人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

社会人の学び方~わからなくなった時~

ここのところ社会人の学び方で
シリーズができそうな勢いですね(笑)

 

前回の記事で、
学び始めた後に学びを放棄してしまう
理由として2つ挙げました。

  • わからなくなった
  • 時間がなくなった

前回は「時間がなくなった」ことについて
お話ししましたので、
今回は「わからなくなった」について
お話しします。

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なぜお腹がすくんだろう・・・わからない

1.入門書の仕組み

私が研修をする際、
その研修で使用するテキストそのものも
書くことが多いので、
一般書店で売られている書籍を参考として
目を通すことを多くやっております。

 

この場合は、学ぶというより
学ばせ方を学ぶ、
話題の運び方を学ぶという視点で
書籍を眺めています。

 

そこでわかったのは、
書籍が目指すゴールと
学ばせたい内容とのギャップが大きい場合は
突然「難しい内容」へと飛躍する
ということです。

 

技術を学んで仕事に活かす、
といった内容の入門書は
最初は本当に簡単なところから入ります。

 

具体的に話すために
プログラミング言語の書籍を
例にします。

 

最初は言語についての概略や
プログラミング言語を入力するために
必要なソフトや動かすためのソフトを紹介し、
その導入方法や各種設定方法です。

 

この場合は画面ショットなどが多用され
本当にわかりやすく作られています。

 

そして次の章は実際に
言語を書くことに入ります。

 

プログラミング言語習得時のお決まり
「Hellow World」
を表示させることとなります。

 

そこまでは余程のことがない限り
たどり着きます。

 

ですが、その後からは
難しい言葉が連続して登場します。

 

プログラミングするために
必要な知識を提供するために
難しい言葉の概念が語られるのです。

 

語り方は各書籍でたいへんな工夫が
なされています。

 

この工夫された説明を
すぐに理解できれば
次のステップへ行けます。

 

ところが、ここでつまづく人が
多いのも確かです。

 

プログラミング言語習得でなくても
何かを学ぶ時の関門です。

 

「何を言っているのか、わからない」状態。

 

先に、こうなった時の
解決策をお伝えします。

 

「他の本を選択する」
ということです。

 

どの書籍も初心者向けとなっているので
本当に初心者でもわかるように
解説がなされています。

 

ですが、その解説がピンとこない
という方は多くいます。

 

その場合は、
他の人が書いた解説を読むことです。

 

もし、動画などで学習しているのであれば、
他の人の動画を見てみる、
ということです。

 

腑に落ちる説明をしている人に
めぐり合うまで
探し続けることなのです。

 

個別で教授されている場合は、
質問を繰り返し、
教えている方も言葉を替えて
何度も説明しているはずです。

 

そうしているうちに
理解が進む、という経験があるでしょう。

 

それと同じです。

 

2.わからなくなった理由は足場がないため

では、なぜわからなくなったのでしょうか。

 

内容が難しいからではありません。

 

どんな方であっても、
ある程度の理解力がある方であれば、
何度も繰り返すことで理解します。

 

理由は、
「新しい概念に遭遇したため」です。

 

言い換えるならば、
今まで経験したことがない考え方に
接することになったため、です。

 

プログラミング言語で言えば、
コンピューターという頑固者に
仕事をさせるために、
コンピューターの考え方を
理解しなければなりません。

 

人間は、
コンピューター寄りになって
コンピューターが動けるように
してあげなくてはならないのです。

 

そのために、
コンピューターの考え方を理解する
必要があります。

 

それが今まで経験したことがない
考え方となるのは当然です。

 

そして、その考え方を理解するために
プログラミング以外の知識も
必要になってきます。

 

初めて学ぶ人には
その知識の量がない、
もしくは限りなく少ない、
という状態です。

 

知識は基本的にピラミッドの石です。

 

一つひとつが組み上げられて
ひとつの形になります。

 

新しい考え方のところで戸惑うのは
ピラミッドの形が
できていないことが原因なのです。

 

基盤の部分が細い状態で
上に石を積みあげることは
できません。

 

なので、
わからない状態になったら
基盤部分の知識を確保することです。

 

他の人が書いた本や動画を探すのは
基盤部分の知識を補うためです。

 

それで、
すべての知識を手に入れることは
できないでしょうけれど、
次のステップへ進むことは
できるようになります。

 

3.一から学ぶ? 途中から学ぶ?

