人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

リフレクションの力

今日は今までお話ししてきた人材育成の中で
リフレクションについてお話しします。

 

リフレクションとは、ふりかえりのことです。

 

ですが、今までキチンとリフレクションを
していないと思います。

 

キチンとリフレクションをすれば、
その学習効果は高いものになります。

 

反省とは異なるリフレクション。

 

そのコツについてお話ししていきましょう。

 

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

残念ながら、チーム会社は、
研修をするお金がない
研修をする時間がない
という理由で、研修という形での
人材育成はできません。

 

なので、社長自らが人材育成をするのです。

 

ただ、学校教育では教え方を学びません。
今までは人材育成の基礎や基本を
話してきました。

 

人材育成の基本的な3つの流れ
1.現在の社員を良く観察する
2.将来の会社をどうするのか考える
3.今の社員をどう成長させるのか考える

 

人材育成の基本(教える内容で分類)
1.技術や知識(座学やマニュアルを使う)
2.仕事をするスキル(面談を中心に)
3.人との関係性構築(エンパシースキルを磨く)

 

人材育成の基礎として、
教える側(社長)と教えられる側(社員)との間に
「信頼関係」が必要

 

詳細は、ブログカテゴリ「211_チーム会社の人材育成」
からどうぞ。

ugrade.hatenadiary.jp

リフレクションとは

リフレクションとはふりかえりのことだと
先ほどお話ししました。

 

私がふりかえりという言葉を使わず、
あえてリフレクションという言葉を使うのか、
というと、
ふりかえりという言葉を強く誤解していたからです。

 

昔、良く言われたのが、
「反省しろ」
という言葉でした。

 

反省するということは、
どちらかというとネガティブなイメージがあります。

 

今までやってきたことは間違っていたので、
それを反復して省み、
心持ちを変える、やり方を変える、
といった何らかの変化を求めるものです。

 

今までやってきたことの
全否定まではいかないものの、
「否定する」イメージが強く残っています。

 

確かに改善をするためには
今までやってきたことはダメ、
とした方が良いでしょう。

 

ですが、すべてダメなのか、
と言えばそうではないはずです。

 

良いところも必ずあります。

 

私の中でふりかえりという言葉には
反省という意味が深く印象に残っていたので、
あえてリフレクションという言葉を使う
ようにしています。

 

もし、ふりかえりに、そこまで
ネガティブイメージがない方は、
リフレクションをふりかえりに読み替えて
いただいても構いません。

f:id:ugrade:20201014152407j:plain

ふりかえる猫…

リフレクションの基本的なやり方

リフレクションは、
自分の今までの行動を振り返って
良かった点と悪かった点を取り上げる、
というのが基本的なやり方です。

 

ところが、
取り上げて終わり、
だけでは本当の意味のリフレクションでは
ありません。

 

良かった点は、
どのように良かったのか、
ということを追及する必要があります。

 

今までできなかったのに、
できるようになった、
というだけではダメなのです。

 

何故できるようになったのか、
どのように変化させたらできるようになったのか、
ということを考える必要があります。

 

リフレクションが慣れていない社員であれば、
そこまで一人で考えるのが難しいので、
社長がそこを支援します。

 

社長自身が社員から話から、
できるようになったコツが理解できるまで
聴きだすことです。

 

何となくできるようになった、
という感触であれば、
その技術の再現性はありません。

 

偶然にできたモノやコトでは
仕事になりません。

 

どのように工夫をしたからできた、
という話を聴く、ということです。

 

もし、そのあたりの知識が乏しく
表現できないようであれば、
知識を伝授する機会です。

 

○○の理屈から××ができるんだ、
といった知識を身につけさせるのです。

 

社員も一度できているだけに、
理解度がグンと進みます。

 

また、社員が工夫した点が偶然にも
改善へとつながる可能性もあります。

 

社員が一生懸命考えた末の工夫が
とても役に立つものであれば、
その工夫を全社に渡って利用する方が
大変効果的です。

 

良い点を分析することは、
社員自身の知識を深めるとともに
改善に大いに役立つのです。

 

悪かった点、
できなかった点を聴く際は、
叱ったり怒ったりせずに、
順を追って、プロセスを確認します。

 

どこかでやり方が間違っていたのではないか、
考え方が間違っていないのではないか、
とチェックするわけです。

 

そうすることで、
できなかった理由がハッキリします。

f:id:ugrade:20180125104032j:plain

間違った!


できなかった理由が
知識不足であれば、
知識を補います。

 

最初に同じ知識を伝えたのかもしれませんが、
失敗した後の方が理解度が良くなります。

 

知識は十分に身についていたのであれば、
単なる技術不足です。

 

できない技術を繰り返し練習させるのです。

 

ここで、
努力不足や根性不足、
といった言葉でごまかさないことが
大変重要です。

 

良くできなかった理由で、
「努力が足りなかった」とか
「性格的に不向き」とかを
あげる方がいます。

 

努力が足りないのであれば、
今後、どのような努力をしていくのかを
明確にしておくことです。

 

「頑張る」という言葉が続いて出てきますが、
では、どのように頑張るのか・・・
という押し問答を続けるのです。

 

努力する、
頑張る、
といった言葉は、
やることが明確にわかってから
使う言葉です。

 

やることが明確になっていない時期に
ひたすら努力したり頑張ったりしても、
無駄、無意味の場合がたくさんあります。

 

