人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

話を素直に解釈するの難しさ

コミュニケーションという言葉に出会ったのは
ずいぶん昔で、いつだったのかは覚えていません。

 

でも、「会話」や「話をする」という意味でなく
どちらかというと
「意思疎通」という方に近い、
と感じたのは、ここ15年くらいですね。

 

  • 相手に自分の意図が伝わること
  • 自分に相手の意図が理解できること

 

この両方ができて初めて
「コミュニケーションができた」
と言えるのだと、私は思っています。

 

なので、ブログのような一方通行のような
コミュニケーションツールもあれば
SNSのような双方向のツールもあります。

 

もちろん、人と会って話をする
「会話」も大切なコミュニケーションツールです。

 

そんなコミュニケーションの研修は数多くあります。

 

興味もあったし、勉強もかねて
何個か受講した経験もあります。

 

10年くらい前までは
「話し方講座」っぽいものが流行っていました。

 

けれど、最近は双方向のコミュニケーション
ということが注目され、
コミュニケーション研修も「聴く」ということが
テーマとなる研修も数多くなされています。

 

確かに。

 

社会でビジネスを行うとすれば
コミュニケーションを行う必要があります。

 

でなければ、モノやサービスは売れないからです。

f:id:ugrade:20180205221329j:plain

 

記号学的に言えば、

  1. 言語を発する前に人は、言いたいことをイメージする
  2. イメージに沿って言語を発する
  3. 言語を聞いた人は、その言語を自分の中にある辞書を
    利用して解釈する
  4. 言語を聞いた人は聞いた内容をイメージする

という一連の動きがコミュニケーションだと
聞いたことがあります。

 

1.と2.に関しては、研修が繰り返し行われてましたし、
さまざまなところで話題にもなっているので、
大きな問題にはならないでしょう。

 

聞いた方が「意味がわからん・・・」となれば、
その発信された言語はスルーされるだけですから。

 

ただ、今私が問題だなぁ、と思うのが、
3.と4.の行動です。

 

要するに聴く側の行動ですね。

 

聴く側に「聴こう」という気持ちと
「聴いた内容を素直に解釈しよう」
という気持ちがなければ、
コミュニケーションは成立しない、
ということです。

 

通常、会話をしている場面では
(これがテレビ会議でも同じです)
話している人の話を聞こうとしています。

 

でも、もうすぐ自分の発言の番が来るとなれば
自分が話す内容のことを考えていて
他の人の発言が耳に入ってこない時があります。

 

これは
「聴こう」という気持ちがない場面
です。

 

研修をしていても、受講者の表情から、
すぐに「あ、聞いてないな」
というのがわかります。

 

視線が異なる方向を向いたり、
口の中で何かをつぶやいていたりすると、
たいていは聞いていません(笑)

 

「聴こう」という気持ちがないと
まずコミュニケーションは成り立ちませんので
論外ですね。

 

私が今回問題視しているのは、
「聴いた内容を素直に解釈しよう」
という気持ちのことです。

 

この気持ちを持っている人は
本当にコミュニケーション上手です。
聴き上手とも言います。

 

たぶん、この気持ちを持っていれば
世の中、争いはないのでは、
と思うほど、話がスムーズに進みます。

 

ところが、ほとんどの人が
聴いた内容を「素直に」解釈せずに
「裏」を読もうとします。

 

あるいは、普段はきちんと解釈する人も
特定の人との関係では
「ゆがんだ」解釈をしようとします。

 

例えば。

 

いつも意地悪をしてくる相手が
今日になって突然
「ごめんね~」と言ってきても
言葉通りに素直に受け取れない時。

 

いつも不機嫌そうな顔をしている人が
軽いジョークを発したけれど、
ジョークだと認識できない時。

 

いつも上から目線で話す人が
下手に出たような言葉遣いをする時。

 

特定の人との関係とは、
普段からその人とのつながり方に
大きく依存しています。

f:id:ugrade:20171010214039j:plain

 

初めて会った人にジョークを言われたら
それがあんまり面白なくても
なんとなく笑ってしまうでしょう。
(愛想笑いですが)

 

初めて会った人で、これからも関係しない人から
上から目線で話されても、
スルーするだけでしょう。

 

そして、全く気に留めることなく
記憶することすらなく
忘れ去って、なかったことにします。

 

でも、普段から良く出会う人だと
そういう訳にはいきません。

 

どうしても聴く側は身構え、
自分を守るために感情的になっていることが
多くなります。

 

聴き上手な人たちは、
こんな時、どうしているのでしょうか?

 

聴き上手な人は、
自分を守るための感情を認識しています。

 

例えば、
(あー、私、今この人に怒っている)
とか
(この人に対していい感情を持ってない)
といった気持ちをきちんと受け止めています。

 

自分の気持ちをきちんと受け止め、
認めてしまうと
あまり感情に振り回されなくなります。

 

そうしていれば、
あんまり好きではない人との会話も
言葉だけを素直に受け取ることができます。

 

激しい感情は、他人の言葉を
きちんと受け付けません。

 

そうなると、自分流に解釈をして
話す側が言っていないことまで想像が膨らんで
会話がややこしくなるのです。

 

そして、「言った」「言わない」の
ケンカになるのです。

 

ただ、自分の感情を認め、受け止めることは
結構難しいです。

 

どんな話も自分独自の理論にすり替えて
相手を論破するために
言葉激しく話す(怒鳴る)人。

 

「自分は同情されるべき不運な人」になるよう
なぜかすべての話題がそこにたどり着く人。

 

先日、上記の2パターンの二人が会話して
全く話がかみ合わないのを
横で見学していました。

 

お互いに意思疎通しあう意思がないので
間に入って通訳する必要もないと感じて
(同じ日本語同士なのですが(汗))
その場をやり過ごしてしまいました。

f:id:ugrade:20170828212557j:plain

 

良く
「相手の話に耳を傾けなさい」
と子どもの頃に言われたと思います。

 

それは、「聴こう」という気持ちを持つと同時に
「聴いた話を素直に解釈しよう」という気持ちを
持つことの大切さを言っていると思っています。

 

それでは、今日はこの辺で。