ただ、そうは言っても
急ぎ習得しなければならない、
そんな悠長な時間はない、
ということもあります。

 

そういう時は、
入門書の最後の課題に
挑戦することです。

 

入門書の最初の道具(ソフト)の説明は
必要ですから、
そこは飛ばさないでください。

 

ですが、道具の説明を
あらかた理解したら、
一番最後の課題に取り組むのです。

 

時間があれば、
理解して先へ進む、
ということを繰り返せば
できるようになります。

 

時間がなければ、
一番最初の部分から次には
一番最後の部分へと飛ぶのです。

 

当然、わからないことだらけです。

 

もし、わからない言葉に出会ったら
その言葉が説明されているページへ
戻ります。

 

その時に注意しておくことがあります。

 

「なぜ、そうなるの?」
と考えないことです。

 

「これはそういうものだ」
ということで、
受け入れることです。

 

ここは、伝統芸能を学ぶ際の
守破離」の中の
「守」の部分です。

 

理屈云々よりも
まず真似ることが重要な時です。

 

「これはそういうものだ」
と言うと、
反発する人がいますが、
学んでいる最中であることを
忘れないでください。

 

そうやって最後の課題を取り組むと
何とか形になったり、
ならなかったりします。

 

できる、できないは
今は別の話です。

 

それより、技術を学ぶのですから、
「やってみる」ことが重要なのです。

 

できた方は次のステップへ進むと
良いでしょう。

 

できなかった方でも、
入門書の1ページを開いた時より
学習の結果は出ていると思います。

 

大まかな全体像が見えてきた、
何となくわかったような気がする、
ふーん、こんなものか、
といった感想が出てくれば、
「学び」は大成功です。

 

支離滅裂で
何がなんだかわからない、
グチャグチャで整理がついてない、
さっぱりだった、
という感想が出てきた方は、
「振り返り」をしてみましょう。

 

  1. どの部分が特にわからなかったですか。
  2. 他の部分はどのどの程度わかりましたか。
  3. 次はどの部分を学ぶとわかりそうですか。

上記3つの質問に順番に答えてみてください。

 

そうすれば、
最初に入門書を開いた時より
ほんの少しでも進めていることが
わかるでしょう。

 

4.押さえておくべきことは何か

新しいことを学んでいるのですから
わからなくなることは当然です。

 

独学の場合は、
それをどのように克服するのか、
ということです。

 

私は、学ぶことは
新しい知識という石を一つずつ
組み上げて
ピラミッドを作ることだと
考えています。

 

学校で学んでいる時は、
文科省なり学校の先生なりが
ピラミッドの積み方を考えて
いました。

 

ですが、社会人が学ぶ際は、
ピラミッドの積み方を自分で
考えなければなりません。

 

だからこそ、
学ぶ際に常に意識しておくことは、
現在得ようとしている知識は
ピラミッドのどの部分に
はまっていくのか、
ということです。

 

ピラミッドではなく、
ジグソーパズルでも構いません。

 

もしくは、
家周辺からだんだん広げていく
地図という感覚でも良いです。

 

実は知識には
単発でそれだけで独立している
ものはありません。

 

たいがい、どれかに関連しています。

 

だからこそ、他の知識との
関連性も併せて
考えておくことも必要です。

 

関連性をも表現する意味で、
ピラミッドのこの部分の知識、
というように認識するように
しておくことが
学ぶ際の押さえておくべきことです。

 

隣の知識と関連するように
知識という石を積むのです。

 

そうしていけば、
欠けている部分が見えてきます。

 

欠けた部分を補う学びをしていけば
徐々に全体像がハッキリとし
その技術に伴う知識群が完成します。

 

本日は、学んでいる最中に
わからなくなった時、
どうするのか、について
お話ししてきました。

 

独学で学んでいる時に
「わからない」というのは
本当に一大事です。

 

誰にどう聞けば良いかわからず、
自分の無能さにイラ立つ。

 

何がなんだかわからなくなって
モヤモヤして不安になる。

 

わからないから
やる気もなくなる。

 

そういった事態に陥ってしまいます。

 

そんな時、どうすれば良いのか、
についてお話ししてきました。

 

学ぶことは大切です。

 

新しいことを学んでいるのだから
わからなくて当然、
と思いながら、
是非とも知識のピラミッドを
完成させるべく
学びを続けていきましょう。

 

それでは、今日はこの辺で。