人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

人材育成技術の基本

チーム会社が発展するには
社長自身で人材育成をする必要がある
ということで、
これまでお話をしてきました。

 

今回は、人材育成の技術について
概略をお話しします。

 

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

ないないづくし社員とは、
やる気がない、自分から動かない、といった
会社にとってダメージを与える社員

 

あるあるづくし社員とは、
常にやる気があって、
会社の業績をアップさせる行動力があり
自ら考えることができる社員

 

ただ、チーム会社には
あるあるづくし社員が入社しない
労働市場で大企業へと流れてしまう

 

そのため、社長が人材育成をし
現在の社員をあるあるづくし社員へと
変貌させることが必要

 

人材育成は、
まず、現在の社員を良く観察する
必要がある

 

そして、将来の会社をどうするのか
考えた後に今の社員をどう成長させるのかを
考えていく必要がある。

 

こういったことをお話ししてきました。

 

人材育成の技術

さて、人材育成の技術は
大きく分けて3つあります。

 

  1. 技術・知識
  2. 仕事そのもののやり方
  3. 人との関わり方

 

何を学ばせるかによって
人材育成の技術の3種類のうち
いずれかを選択します。

 

1.技術・知識

入社してすぐの社員や
若手社員に対しては
会社の業務そのものをやっていく上での
技術や知識が不足しているでしょう。

 

彼らを育成したい場合は、
技術や知識の伝授が必要です。

 

技術の伝授については
伝統的な教え方が今でも主流です。

 

徒弟制度があった時代、
師匠と弟子、という関係性の中
師匠が技術を見せて
それを弟子が見て真似て覚える、
という構図です。

 

 

技術は体得、つまり
体で覚えていく必要があるため、
繰り返し練習することが必要です。

 

そのために、
まずは真似る、
同じ動作を繰り返す、
少しずつ自分らしく変化させる、
自分なりに技術を高めていく
といった「守破離」の構造となります。

 

知識においても同様です。

 

一度に覚えることは限りがあるので
順番に少しずつ知識の範囲を広げていく
手法です。

 

ここは学校方式が一番最適でしょう。

 

これらの教え方は
比較的わかりやすいですし、
想像つきやすく、実践しやすいでしょう。

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2.仕事そのもののやり方

仕事そのもののやり方は
業種や会社によって異なります。

 

毎日、ほぼ同じことを行うような
業務であれば、
1.技術・知識で
お話ししたような教え方で十分です。

 

ですが、そうではない仕事の場合は、
仕事そのもののやり方を
教える必要があります。

 

例えば、「納期」がある仕事。

 

納期までに品質の良い製品を納品する
といった仕事の場合、
納期ギリギリに切羽詰まって
仕事を追い込まなくても良いように
管理していく必要があります。

 

例えば、家を建てる、
といった仕事の場合です。

 

同じ家を同じ大きさの敷地に建てる
というのであれば、大きな問題はないでしょう。

 

ですが、一軒一軒、土地の大きさも異なり、
建てる家も異なるのであれば、
簡単に建てられるものではありません。

 

言うなれば、
「段取り」というものが必要です。

 

納期まできちんと品質保証できた製品を
お渡しすることができるよう
前もって準備をしておくことです。

 

「段取り」という言葉で検索すると
さまざまな記事が出てきます。

 

また、本もさまざまな形で出版されています。

 

それだけ重要なことなのに、
実は学校ではあまり教えられておらず、
知らないことが多いのです。

 

ある程度年齢を重ね、
仕事を長年やってきた方でも
今までと異なる仕事になると
何もできなくなるケースがあります。

 

どんな場合でも段取りをする力がないと、
仕事でつまづくことになります。

 

こういった場合は、
社員一人ひとりのプロセスを確認しながら
指導していく必要があります。

 

育成する社員の経験値にもよりますが、
全くの新人であれば、日に2回、
朝と昼休み直後、もしくは終業時間直前などに
仕事の進捗具合や今後の進め方について
10分でも良いので話しあうのです。

 

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仕事が降ってきたら、
がむしゃらに取りかかるのではなく、
優先順位を考えて、
段取りを考えて、
仕事をする方が効率的ですし、
効果的です。

 

それらの手法については、
仕事を任せるだけでは
絶対に身につきません。

 

社員個人が気づいて修正しながら
自分なりに育っていく、
というのを期待すると
数年、数十年かかります。

 

3.人との関わり方

人との関わり方は
今までの人生経験の中で
ある程度身についているはずです。

 

ですが、
希望する研修の中で
コミュニケーション
が意外と多かったりします。

 

人との関わり方というのは
ほぼ100%コミュニケーションです。

 

例えば、
連絡・報告・相談と言われるものが
適切な時期に適切に行われているか
と聞くと、
首を横に振る社長が多いです。

 

連絡・報告・相談のタイミングがわからない
という嘆きも多く耳にしてきました。

 

そんなに難しいコミュニケーションではないのに
わからない、という人が多いのが現状です。

 

これでは上手に人と関わることは
難しくなってしまいます。

 

これらを学ばせるためには、
「話し合う」ことが必要です。

 

会議ではありません。

 

会議で育成できるのであれば、
それに越したことはありませんが、
通常はなかなか育成できません。

 

会議は複数人が一同に会するので、
なかなか言葉が出ない人、
見栄の方が優先して良いことしか言わない人
といった人が出てきます。

 

そうではなく、
社長と1対1の面談を行うのです。

 

この面談を最近では

1on1(ワン オン ワン)

と呼んでいます。

 

面談なら、半期に1回やっている
という会社は多いでしょう。

 

評価面談ですね。

 

私の言う面談は
評価面談ではありません。

 

少なくても週1回程度、
30分程度の面談を行います。

 

