人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

人材育成の基礎は「信頼感」

チーム会社が発展するには
社長自身で人材育成をする必要がある
ということで、
これまでお話をしてきました。

 

今回は、人材育成の基礎は「信頼感」
というテーマでお話しします。

 

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

残念ながら、チーム会社は、
研修をするお金がない
研修をする時間がない
という理由で、研修という形での
人材育成はできません。

 

ないないづくし社員とは、
やる気がない、自分から動かない、といった
会社にとってダメージを与える社員

 

あるあるづくし社員とは、
常にやる気があって、
会社の業績をアップさせる行動力があり
自ら考えることができる社員

 

ただ、チーム会社には
あるあるづくし社員が入社しない
労働市場 で大企業へと流れてしまう

 

だからこそ、社長自ら人材育成をし
現在の社員をあるあるづくし社員へと
変貌させることが必要

 

人材育成の基本的な3つの流れ
1.現在の社員を良く観察する
2.将来の会社をどうするのか考える
3.今の社員をどう成長させるのか考える

 

これらを踏まえ、前回は、
人材育成の基本ということで
教える内容を3つの種類に分類し
それぞれの技術の概略について
お話ししました。

 

信頼とは何か

さて、人材育成の基礎は「信頼感」
ということです。

 

ただ、この「信頼」という言葉、
似たような言葉で「信用」があり、
混同されやすいので、
最初に言葉の意味についてです。

 

まず、信用です。

 

信用取引
信用を無くす

 

といったように信用という言葉は
ビジネスで良く使われます。

 

 

個人客であれば商品は現金と引き換え、
というのが当たり前ですが、
会社同士の場合は信用取引が普通です。

 

通常は、月末締め翌月末払いです。

 

ある製品を購入した場合、
1カ月分をまとめて月末時に
合計額を請求し、
翌月末に支払う、
ということです。

 

製品が現金化するのが1カ月後、
ということです。 

 

 

もし、この1カ月の間に
製品を購入した会社が倒産したら
現金はもらえなくなる可能性があります。

 

そこで、「信用」ということが
大事になります。

 

ある程度大きな会社になると
新規取引先の信用調査をします。

 

信用調査は、取引先の経営状況を調査して
1カ月後にキチンとお金が支払われるかどうか
を調べるのです。

 

もちろん、対社員でも同様です。

 

給料日に給料が支払われない、
となると大騒ぎになります。

 

勤めている会社への信用を無くしてしまうのです。

 

更に粗悪な製品を出荷した場合は
顧客からの信用を無くします。

 

食品偽装事件があったことを
記憶にある方もおられると思います。

 

そういった会社はなかなか信用を
得にくくなります。

 

信用はこのように
財産を含めた「価値」が関係した中で
「信じる」こと、ということです。

 

それに対して信頼は、
「価値」の部分がなくなります。

 

あの人は良い人だから
信頼するに足る人だ

 

信頼されたのだから信頼できる

 

といったように、
人と人とを結びつけるために
信じること、ということです。

 

明るくておおらかなのだけど、
おおらか過ぎて
小銭を借りたら返さない人がいるとします。

 

その人は、
単純に細かいことに無頓着なだけで、
人物的にはしっかりとして
仕事の成果は間違いがないとします。

 

そのような人に対して
信頼はするけれど、
信用はできない

 

といったことが生じてきます。

 

同じ信じるという意味であっても
信用と信頼とは
価値が関与するかどうかで
意味合いが異なるのです。

 

ここでは、信用というより
信頼に重きを置きます。

 

今から人材育成を行う上で
社長は社員から信頼されることが必要です。

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信頼されるとどうなるのか

講師として様々なところで話をしてきた経験で
講師になる時にまず重点的に言われたのが、
聴講者に信頼される講師になること、でした。

 

聴講者には、まず講師に対する信頼が必要です。

 

信頼されなければ、
いくら講師が良いことを話しても
聞いてもらえません。

 

信頼は
話を聞いてもらうための鍵なのです。

 

信頼がなければ
話を聞く前に耳に扉が固く閉じられてしまいます。

 

その扉を開くには鍵が必要であり、
それが信頼なのです。

 

聞く人の立場になって考えてみれば
すぐに理由がわかります。

 

皆さんが話を聞く際、
信頼できる人と信頼できない人の話、
どちらを聞く気になるでしょうか。

 

この人の話だったら聞いても良いな、
と思わせるのが信頼なのです。

 

人材育成も話を聞いてもらわなければ
何も伝わりません。

 

何はともかく、
信頼関係を築くことが一番重要です。

 

信頼関係がなければ人材育成のどんな技術を使っても
何の効果もありません。

 

なので、講師は最初の自己紹介で
話を聞くに値する信頼できる人材なのか
をアピールすることを叩き込まれます。

 

単純に自己紹介をするだけでなく
話を聞いてやろうか、
と思ってもらえることが大事なのです。

 

