人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

人材育成をする前の心がまえ

今の社員は、
あるあるづくし社員ですか?
それとも、
ないないづくし社員ですか?

 

これらの言葉についてはそれぞれ
以下を参照ください。

あるあるづくし社員で会社を盛り上げる - 人材育成の道すがら

困る「ないないづくし社員」 - 人材育成の道すがら

 

ないないづくし社員であっても
社長(もしくは上司)が成長させれば
変化が訪れます。

 

今日は、社長が人材育成する際における
心がまえについてお話しします。

  

1.人材育成の基本

これまで人材育成を行ってきた方にとっては
当たり前のことかもしれませんが、
人材育成の基本について
まずは押さえておこうと思います。

 

人材育成は、やろう!と考えて
すぐに行動に移す方がおられます。

 

その行動とは、
「研修会に出す」
「説教をする」
などです。

 

確かに行動することは重要ですが、
人材育成をする前に
やっておくべきことが3つあります。

 

1つ目は、
現在の状態を把握することです。

 

2つ目は
将来どのような人材にしたいかを
明確にすることです。

 

3つ目は、
現在の状態を将来の人材像にするために
どのような育成を行うのかを
決めることです。

 

現状を把握して
将来を明確にする、
現状と将来のギャップを埋める
解決手法を導き出す。

 

これは、課題解決の手法と同じです。

 

人材育成も課題解決なのです。

 

問題なのが、
社員一人ひとりのレベルが異なり、
成長度合いも
育成させる手法も異なる、
ということです。

 

Aさんでうまくいった手法でも
Bさんでは使えない可能性があります。

 

また、同じ社員であっても
時期によっては異なる反応を示します。

 

成績が落ち込んでいる時と
大型案件を受注したばかりでは
同じ社員でも気持ちの持ちようが変わります。

 

そして、人は
日々変わっていきます。

 

ちょっとした一言で
急にやる気をなくしたり、
ちょっとしたトラブルで
ふさぎこんでしまったり
します。

 

そんな人間を成長させるためには
育成させる側の心がまえが重要です。

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2.育成の心がまえ

私は、将来の人材像を
「あるあるづくし社員」と
名づけました。

 

言うなれば、自立した
イデアと実行力に富んだ人材、
というべきでしょう。

 

社長が不在でも、
バリバリと仕事をして、
業績を上げられる人材。

 

そのようなイメージをされても
そう違ってはおりません。

 

ですが、このような人材を育成するには
育成する社長の側にも心構えが必要です。

 

それは、社長自身が
「あるあるづくし」であること
です。

 

具体的にどういうことか
みていきましょう。

 

1)気持ちをサッと切り替える 

毎日やる気に満ちた社員を求めるなら
ご自身も毎日やる気に満ちた社長である
ということです。

 

社長自身がやる気がみえないのに
社員にやる気を持て、
ということ自体が無理です。

 

社員は社長をよく観察しています。

 

ですから、少しでもやる気のなさを見せたら
社員のやる気もなくなってしまう、
と思っておいてください。

 

ただ、
人間ですから多少の感情の波風があっても
仕方ありません。

 

ですが、
ネガティブな言葉を言い続けたり
しないことの言い訳を言い続けるようなことは
できる限りしないようにします。

 

大きなトラブルが発生して
会社の存続が危ぶまれるような事態となっても
周囲の責任を追及するのではなく

 

自分の至らなかったところや
この試練をどういう方向性で切り抜けるのか
といったことを話すようにします。

 

そして、
気持ちをサッと切り替えるよう
心がける必要があります。

 

もし、社員が失敗をして
カッとなってしまっても
感情的に怒鳴り散らさないようにします。

 

「怒る」と「叱る」は
明らかに異なります。

 

どうしても「怒りたい」時は
怒った方が良い場面かどうかを判断して
ドーンと一発怒鳴ってください。

 

一発だけです。

 

その後は、カラリと態度を変えて
冷静に行動することが重要です。

 

