人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

社長が考える「あるあるづくし社員」は

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

ないないづくし社員とは、
やる気がない、自分から動かない、といった
会社にとってダメージを与える社員

 

あるあるづくし社員とは、
常にやる気があって、
会社の業績をアップさせる行動力があり
自ら考えることができる社員

 

ただ、チーム会社には
あるあるづくし社員が入社しない
労働市場で大企業へと流れてしまう

 

そのため、社長が人材育成をし
現在の社員をあるあるづくし社員へと
変貌させることが必要

 

そのために現在の社員を良く観察する
必要がある

 

こういったことをお話ししてきました。

 

今回は、
社長が考えるあるあるづくし社員像について
お話ししていきます。

 

1.会社の今後はどうですか?

あるあるづくし社員像を考える前に
まずは、現在の会社の今後を
考える必要があります。

 

なぜなら、社員を育成しても
会社の将来とは合わない状態になれば
会社も社員も不幸だからです。

 

現在の事業を同じ規模で続けますか?

 

規模はどんどん大きくしたいですか?

 

新しい事業を始めますか?

 

ノーアイデアだけど
会社に変化をもたらしたいですか?

 

人材育成は会社の将来像が決まらなければ
育成計画そのものが成り立ちません。

 

ここで注意すべきことがあります。

 

良くある事例として
現状を突破するアイデアを新事業として
立ち上げたい、
現状を変化させて会社を発展させたい
といったものです。

 

そういった事例の場合は、
イデア豊富な社員へと育成する必要があります。

 

ところが、こういった社員育成は
少しだけ時間がかかります。

 

今すぐに変化をもたらす人材にはならない
ということを頭においておく必要があるのです。

 

イデアを出す、
だけであれば、おそらく現状でも可能です。

 

ブレーンストーミング手法を使えば
とりあえずアイデアは出ます。

 

ただ、そのアイデアを否定する人が
必ず存在するのです。

 

「そんなアイデア、つまらん」
「もっと現実的なアイデアを出せ」
という人です。

 

残念ながら、社長自身が
そういう人になるパターンがあります。

 

そうなれば、アイデアは絶対に生まれません。

 

イデアを出して
それが新事業になるには、
最初の段階として
自由にアイデアを出せる「雰囲気」が
必要なのです。

 

この雰囲気が実は大変なのです。
ここでいう雰囲気は、
「社風」とか
「組織内の暗黙のルール」
とか言われているものです。

 

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実は、人には「思い込み」があります。

 

特に経験豊富な人ほど
経験に基づいた「思い込み」があるのです。

 

そういった人たちが
「そのアイデアは荒唐無稽すぎる」
「現実的ではないだろう」
「今まで成功した試しがない」
「昔も同様のことをやったが、無理だった」
といった風に否定してくるのです。

 

その思い込みが
イデアを全否定するわけなのです。

 

そして、社内の雰囲気を悪くしてしまいます。

 

否定された方は気分を害します。
否定した方も「ヤツは何もわかってない」
と憤慨します。

 

 

せっかくアイデアを思いついても
否定されれば、
それを外に出そうとは思いません。

 

その思い込みを打開するには
コツが必要であり、
多少時間がかかります。

 

この前準備ができていなければ
いきなりアイデアを出し合って
新事業を立ち上げる、
といったことは不可能なのです。

 

ある程度の時間がかかっても
新事業を行いたい、
というのであれば、
じっくり取り組む必要があります。

 

ですが、時間があまりないのだが、
現状を打開したい、という場合は、
比較的若い社員から人材育成を行うことを
おすすめします。

 

どうしても年齢が高くなれば
今までの経験から新しいことを
生み出しにくくなります。

 

人は、自分が変化するのを好みません。
が、周りが変化してくれるのは好みます。
(ただし自分に都合の良い変化のみです)

 

ただ、経験値が浅い若い社員は
今までの自分ではダメだ、
という思いを持っていることが多いため、
育成すれば大きく変化する可能性があります。

 

あくまでも可能性です。

 

中には60歳代でも素早く大きく変化する人もいます。
ただ、その確率が低いだけなのです。

 

もし、社長の心の中で
60歳代だけど、こいつは変化しそうだ、
と思われる方がいらっしゃれば
その方を中心に育成すると良いでしょう。

 

そして、会社の今後も
大きく変化させるよりも
今の現状から少しだけ伸ばす
というような計画にした方が
早く実現します。

 

その会社の伸ばす方向性によっては
社員の育成目標が変わってきます。

 

会社の伸ばす方向が決まれば
人材育成の方向が決まります。

 

そこで、
こんなあるあるづくし社員像が良いな
と考えることになります。

 

2.誰を育成しますか?

さて、会社の将来像はある程度でき上がれば
あとは、誰をどのように育成するのか
ということになります。

 

一遍にすべてが良くなるようにはできません。

 

ただ、チーム会社の良いところは
人数が少ない、
ということです。

 

それだけ人材育成の効果が
顕著に現れてきます。

 

大企業の場合は、
人数が多い分、効果が限定的ですし、
研修をやるにしても
一部という訳にもいかず、
結局全体を通して同じ研修、
となりがちです。

 

これでは研修の効果は半減以下です。

 

ですが、チーム会社の場合は
一人ひとりに着目して
一人ひとりに育成メニューを組み立てます。

 

その分、効果が出やすくなります。

 

誰に対して育成を行うのか
ということが決まれば、
その社員の現状と将来像を考えます。

 

そこまでできたら、
ようやく社員そのものと話すことになります。

 

社員が育成されることを納得しなければ
思うように育成できません。

 

その社員と1対1で面談をします。

 

