人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

不安な時代よ、さようなら

本日のブログのタイトルは、
35年前に書いたエッセイもどきのタイトルです。

 

どんな文章を書いたのかは、もうすっかり忘却の彼方ですが、
内容は覚えています。

 

ちょうど出産を控えた20代前半の頃で、
それまで自分が何者だったのかわからず不安だったけれど
出産後は子どもの母親であることは確かだから
私の中での不安な時代は終わる・・・

 

といった内容でした。

 

その当時、50歳代の方に読んでもらった時、
その方が言ったことも覚えています。

 

「不安はなくならないけどね」

 

今、振り返れば、まさしく「不安」はなくなってません。

 

確かに自分が何者になるのか、という不安は
半減どころか8割減になっています。

 

だって、今さら
月面や火星に降り立つことはないでしょうし、
コンサートで聴衆を前に歌を歌うこともないでしょう。

 

だから、何者になるのか、という不安は
若い人から比較するとあまりありません。

 

まあ、将来何者になるのか、という不安では
介護をどのように受けるようになるのか、
という不安が大きいですね(笑)

 

本日は、不安についてお話しします。

 

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1.不安な1月と2月

最近、私は「不安」という言葉を使いました。
今年(2021年)の1月のことです。

 

私はその時ある方の議員選挙の選挙事務所にいました。

 

2月下旬に行われる選挙を前に
準備に追われる日々でした。

 

その際、その立候補される方の前で
「不安」という言葉を使いました。

 

その方自身も初めて選挙への立候補したので、
相当に不安だったと思います。

 

ですが、私を含め事務所スタッフも選挙活動に
ガッツリ入ることは初めての経験だったので、
不安だらけでした。

 

私の不安は、はっきりしていました。

 

「これから選挙までの間、
何をどうすれば良いのかわからない」
という不安。

 

私自身、1月上旬に体調を崩したばかりだったので、
忙しくなることは想定できるが、
どれくらい忙しくなるのかが全く見通せないために
体調に大きな不安を抱えていました。

 

また、スタッフ全員も先が見えない不安に
押しつぶされてやる気がそがれていく
様子も見えてました。

 

ただ、候補者からの返答はありませんでした。

 

当然でしょう。
候補者にとっても初めての経験で、
わからないことばかりです。

 

これから○○をいつまでにどこまで仕上げる、
なんて具体的なことはわかっていません。

 

無言の候補者を前に、
この不安をどうにか自分で克服しないといけない、
と考えました。

 

そこで、まず、
わかっていることとわからないことを
区別することにしました。

 

さまざまな一覧表を作成し、
わかっていることは記入し、
わからないことは空欄にします。

 

それを貼りだしていきました。

 

そうすればスタッフが見て、
「ここは○○すれば良いんじゃない?」
と意見を述べてくれます。

 

それぞれの知識と経験からアイデアを生み出していくのです。

 

目の前にあるものがなくなると不安です。
ですから、在庫一覧表を作成します。

 

○○がない、と思っていても、
□□に△△個置いてある、とわかれば、
安心できます。

 

そのうち他のスタッフが様々なモノの置き場所を決めて
整理してくれました。

 

選挙では、決まった期日に決まったモノしか使えない
というルールがあります。

 

決まった期日以前で使えていたものが
その日以降では使えない、ということが発生するのです。

 

ですから、あまり在庫が余っても無駄です。

 

だからと言って不足すると困ります。

 

ちょうどよい「あんばい」、が非常に難しいのです。

 

また、選挙活動期間と呼ばれる、
いわゆる選挙カーが巡回する期間に
誰がどこにいるのかを一覧表にします。

 

選挙事務所は朝7時ぐらいから夜9時くらいまで
誰かがいます。
選挙活動が朝8時から夜8時までなので、
準備も含めるとそうなります。

 

そうすると、三食(軽食を含む)の準備も必要です。

 

誰がどこにいるのかがわかる一覧表は
事務所に何人いて、選挙カーに何人乗るのかの
人数が把握でき、食事の発注も便利です。

 

変更につぐ変更で一覧表のバージョンが上がっていきますが、
それでも一覧表がもとになっていれば
話し合いもスムーズになります。

 

