人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

社会人の学び方~アウトプットから学び方を考える~

人は生まれた時から
しばらく「学ぶ」だけの時期を過ごします。

 

「学び」を卒業するのは、学校を卒業する時、
言い換えれば社会人として生きていく時、
と思っている人が多くいます。

 

ですが、社会人になっても「学ぶ」ことは
ついてまわります。

 

仕事のやり方を覚えたり、必要な資格を取ったり
お客様への接し方を磨く必要があります。

 

だから「学ぶ」ことから卒業することは
ないのです。

 

本日は社会人の学び方、
アウトプットから学び方を考える
をテーマにお話しします。

 

1.一から学ぶ時間はありますか?

私は中学生くらいまで、
学校の授業を動画で記憶していました。

 

先生の話している内容を
先生の板書、動きや表情など
ちょうどテレビカメラで映しているように
記憶していたのです。

 

ですから、試験勉強は
かなり楽でした。

 

ですが、高校生になった頃から
授業が全く覚えられなくなりました。

 

高校生になれば学ぶ科目数も増え、
内容も本格化します。

 

また、1科目の量も格段にアップします。

 

授業をボンヤリ聞いただけでは
到底追い付けないのは当然です。

 

それからは暗記することを諦めました。

 

覚えられないし、
覚えたくないからです・・・(笑)

 

当然テストでは散々な結果となります。

 

覚えたくないと思っても
テストに合格しなければ
進級も進学もできません。

 

だから、覚え方に工夫をすることを
始めました。

 

そのあたりのことは、
以下にお話ししています。

ugrade.hatenadiary.jp

 

高校生の頃はまだうまく
情報整理ができていませんでしたが、
今ではずいぶんとできるようになり、
記憶することも楽になってきました。

 

ですが、たまに困ったことが起きます。

 

全く新しいことを始める際、
どこから学んで良いのかわからない
ということが起きます。

 

例えば、よくプログラミングを学びたい
という人に多いのですが、
入門書を買ってきて、
1ページ目から読み進むという学び方。

 

職業柄、このような方々とお話しする
機会が多かったのですが、
たいがいの方が途中で学びを諦めています。

 

理由は
・わからなくなった
・時間がなくなった
が大半を占めます。

 

このブログを読まれている方にも
身に覚えがあるのではないでしょうか。

 

私にも経験があります。

 

○○が学びたい、と思い、
その入門書を購入してきて
読み始めます。

 

ところが、数ページ進んだ頃、
急に難しくなったり、
読む時間がなくなったりして
途中のまま放り出してしまうのです。

 

いわゆる「積読」化ですね。

 

理由の一つ、「わからなくなった」
については、後日お話しします。

 

本日は理由のもう一つ、
「時間がなくなった」
についてお話ししましょう。

 

社会人はとにかく忙しいです。

 

少し仕事に余裕があっても
すぐに何らかのトラブルが発生し
(例えば一人退職したなど)
仕事の量が増えます。

 

そうなれば当然時間が足りなくなり、
学ぶ時間は真っ先になくなります。

 

基本的に仕事や
生きていくための食事や睡眠の
時間が優先度が高いのが普通です。

 

学ぶ時間の優先度は
学ばなくては仕事にならない
場合を除いて
通常は優先度が低くなります。

 

社会人が何かを学びたい、
と考えた時、
まず学ぶ時間が少ないことを
念頭に置くことが重要です。 

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いつも時間に追われる日々…

2.それを学んで何がしたいのですか?

時間が少ない状態で学ぶには
効率的に学ぶことが必要です。

 

効率化させるために
まずしなければならないのが、
「何のために学ぶのか」
ということを明確にすることです。

 

いわば学ぶ目的です。

 

中学生までは学ぶ目的を
明確にとらえている人は
ほとんどいないでしょう。

 

高校生でも普通科へ進学している
場合はあまり考えていないと思います。

 

ただ、若い人には
学ぶ時間がたくさんあります。

 

経験が少ない彼ら・彼女らには
たくさんのことを学んで
視野を広げ、
将来の道を決める必要があります。

 

ですが、時間のない社会人は
状況が異なります。

 

現在やっている仕事と大いに関係する場合は、
仕事中に学ぶことができます。

 

入ったばかりの新入社員が該当します。

 

ですが、入社して数年経てば、
学ぶ時間を勤務時間内に確保するのは
余程余裕がある企業でもない限り、
余程今までと異なる部署に異動しない限り、
できません。

 

だからこそ、必要なのが、
何のために学びたいのか、
という目的が明確であることです。

 

○○がしたいから学ぶ
という○○の部分が学ぶためには
大変重要なのです。

 

効率化するには
「取捨選択」が必要です。

 

この取捨選択する際の基準が
目的に沿っているか、そうでないか
となるのです。

 

そうでなければ、
すべてを理解し記憶するのは
無理があります。

 

例えば心理学を学びたい、
と思ったとします。

 

心理学と書かれた本を買ってきて読んでも
わかったようなわからないような気分になり、
そのうち積読コーナーへ、
となってしまいます。

 

実際私も若い頃、
心理学コーナーで買った
「性格分類学」の本を
何とか読み終えました。

 

太っている人は明朗快活、
といった内容が書かれてあり、
読みながら噓っぽいなぁ、
と思ったことだけが記憶に
残っています(苦笑)。

 

そうではなく、
何のために心理学を学びたいのか、
ということを明確にするのです。

 

営業で赴く顧客の心理が掴みたい、
購買意欲を高める心理的アプローチが
知りたい、
と目的が明確であれば、
それらを解説した本があります。

 