怒った方が良い場面とは
相手の社員が怒られることで
気持ちがリセットされる
ということがわかっている場合です。

 

相手との信頼関係があるかどうか
ということになります。

 

それ以外の場面では
「怒る」をやめて「叱る」に
切り替えます。

 

 

いつまでもネチネチと怒り続けません。

 

なかなか気持ちが切り替えられない方は
一旦席を外すことをおすすめします。

 

アンガーマネジメント協会では
6秒程度で最初の爆発的な感情は収まる
といっています。

 

一番良いのは、
異なる場面に身を置くこと。

 

トイレや喫煙所などへ行くのです。

 

他にも
コーヒーやお茶を飲むなどをして
気分を切り替えましょう。

 

そんなテクニックをいくつか
自分の中に取り込んでおくことが
心がまえとして必要です。

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2)我慢する

自立した社員に育てたいのであれば
あれこれ指示を出すことなく
ジッと観察するだけにする
ということがあります。

 

自立した社員、
つまり社長がいなくても
自分で行動する社員にしたい、
ということであれば、
いつまでも社長が細かい指示を
出し続けては意味がありません。

 

社員に対して
その社員が動けるだけの指示を出したら
あとは社員に「任せる」
ということが必要です。

 

この「任せる」のに
我慢が必要なのです。

 

社員によっては拙い手法で
非効率的に業務を行っている場面に
出くわすでしょう。

 

その際、社長が手を出し
口を出してしまえば、
社員は
「やっぱり社長の指示だけで
動いていた方が良い」
と思ってしまいます。

 

任せたいのであれば、
決めたところまで業務が進むまで
任せる必要があるのです。

 

それは「我慢」がいります。

 

我慢が苦手だと思われる方は多いでしょう。

 

私は講師仲間を含めて
今までたくさんの研修講師を見てきた中で
「我慢」を習得しているのは
子育てを経験した方ばかり、
ということを強く感じています。

 

小さい子を育てる時は本当に
「我慢」が必要です。

 

何でもできるようになるには
やらせる必要がありますが、
それができるようになるには
とても長い時間がかかります。

 

子育てをする中で
自分の中の忍耐強さを養成し
「我慢」が身につくのです。

 

もっとも小さい子どもを育てるほど
社会人の育成には「我慢」は必要ありません。

 

言葉が通じる大人相手ですから
あんまり我慢することを経験していなくても
できるようになるでしょう。

 

ですが、ある程度の我慢が強いられることは
認識しておいてください。

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3)PDCAを回す

そして、是非とも
PDCAを意識してください。

 

Plan-Do-Check-Action
計画-実行-評価-改善

 

計画をして、
計画通り実行してみて
上手くいったこと・上手くいかなかったことを
振り返ってみて
改善策を考えてみる

 

このPDCAを回すことを意識するのです。

 

実は人材育成には
王道パターンはありません。

 

人が一人ひとり特徴が異なるため
これをすれば万事OKという
方策はありません。

 

私がここで申し上げているのも
基本的なことが主であり
ケースごとに基本を元に応用して
いただく必要があります。

 

一人ひとりのケースごとに異なるため
ある程度計画を立てて行動しても
思い通りにならないことがあります。

 

その際に、次の対策を考えるためにも
PDCAをきちんと回していくことが
大事です。

 

直感的に行動していては
社員からみると一貫性がないように
受け取られてしまいます。

 

また、PDCAを回していくと
今まで気づかなかった課題に
気づくようにもなります。

 

業務をさせた後の反応が
人によっては想定外なことがあります。

 

こいつはこんな風に思っていたんだ、
あいつは思っていた以上に○○だ
といったことが
育成途中でわかることもあります。

 

ダメだと思い込んでいた社員が
思わぬ実力を発揮する、
といったこともあるでしょう。

 

人一人ひとりに多面性があります。

 

それらを把握するには、
何かをさせてみることが必要です。

 

そして、
今までとは異なる一面を見つけたら
それまでの計画を変更することも
あり得ます。

 

どんなやり方でもうまくいかない
という社員にも出会うでしょう。

 