近づいてくると事務量が倍増してきます。
誰もが目の前の作業に集中し始めます。

 

こうなると「不安」なんて言っておられません。

 

とにかく目の前の業務を片付けることが先決です。

 

私には大きく分けて2つの業務がありました。

 

1つの業務は一人でこなす必要があったため、
その業務量が倍増したことで、
当然もう一つの業務をする時間が足りなくなりました。

 

もう一つの業務は以前より別のメンバーがいたので
その方にお願いする形となりました。

 

そうしているうちに
一人でこなしていた業務のピークが去ったため、
私はほとんど手付かずのもう一つの業務を
行う時間が取れるようになりました。

 

ところが、そのお願いしていた方の行動に
疑問が湧いてきたのです。

 

その業務の打ち合わせに
候補はもちろん、私すら参加させてもらえないのです。

 

翌日の行動確認の打ち合わせです。
その時の時間は夜9時です。

 

もう打ち合わせする時間は取れません。

 

何となく嫌な予感がしたものの
片方の仕事を完了したばかりの私は
とりあえず他の作業をしていました。

 

翌日、やはり問題が起こりました。

 

候補からの指摘で、
行動計画に齟齬がある、ということでした。

 

もうグチャグチャだったようです。

 

仕事を頼んでいた方は所用で席を外されていたので、
きゅうきょ私が主導で打ち合わせを行いました。

 

そこで決まったこと。
「情報は更新情報も含めて共有すること」
でした。

 

当然のことだと思います。

 

それからは前日夜に行動の確認を行い、
それを候補にも連絡します。

 

次の日の朝、出発前にミーティングを行い、
すべての関係者にその日の行動確認をする
ということをしました。

 

それからは急激に選挙に関わっている方全員の
動きが良くなりました。

 

「今は選挙カーは○○あたりだよね」
という会話が事務所の中でもなされるようになり、
落ち着いた雰囲気となりました。

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2.不安というものは何か

「不安」という感情は、ある程度仕方がないものです。

 

人は「わからない」ものに対して不安を感じます。
特に漠然としたものが一番不安に感じます。

 

ちょうど今のコロナ禍がそうでしょう。

 

新型コロナウイルスに感染することによって
自分がどうなるかが良くわからない不安。

 

同じウイルスでもインフルエンザであれば
そこまで不安ではないはずです。

 

インフルエンザであれば、
病院から薬をもらいますし、
学校や会社は規則に従って休むことができます。

 

特に誰も何も言いません。

 

でも、新型コロナウイルス
感染することで自分の体への影響がわかりませんし、
世間からの風評被害にあうかもしれません。

 

わからないことが多すぎて
「不安」に思うのです。

 

これは前回もお話しした通り、
狩猟時代からの名残です。

 

茂みに猛獣が隠れていて襲われるかもしれない、
という不安と同じです。

 

だから不安を解消するためには
「理解すること」や「納得すること」が必要です。

 

1月、選挙事務所のスタッフが不安に感じていたこと。
「これから先どうなるんだろう」

 

漠然と感じていたために、
わからないことが余計にわからなく感じます。

 

だからこそ「わかる」ことと「わからない」ことを
キチンと分けることが重要なのです。

 

もちろん、未来のことは誰にもわかりません。

 

未来のことはわからないにしても
想定できることはあります。

 

これはこうなるだろうな、と思えることです。

 

例えば、今している仕事も3カ月後はこうなるよね、
と言えるでしょう。

 

今作っているものがあれば、
それが1カ月後の納期に間に合うと思えば
不安はないでしょう。

 

想定できるからです。

 

ですが、
3カ月後にどうなっているのかわからない、
とか
納期に間に合わない上に合わせる方法がわからない
とかなれば、不安で仕方ないでしょう。

 

インフルエンザが不安ではないのは
先が見通せるからです。

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3.不安を解消するためには

解消するためには
わからないことをキチンとわかること
です。

 

何がわからないのか、
漠然とわからない状態が一番不安です。

 

わからないことがハッキリすれば、
その対策を講じれば良いのですから。

 