行動経済学」と呼ばれる
心理学と経済学を融合させた学問も
今では存在しています。

 

社会人は心理学者になりたいわけではなく、
自分が困っている課題を解決するために
知識を得たいと思っているので、
学ぶ目的に沿った学習内容を決める
必要があるのです。

 

そして、今では検索をかけて
情報を収集することができます。

 

概略だけであれば、
ネット上の記事でも十分に通用します。

 

ただ、もう少し深く知りたい、
学びたいと思うのであれば、
やはり専門的な本や論文を
ひも解く必要があるでしょう。

 

専門的な本を購入したら、
1ページ目から目を通すことも
重要です。

 

その前に、
目次のページを見てください。

 

既に学びたい内容の概略が
わかっているのであれば、
目次のページから必要な箇所だけを
抜き出して読むことで
目的を十分に果たすでしょう。

 

本はすべて読まれることを望んでません。

 

得たい知識の部分だけ読んだとしても
十分なのです。

 

ですが、目的の部分だけ読んでも
意味が分からない、
といったことも十分起こり得ます。

 

その時は、何が分かれば目的の部分の
理解が得られるのか、
という観点で目次のページをもう一度見ます。

 

不足している知識を補う場合は、
目次から必要な部分を拾うだけで
十分な学びになります。

 

ただ、どこから手を付けたら良いか
わからない場合は、
最初のページから読む必要があります。

 

その場合でも常に目的を頭の中において
目的に沿っているのかどうかを
チェックしながら読むことを
おすすめします。

 

どうしても最初から読むと
途中わからない部分が出てきた時
そこで止まってしまうことがあります。

 

目的を持って読んでいれば
止まってしまわずに先へと
進むことができます。

 

わからないところは必要が出てきた時
理解すれば良いのです。

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今はわからないけど、そのうちわかるさ

3.アウトプットから学び方を考える

学ぶこと自体を趣味としており
時間がたくさんある場合は、
一からゆっくりと学べば良いのです。

 

ですが、どうしても時間に
追われている場合は、
学ぶことが後回しになってしまいます。

 

そんな時こそ、
目的を明確に持って、
その目的に沿うか沿わないか
判断しながら学んでいく、
というのが効率的です。

 

ただ、学ぶということは
知識を得るだけではありません。

 

得た知識を自分で使えることが
重要です。

 

自分で使うためには、
知識、つまり情報を整理する
必要があります。

 

情報整理の方法については
先日お話ししましたので、
ここでは省略します。

 

情報を整理する際の「視点」は
とても重要なので、
ここでお話しします。

 

重要なのは、
仕事に活かすように
情報を整理することです。

 

仕事はアウトプットです。

 

仕事をすることで
製品ができたり
サービスが提供できたりします。

 

だから、
仕事はアウトプットなのです。

 

アウトプットするために
必要な情報を整理し
知識として蓄えることが
社会人としての学びと言えます。

 

その整理をする時に
アウトプットを意識することです。

 

例えば、
私が人の学び方について話す、
と思った時、
人の記憶の原理について学ぶ、
というようなことです。

 

人間の記憶の原理は様々な観点から
論文や専門書が出ていますが、
全部を目を通し、
理解するのは無理です。

 

また、私が知りたいと思う内容
そのものを端的に表した専門書は
ありません。

 

人それぞれが自分の興味を
研究し記述しているからです。

 

他人が全く同じものに対して
同じように興味を持つことは
あまり考えられません。

 

だったら、必要と思われる箇所を
ピックアップする、
そのピックアップの基準は
アウトプットに合わせる、
ということが重要なのです。

 

ちなみに記憶力が落ちる
40歳以上でも、
それまでの経験と関連付けて
記憶すると覚えられる、
とのことです。

 

このようなことをお話しするために
学ぶ、ということです。

 

学生時代は、人から学べ、
といわれたものを学び、
それを記憶しなければ
先へと進めません。

 

ですが、社会人には
落第も不合格もありません。

 

自分が学びたい、
より良いアウトプットするために
学びたいと思うのであれば、
自分中心に学べば良いのです。

 

ですが、外から得た情報を
自分中心に捻じ曲げては
いけません。

 

カラスが黒であるのに、
白い方がキレイと勝手に
情報を変えてしまうことは
学ぶことではありません。

 

ただ、カラスの生態を知って
ゴミ捨て場の対策を講じたい、
というのであれば、
カラスは黒だけではない、
ということも知り得るでしょう。

 

ひとつだけ注意点があります。

 

アウトプット中心に学んでいくと
個別の知識が蓄積します。

 

この場合は○○
あの場合は××、
といった風にです。

 

整理ができて
覚えられれば良いのですが、
だんだん混乱してきた時は
キチンと時間を取って
全体を整理することを
おすすめします。

 

整理すれば
情報同士の関連性、
欠けている情報などがわかり、
より深く学べるようになります。

 

ある程度の情報を持っているので、
わからないところがわからない、
どこから手をつけて良いか
わからない、などといった
混乱した状態では
既にないはずです。

 

最初の段階からは数段上にいる
自分に気づくと思います。

 

そして更に深く学ぶ道が開ける
と思います。

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100点を取ることが目的じゃない

本日は、
社会人の学び方
~アウトプットから学びを考える~
ということでお話ししてきました。

 

学校での学び方ではなく
もっと自由に自分なりの
学びをしてほしいと
考えています。

 

それでは、今日はこの辺で。