ひたすら練習をする時間が
十分にあるのであれば良いのですが、
普通はあんまり時間がありません。

 

仕事をしなければお給料分の売上が上がりません。

 

練習している社員にお給料をあげるだけの
余力はチーム会社にはないはずです。

 

いつ、どのように練習をするのか、
練習する部分はどこなのか、
より具体的に、
今からすぐに行動に移せるくらい
話して決めておくことが肝要なのです。

リフレクションを通じての改善

そして、忘れてはならないのは、
「やり方の見直し」です。

 

できないのは、仕事のやり方そのものが
効率的ではない、わかりやすくない、
業務と関係ない技術が必要
(代表的な技術は社内政治力)
といった場合もあるからです。

 

技術を要する仕事ではないのに、
なかなかできない、という場合は、
やり方そのものを見直す必要があります。

 

これが「改善」につながるのです。

f:id:ugrade:20201014152850j:plain

改善でランクアップ


ですが、これ、なかなかの曲者です。

 

長年、このやり方で成功してきたのは、
他ならぬ社長自身です。

 

社長の成功体験が豊富であればあるほど、
そのやり方がおかしい、
と気づくのが、大変難しいのです。

 

これは、どんな人でも言えることです。

 

社長だから、というわけではありません。

 

経験豊富である、
ということ自体が、改善に気づかせない、
ということにつながるのは
どんな会社でも言えることなのです。

 

だからこそ、社員ができない、というのが、
社長自身のリフレクションのキッカケになります。

 

社員がどのようにやってもできない、
何度やってもできない、
技術も知識もある、
といった場合、やり方が悪い、
という可能性だってあるわけです。

 

だから、やり方を変える、
ということが必要になります。

 

社員と一緒にリフレクションをしていく利点は、
ここにあると言っても良いでしょう。

 

やり方も含めて、
社員とともに検討するのです。

 

それが改善につながっていきます。

 

最初は小さな改善かもしれません。

 

ですが、改善の成功体験は、
社員に大きな自信をつけさせ、
大きな改善へとつながっていきます。

 

それが元で、その社員は
あるある社員へと変貌を遂げるかもしれません。

 

それがチーム会社の危機を救うことに
なるかもしれません。

 

また、良かった点も改善へつながります。

 

社長一人では入手できる情報も限られていますが、
社員を含めて、もっと効率的にできる方法はないか、
と探っていけば、
きっとより良い改善へつながる情報が手に入ります。

リフレクションのタイミング

リフレクションは、
できれば何かをした、教えた、
そのすぐ後が効果的です。

 

特にコミュニケーションの場合は、
忘れてしまう可能性が高いので、
帰社したら、すぐに行う方が良いでしょう。

 

もし、できなかったことができるようになったら、
すぐに手放しで褒めます。

 

出来あがりが今一つでも、
何かができていたら、
そこをきちんと認めることが重要です。

 

そして、徐々にリフレクションまでの間隔を
開けていきます。

 

最初はものごとの直後だったものが、
一日の朝夕の2回、
一日一回、
三日に一回、
一週間に一回まで間隔をあけます。

 

成長度合いを見ながら、
開けていくので、
いきなり間隔をあけたり、
逆に狭めたりしてはいけません。

 

そして、できれば、
一週間に一回からはあけることが
ないようにしましょう。

 

社員数に応じて、
社長一人では厳しい場合は、
他の役員にも手伝ってもらいます。

 

一週間に一回というのは、
育成される側、つまり社員も
育成されている事項を忘れずにいるためにも
必要です。

 

これから人材育成をする、
と宣言しているはずですから、
間が二週間以上空いてしまうと、
社長に対する信頼感が損なわれてしまいます。

 

「また、言うばっかりで実行がない」
というレッテルを
社員から社長に貼られてしまうのです。

 

なので、全員が一週間に一回ペースであれば、
何曜日は誰誰の日、と決めておくか、
何曜日はリフレクションの日、と決めておくことを
おすすめします。

まとめ

今日は、リフレクションの力と題して
リフレクション、
つまり、ふりかえりのやり方について
お話ししてきました。

 

リフレクションは、人材育成に欠かせない
重要な教え方の技術です。

 

ですが、通り一遍のリフレクションであれば、
本当に効果は出ません。

 

リフレクションは、
良かった点、悪かった点を
洗い出すだけではありません。

 

良かった点はなぜ良かったのか、
どういった点が良かったのか、
なぜできるようになったのか、
等、分析します。

 

悪かった点もなぜ悪かったのか、
どういった点ができなかったのか、
どうやったらできるようになるのか、
等、分析が必要です。

 

そして、良かった点や悪かった点を元に
今後どのようにすればもっと良くなるのか、
どのようにすればで上手くできるのか、
といったことを考えていきます。

 

それが、社員の成長の糧となります。

 

また、それらリフレクションは、
会社の改善にもつなげていきます。

 

今まで社長だったらできていたものが
社員ではできない、というのであれば、
どう改善すれば社員もできるようになるのか、
と考えていくのです。

 

大した技術がなくてもできるというのであれば、
再現性(同じ品質の製品がいくつもできること)を
確保するために、「やり方」そのものを変える
改善が必要になります。

 

また、リフレクションのタイミングは
直後が最適です。

 

それから、できるようになってくると
徐々にリフレクションのタイミングの間隔を
開けていくのが良いです。

 

こういったことをお話ししてきました。

 

それでは、今日はこの辺で。