わからないことをハッキリさせるには、
書き出してみることが重要です。

 

パソコンを使っても構いませんが、
できれば関係各位にパッと見せるには
紙に書いた方が良いことが多いでしょう。

 

私は私がわかる限りのいろいろな一覧表を作りましたが、
一覧表でなくても構いません。

 

ただ、表形式のものがわかりやすいと思います。

 

わからないところは空欄で構いません。

 

わかるところを埋めていけば良いのです。

 

私が作ったのは、
席次表だったり在庫一覧表だったり
よくある一覧表です。

 

見やすさは作った後から自然とわかりますので、
最初はとにかく作ることが肝要です。

 

わからないところが出てくれば、
それがどうやればわかるのかを考えます。

 

それが不安解消の解決法となるわけです。

 

ただ、ここで問題が一つあります。

 

実は一発で全員の不安解消になるわけではない、
ということです。

 

というのはどういうことでしょうか。

 

先ほど私は、
「だから不安を解消するためには
「理解すること」や「納得すること」が必要です。」
と申しました。

 

この「納得すること」が人によって
レベルがバラバラであることが問題なのです。

 

理解することは、ある程度力を尽くせば
誰でも理解することができます。

 

ところが「納得する」ことは、
人によって基準が異なるのです。

 

この納得するのは、
どこまでわかれば不安が解消するか、
という基準でもあるのです。

 

例えば、狩猟時代を考えます。

 

茂みに猛獣が隠れているかもしれないから
不安である、という状況を考えます。

 

不安なので、そこに猛獣がいないことを
確認すれば良いわけです。

 

長い棒で茂みを突っつくなど
猛獣がいないことを確認しても良いでしょう。

 

最初は不安に思っていた人も安心するでしょう。

 

でも、中には確認した後に猛獣が来たかもしれない、
と不安を訴える人がいます。

 

棒は猛獣まで届かず、その先の茂みに猛獣が
いるかもしれない、と不安を訴える人もいます。

 

ちょうど前回お話ししたように
「コップに水が半分もある」
「コップに水が半分しかない」
という物事のとらえ方の違いです。

 

コップに水が半分しかない、というとらえると
納得できず、不安は解消されません。

 

特に命に関わることや社会性に関わることは
「納得する」レベルが下がる人が、
つまり悲観的になる人が多くなります。

 

また、同じ人であっても状況や経験で
レベルが変更される人もいます。

 

新型コロナウイルスに対して不安感があまりなかった人も
友人が感染して他の人から非難される場面を見た
などの経験から感染に対して非常に不安を感じるようになる
といったことも考えられます。

 

そういった人を納得させ安心させるには
どうすれば良いのでしょうか。

 

それは、その人との間に信頼関係を築くことです。

 

信頼関係がある人との間では
納得のレベルが上がります。
それは即ち不安のレベルが下がることです。

 

信頼する人から「大丈夫だから」と言われると
安心した経験があるかと思います。

 

あの人が言ってくれるから大丈夫かも、
と思わせられた経験もあるでしょう。

 

信頼関係がない状態で、いくら理解してもらっても
不安はなかなか解消しません。

 

信頼する人からの「大丈夫だから」の一言は
大変大きい存在なのです。

 

4.最後に

本日は、不安な時代よ、さようならと題して
お話ししてきました。

 

不安な時代なんてなくならないよ、
というのが結論なのですが、
まあ、若い時の失敗ということで
ここは笑って見過ごしてください。

 

未来は誰にもわかりません。

 

見通せないからこそ「不安」なのです。

 

不安を払拭するには「想定できる」ことが重要です。

 

でも、いつも想定できることばかりではありません。

 

ちょうど今コロナ禍で不安な時代を過ごしています。

 

想定できないことばかりです。

 

不安ならば、不安の対象をできる限り理解することです。
理解し納得することができれば
想定することができ、不安は解消されます。

 

ですが、どうしても納得できない時があります。

 

その時は、信頼のおける方から話をもらうこと。

 

そうすれば納得でき、不安が解消されます。

 

本日は、このようなことをお話ししました。

 

それでは、今日はこの辺で。