その時、社長の思いを伝え、
どのように成長してほしいかを
キチンと告げるのです。

 

そう難しいことでなければ、
告げただけで
その社員は変わるでしょう。

 

少し練習が必要であれば、
失敗した際のフォローについても
十分に話しておく必要があります。

 

そして、
社員全体にもその社員に対して
育成を行うことを
伝えます。

 

中にはその社員だけ
「特別扱い」
をしていると誤解する社員も出てきます。

 

だからこそ、
忘れてほしくないのは
「全員が人材育成の対象である」
ことを明確に伝えることです。

 

社長の人材育成の計画の全体像を
話しても良いでしょう。

 

目標ができると、人は動きやすくなります。

 

時差があっても
全員に大きく育ってほしい、
という社長の思いを
キチンと告げるのです。

 

これを言わない社長がいます。

 

そんな社長は、
「言わなくてもわかっているだろう」
という思い込みをもっています。

 

大事なところなので
是非とも理解してほしいです。

 

わかっているだろうと思っても
キチンと言葉で伝えることが
一番大事です。

 

実は、
言葉だけでは一度に伝わりません。

 

なので、
何度も言葉を変えて伝えることが
重要です。

 

そして、伝えたことを
体現することです。

 

社長自身が行動で示すことです。

 

それで、徐々に
社員全体に社長の思いが
伝わっていきます。

 

一度言ったから
とか、
もうわかっているはず
とかは厳禁です。

 

社長の真実の思いは
何度も言って、
なおかつ、
行動で示さなければ
伝わりません。

 

人材育成が成功するために
是非とも押さえてほしいコツです。

 

3.どのように育てますか?

社長の考える「あるあるづくし社員」像は
おそらくかなり抽象的だと思います。

 

前項で何度も言って、
行動で示して、
と申し上げましたが、

社員たちが、
おそらく正確に理解できる可能性は
ゼロに等しいでしょう。

 

社員の将来像なんて
具体的に考えられるのは
かなり慣れてからでしょう。

 

おそらく慣れたとしても
なかなか具体的には考えにくいと
私は考えています。

 

ただ、それを一生懸命考える
社長が
社員から見て一番刺激になるのです。

 

今まで会社の事業を
社員は変わりなくやり続けてきたけれど、
会社の今後のことを
真剣に考えている社長を見れば
何か良い方向に変わるかもしれない、

 

そんな良い影響を与えることが
できるのです。

 

社長が発する言葉が
抽象的すぎて
良くわからなくても
何かを変えようとする
熱い思いは伝わります。

 

そして、
言葉を尽くして話し、
体現していくことで、
社員には
こんな感じなのかな、
と自然と伝わっていくでしょう。

 

そのためにも
社長自身が「変わる」ことです。

 

前にもお伝えしましたが、
社長自身が
「あるあるづくし社員」となることです。

 

完璧にできなくても結構です。
雰囲気さえ伝われば良いのですから。
完璧な人間はいません。

 

ただ、社長は変わろうと
努力している
キチンと学ぼうとしている
という姿を社員に見せることが
大切なのです。

 

そうした姿は
組織の雰囲気を変貌させます。

 

先に書いたように
イデアを速攻否定する雰囲気ではなく
イデアをさらに膨らませて
実現可能にさせる雰囲気へと
変貌するのです。

 

言うなれば、
社長が考える
あるあるづくし社員は
社長そのもの
なのです。

 

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4.あるあるづくし社員の発展形

あるあるづくし社員が
社長そのものである
と言っても、

 

他の社員が同様になれば、
それは社長のコピーではありません。

 

社長と異なる人が
社長同様の人になろうとしても
コピーには絶対になりえません。

 

そこには全く違う要素が入り込みます。

 

それを伸ばすことが肝要です。

 

それで会社内に「多様性」が生まれます。

 

そうすることで
あるあるづくし社員の発展形が
形成されます。

 

一人ひとり、
あるあるづくし社員の発展形となった
社員が会社の中で育成されてくるのです。

 

多様性というと面倒だ、
と思う方がいらっしゃいます。

 

一人ひとり異なるわけですから
管理がしにくいでしょう。

 

ですが、
違うことは良いことなのです。

 

違うことは対立を生みますが、
違うことは発想を豊かにします。

 

工夫ができる会社へと変わるのです。

 

そして、多様性があっても
根本的なところは変わりません。

根本的なところは
社長の会社への思いです。

 

そこで、始めて
ワンチームになるのです。

 

人材育成は、全く異なる人材へ
育てるのではありません。

 

まずは、社長の思いを汲み取った
社員にすることです。

 

それには、社長の思いを
あらゆる方法を使って
表現することが肝要なのです。

 

5.まとめ

今日は、社長が考える
「あるあるづくし社員」像、
というテーマで話してきました。

 

まずは会社の方向性を決める、
続いて最初は育てやすい社員を
選んでいきます。

 

そして、社長の思いとともに
社員に対して語り、
体現していくのです。

 

正確性を求めたい、
と思っているのに、
社長自身が正確性を求めなければ、
人は育ちません。

 

体現することが重要です。

 

社長の話を聞いて
社長の行動を見て
社員は学んでいきます。

 

学ぶということは
「まねる」
からきているそうです。

 

だから、社長の真似をします。

 

でも、絶対にコピーではありえません。

 

その社員の良さが十分に発揮できる
あるあるづくし社員の発展形へと
変貌していくでしょう。

 

さて、これまで、
人材育成の心がまえ、
人材の現状の把握
将来の人材像
という観点からお話ししてきました。

 

これからは人材育成を実際について
お話ししていきます。

 

それでは、今日はこの辺で。