本来なら社員が面談テーマを決めて
面談に臨むのですが、
そこまで育成できていないのが現状でしょうから、
社長の方から面談テーマを決めておきます。

 

テーマは何でも構いません。

 

ただ、テーマを
「現状、困っていること」
といったアバウトなものにしてしまうと
「今は何も困っていません」
という返答しかないでしょう。

 

なので、最初は、
2.仕事そのもののやり方の
内容をここへ持ち込んでも良いでしょう。

 

その社員の夢を聞く、
というものでも良いでしょう。

 

個人的な夢でも構わず聞いて、
それを形にするために
一緒に考えよう、
というスタンスで話を聞くのです。

 

社員の意外な一面を垣間見ることになるでしょう。

 

 ここでの問題は
社長一人が30分話さない、ということです。

 

社長業を長くやっていると
自分の想いが強くなり、
つい他人を前にすると
自分の事を話してしまいがちです。

 

社長の面談ではないので、
あくまで主役は「社員」です。

 

社長は聞き手に徹します。

 

そのうち、社員の方から
仕事上の悩みが相談されるようになれば、
その社員の育成に大きく関与していくことに
なるでしょう。

 

そんな時でも
社長がアドバイスして終わりではなく、
一緒に考えようの態度は変えてはいけません。

 

社長よりも、
もっとうまくやっている社員がいるなら、
話を聞いてみることを勧めてみるなど、
回りを巻き込むことも必要です。

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人との関わり方ができないと仕事ができない

仕事は基本的に一人だけで完結することはありません。

 

自分でモノやサービスを提供し、
誰かから対価をもらうことで
仕事は完結します。

 

自給自足の生活であれば、
人と関わる必要はないかもしれませんが、
今の世の中、完全なる自給自足はありません。

 

水道・ガス・電気といったインフラ系は
サービス業者が必要です。

 

また、一人で牛を育てて
その肉をさばいて食べる、
といったことも無理でしょう。

 

誰かと一緒に何かをすることができる、
ということは、とても重要なことなのです。

 

チームスポーツ経験者であれば、
チーム(同僚)に貢献するという意識を
持っているでしょう。

 

ただ、会社で働く場合は、
チームに貢献だけすれば良いわけではなく、
「顧客」の存在があります。

 

その分、人間関係が複雑になってます。

 

人材を育成することの本質は、
その人材がちゃんと自分の足で立ち、
その目で相手を見つめ、
その心で相手を認めることができるようになる、
というものだと私は考えています。

 

もっと抽象的な言葉で言うならば、

 

自分自身に等身大の自信を持ち、
相手の立場を想像して
相手と相互的に関係性を持つ、
ということです。

 

そのためのツールとして「言葉」があり、
「表情」や「行動」がある
と思います。

 

ただ、意外と、
等身大の自信を持つ、
相手の立場を想像する、
相互的に関係性を持つ、
というのが難しいのです。

 

自信を持ちすぎて「尊大」になったり、
自信がなさ過ぎて「消極的」になったり
している人はたくさんいます。

 

また、「想像する」というのは
ある意味テクニックが必要です。

 

その上で、お互いに関係性を保つ、
というのは相手も同様のことができることが
求められます。

 

そこで、まずは社長との関わり方を
どのようにすれば良いのかを学ばせる、
という意味で、
面談という方式をご提案しました。

 

関わり方が苦手な方はもちろん、
関わり方が得意だと思い込んでいる方も
修正していくために
社長との関わり方を学ばせていくのです。

 

人材育成にかかる時間

人材育成にはある程度の時間はかかります。

 

人が育成されていく過程には、
「気づく」
「考える」
「課題を見つける」
「試みる」
ということを繰り返していく必要があります。

 

気づくには、
気づくために外からの刺激が必要です。

 

今まで通りで何事も変化ない状態では
余程のことがない限り、
気づけません。

 

そのきっかけが
社長との面談です。

 

気づいていない社員には
気づかせることから始めます。

 

そして、
「考える」
「課題を見つける」
に慣れていない社員であれば、
一緒に考え、課題を見つけます。

 

最後に
「試す」まで行けば、
フィードバックをしてあげます。

 

試したことに対して
社長自身のコメントです。

 

良かった、悪かった
だけではなく、どの部分が良かった、
と詳細にコメントした方が
育成効果は出ます。

 

人材育成は、
そういったステップを踏むために
即効性はありません。

 

また、せっかく前に進めても
ちょっとしたことで後退することもあります。

 

でも、ゼロまで戻ることはありません。

 

ただ、たまに
突然、大きく進化することがあります。

 

突然
「わかった!」
となるのです。

 

これは本当に不思議で、
私も何度か体験しました。

 

いきなり受講者の方の目がキラキラと輝き、
「ああ、わかりました!」
と叫ぶのです。

 

おそらく今までの経験と
学んでいる内容が
結びついた瞬間なのだと思います。

 

それに至るには、
育成をし続けているしかないのです。

 

育成をしていなければ
「わかった!」も絶対にありえません。

 

人材育成は前向きに、
一歩ずつ進むしかないのですが、
こういう時もある、と言い聞かせながら、
行っていくのです。

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まとめ

今回は、学ばせる内容に応じて
どのように育成していくのか、
それぞれの手法について
概説してきました。

 

1.技術は繰り返して体得させ、
知識は徐々に範囲を広げながら学ばせる

 

2.仕事そのもののやり方は、
面談でプロセスを確認しながら、
学ばせる

 

3.人との関わり方は、
面談を基本し、話し合いをさせながら、
学ばせる

 

人材育成は時間がかかりますが、
育成する側が前向きに行動し続けることが
とても大事である、
ということもお話ししました。

 

それでは、今日はこの辺で。