その時も勘頼りに育成するより
計画・実行して
計画時に立てた仮説を一つひとつ
つぶしていく方が、
より早く、その社員にあった育成法に
たどり着くでしょう。

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3.どうしても育成できない時

人間同士ですから、
どうしても思うように育成できない
ということも起こりえます。

 

育成方法が悪かったかもしれません。

 

ですが、
様々な育成方法を試したながら
PDCAを回していたけど
どうしても上手くいかない、
ということもあり得ます。

 

そのような場合はどうすれば
良いでしょうか。

 

育成できなかった原因を
まずは考えましょう。

 

その業務がどうしても
あわないタイプの社員がいます。

 

緻密な作業が大の苦手な社員に
緻密さを求めても
社員には不幸です。

 

そんな場合は、
他の業務をしてもらう、
いわゆる配置換えを検討します。

 

ですが、チーム会社には
配置換えをするほど部署がない
という場合もあります。

 

そんな場合は、
その社員本人の勤める会社を変えることも
考えの中に入れておくべきです。

 

また、性格的に
どうしても育成できない
という人もいます。

 

真摯に取り組んでほしいのに、
いつも「ズル」をしてしまう社員。

 

自分だけ楽をしようとする社員。

 

何度言っても聞いてもらえない、
といった場合があります。

 

おそらくその社員は
社長を信頼できないのだと思います。

 

そんな人の場合は
今後育成するためのコスト
(社長の手間暇のこと)
が見合うかどうかを検討し、
やはり会社を変わってもらう、
ということも候補の一つでしょう。

 

会社のあるあるづくし社員の社員像は
ある意味、社長の考えそのものです。

 

社長の考えに共感できない方なので、
チーム会社に雇い入れておくだけの
余裕がない場合は
会社を変わってもらう
ということが出てきます。

 

社員側からしても
会社を変わった方が幸せでしょう。

 

4.人材育成をしたことで現れる重要なこと

 

前項は退社を促す話となりましたが、
人材育成をしたことで現れる
重要なことについて
触れておきましょう。

 

人材育成をするうちに
「うちの会社はこういう人材が欲しい」
ということが明確になります。

 

明確になれば、
実は採用する際に
明確な採用基準となります。

 

育成の経験が積まれていけば、
「この程度の人であれば
育成すればモノになる」
ということもわかってきます。

 

実はそれこそが
人材管理の重要なポイントなのです。

 

人材育成を始めた当初は
辞める人が出てくるのは
多少仕方がないことです。

 

ですが、明確な採用基準ができれば、
採用の時点で辞めにくい人材を
確保することができます。

 

育成する経験を積んでいけば、
多少条件が悪くても
育成可能ということがわかれば、
チーム会社であっても将来的な優秀人材を
確保することができるのです。

 

これは会社として
とても重要なことです。

 

会社は継続していく必要があります。

 

継続するには人材が必要です。

 

チーム会社であったとしても
それは同じです。

 

大企業のように名前だけで
わんさかと優秀な人材が来る可能性は
大変少ないでしょう。

 

ですが、採用基準が明確になるだけでも
労働市場の人材が
将来の宝かどうかが
はっきりわかるようになるのです。

 

5.まとめ

まずは、
人材育成する社長の心がまえとして

  1. 気持ちを切り替えること
  2. 我慢すること
  3. PDCAを回すこと

の3つをあげました。

 

また、どうしても育成できない
社員への対応についても
お話ししました。

 

社員が社長の言うことが聞けないのは
そこに信頼関係が築けていないことなので、
ある程度シビアにすることは重要です。

 

ただし、それはあらゆる手段を講じた後
ということにしましょう。

 

不当解雇、
という話になれば、
後々大変なことになります。

 

最後に、人材育成を行うことで
採用時に育成できない人材を
採用しないことができる
という話をいたしました。

 

心がまえについてお話しした後は
いよいよ人材育成そのものについて
お話ししていきましょう。

 

それでは、今日はこの辺で。