よって聴講者の年齢や性別、属性などは
事前に調査することになります。

 

小学生相手に
難しい単語を並べても
わかりません。

 

社名をクドクド言っても
理解してもらえません。

 

理解できないことを最初に話すと
途端に聞く気がなくなり、
隣の子同士でのおしゃべりが始まります。

 

高齢者相手でも
カタカナばかりの社名は通用しません。

 

このように
最初の自己紹介が重要ということなのです。

 

社長と社員の関係は
初対面ではないので、
自己紹介は不要です。

 

ですが、今までの関係性で
信頼関係が築けているかどうかが
重要になります。

 

社長のことを信頼していない社員ばかりでは
人材育成どころではないのです。

 

ただ、注意しておく必要があります。

 

社員は通常、社長の話は聞きます。

 

それは給料をくれる相手だから。
ただ、そこに信頼がない可能性があります。

 

社員であれば、
社長の話は必要最低限聞きます。

 

それは当たり前のことです。

 

話を聞いてくれるから大丈夫と
安心してはいけない、ということです。

 

話を聞いている「フリ」をしているだけです。

 

社長を信頼しているから
話を聞いてくれているのであれば、
社長の思うように会社が進んでいくでしょう。

 

ですが、どうもそうではない、
という場合は、
社員が社長のことを信頼しておらず、
聞いている「フリ」をしているだけ
ということが考えられます。

 

信頼関係ができていないな、
と感じるのであれば、
最初に信頼を築きあげることが必要です。

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信頼されるためには

では、信頼されるためには
どうすればよいでしょうか。

 

それは、
社員のことを信頼することから始まります。

 

そういうと
「社員のことを信頼できない」
と感じる社長がいます。

 

信頼して任せても
上手く仕事ができないから・・・

 

という理由がほとんどです。

 

お客様は怒らせてしまう、
とか
品質の悪い製品を作ってしまう、
とか
様々な理由で信頼できない、
と思うのです。

 

実は、
上手く仕事ができないから、
信頼できない、
のではなく、

 

それは、信用できない、
ということです。

 

仕事が関わると、価値が関わってきます。

 

売上だったり品質だったりと
価値が関わるのです。

 

会社は、
信頼と信用が混在してしまう環境にあります。

 

そこはキチンと分ける必要があるのです。

 

育成できていない社員は、
信頼するけれど、
信用できない
のです。

 

長年一緒に働いているので、
社員は暴力をふるったり
モノを盗んだりすることはなく
信頼できる人物であることは
わかっているはずです。

 

まず、信頼することです。

 

そして、どの部分が信用できないのか
をはっきりさせます。

 

その部分は育成できていない部分、
ということになります。

 

育成すれば、徐々に信用できる社員へと
変貌していくのです。

 

ただ、
「お前を信頼している」
といきなり言っても
社員は首をかしげるだけでしょう。

 

信頼されていない社長であれば、
「変なことを言い始めた」
くらいしか感じないと思います。

 

社員の中でも
信頼と信用を混同している人が多く、
勘違いをする人も出てきます。

 

それよりも、例えば
「○○ができるようになると助かるのだが、
教えるからできるようになってくれないか」
と持ち掛ける方が良いでしょう。

 

この場合、
社員からしてみると、
「自分は将来的に〇〇ができるようになる、と
信頼されている」
と感じるようになります。

 

この感じが重要なのです。

 

人は信頼されると
信頼してくれた人に対して
信頼するようになります。

 

言うならば
「期待」をかける
ということです。

 

期待される、
ということは、そこに信頼があるのです。

 

決して、
「○○ができないから信用できない」
と言ってはいけません。

 

そうすると、
その社員は近い将来退職してしまうでしょう。

 

期待を語るのであれば、
それは良い未来を語ることにつながります。

 

信頼していることを伝えるには
良い未来を語るように
伝えることが重要になります。

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まとめ

本日は、人材育成の基礎は信頼感、
ということでお話ししてきました。

 

まず、信頼と信用について
話をしました。

 

信用は価値の関与がある状態で信じることです。

 

信用を失うことは、価値を失うことです。

 

信頼は、その価値とは関係ないところで
信じることです。

 

人柄やその人の良い点を信じることです。

 

人材育成はこの信頼が重要です。

 

なぜなら、人の話を聞く気にさせるには
話す人に対して信頼が必要だからです。

 

話を聞いてもらえなければ、
人材育成のための話を聞いてもらえません。

 

信頼されるためには、
相手を信頼することが重要です。

 

信用と信頼をきちんと使い分け、
信頼していることを伝えるのです。

 

その際に、
良い未来を語り、
期待していることを表現すると、
自然と社長の信頼感は伝わります。

 

是非とも信頼関係を築き、
チーム会社の人材育成を行ってください。

 

それでは、今日はこの辺で。