
顧客の業界の理解を深めたり
することができるのです。

 

人手不足の状況であれば、
他の仕事をすることも可能でしょう。

 

ただし、60%と言っても
「雑」に仕上げれば良い、
というわけではありません。

 

イチローのクリーンヒットのように
自分ができるレベルの60%の完成度を目指すのです。
ホームランではなく。

 

 

また、もし期限前に60%ができたなら、
誰かに一度見てもらい、意見をもらえると
チームで作成した場合と同じになるでしょう。

 

私は多くの提案書や企画書を作る作業をしてきました。

 

まだ、100%を目指していた時、
もちろん体も疲労しましたけれど、
何より精神的な疲労が強くありました。

 

とりあえず帰宅しても、その仕事が頭の中から離れずに
24時間ずっと仕事をしているような状態になるのです。

 

私自身、完璧主義のところがありましたから、
自分の完璧主義の見直すために
仕事は60%を完成とする、
と決めたのです。

 

それから、大きなトラブルもなく
今に至っています。

 

終わらない仕事の最大の要因は
「他人のことはわからない」
ということです。

 

顧客が考えていることは、わかりません。

 

顧客の会社の課題なんて、もっとわかりません。

 

だからこそ、顧客と共同で課題に対応するためにも
60%程度の完成度の提案書で十分なのです。

 

マッサージ屋さんも同様です。

 

顧客の辛さなんて、100%理解は無理です。
だからこそ、今一番取り除きたい辛さを重点的に
マッサージすることが、一番満足度を上げるのです。

 

私は、
終わらない仕事を受けたために
残業を余儀なくされ、過労で倒れる人を
ゼロにしたい、
と常々考えています。

 

残業制限をしても、
仕事を終わらないと結局精神的に疲れてしまいます。

 

仕事のやり方そのものを見直して
楽しい人生を送って欲しい、
そう願っています。