人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

見えない「はてな」が見える

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

見えないはずのものが見える・・・いやー怖いですねぇ。日常生活でそんなものがあったら、「ごめんなさい、無理です」よね。今日はそんな話ではないのですが、不思議な話をします。

 

研修講師をしていて、あるいは、講師の方の話を聞いていて、いつも不思議に思うことがあります。それは、受講者の頭の上に「はてなマーク」が浮かんでいるのが見えるということです。良くマンガで、キャラクターの上にはてなマークが描かれていますよね。あんな感じです。

 

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当然、現実に見えるわけではありません。

 

ただ、数十人から100人程度の受講者がいても、頭の上に、「はてなマーク」が浮かんでいるのが「見える」というより「感じる」のです。今、話した内容を理解していないな、ということがすぐにわかるのです。

 

現実的な話をすれば、受講者が「(。´・ω・)ん?」という表情になるのです。大人になればなるほど一瞬ですし、女性より男性の方が更に一瞬です。小学生だと「何、それ?」と声に出してくれる子がいます。低学年になればなるほど、大きな声でたくさんの児童が言ってくれます。でも、大人の男性が声を出して言ってくれることはまずありません。

 

この一瞬の表情の変化に気づく研修講師の方は、プロだと私は思っています。

 

実は表情だけでなく、頭も実際に動きます。人はわからないことがあると、ちょっとだけ首を傾げるのです。大人になればなるほど傾げる度合は小さくなります。ほんのちょっとがほんの一瞬だけ。でも、頭の動きは後ろからでもはっきりわかります。

 

何十人もの講師の方とお会いしていますが、この変化に気づく人は意外と少ないのです。見落としてしまうのです。

 

後ろから聴講していて、受講者の一瞬の頭の動きで「あ、今、はてなマークが浮かんだ」と思うのに、そのまま講師の方が話を進めていってしまうことはたくさんあります。

 

それに気づいて、サッとフォローできる人が当然います。人材育成系であれば、ワークに入る直前、IT系であれば難しい概念を説明した直後。戸惑う人が一番多く出てくるところです。

 

会社の研修担当者の方は、ぜひ、ここで、その講師の力量を見極めて欲しいと思います。

 

ワークに入った時、「何をするの?」と隣の人に聞く人が必ずいます。そんな人の数です。受講者全員が等しく講師の話を理解することはありません。プロの講師であれば、そのことは理解しており、ワークをする際は必ず何をするのかをかなり繰り返し説明します。すると、ワーク開始直後に隣とヒソヒソ話をする人がほとんどいなくなるのです。

 

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何をするの?  ここをこうするんだって・・・こんな会話、ありですか?

 

私は、たまに、このはてなマークを逆手に取ることがあります。特に聞いて欲しいことがある時に使います。

 

つまり、突然、難しいこと、あるいは、一回聞いたくらいでは理解できないようなことを大きな声で言うのです。

 

大きな声で言うので、それは大事なことだと受講者は理解しますが、言っている意味がわかりません。全員に「はてなマーク」が飛び出てきます。そのはてなマークを出す、という時は、受講者は聞く態勢に入ります。だって、わからないことですもん、知りたくなっています。それを利用して、重要なことの説明をしていくのです。

 

結構、テクニカルな話ですが、これを使うことで、最大重要な事項を理解していただけることができます。

 

このテクニックは、毎回は利用できませんが、たまに使うと効果てきめんです。

 

ただ、2時間くらいまでのセミナーや講習会では効果がありますが、学校の授業だとなかなか使うタイミングが難しくなります。話す項目が多くなるので、どれに使うのか、授業時間の中のいつ使うのか、毎回、悩みどころになるのです。

 

受講者の属性(年齢や性別、経験、職業など)が全くバラバラの場合も、難しいです。その場合は、一番下の方々にあわせる方が無難です。

 

以前、小学生とその保護者向けに話をした時は、小学生にピントを合わせます。ただ、ITの話だと、保護者の方が知らないことが多く、保護者からはてなマークがいっぱい出て、困った経験もあります。その時は「小学生のみんな、お父さん、お母さんに説明してあげて!」と言って、子ども達がYouTubeのヒカキンの説明をしてくれ、急場をしのいだ経験があります(汗)。

 

今日は講師のテクニック「はてなマーク」についてお話しましたけれど、これは一般の会社内でも使えるテクニックだと思っています。部長さんや課長さんが部下に指示を出す時、部下の頭の上に「はてなマーク」が出ていませんか?ということです。ぜひ、このマークに気づくようになって欲しいなぁ、と思います。

 

明日は、「専門用語」の取り扱いについてお話します。

それでは、また明日。

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研修講師の役割とは

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

実は、本日から一週間、夏休みです。

 

会社に勤務しているわけではないので、社内規程で決めたわけでも何でもないのですが、あくせく働いた自分へのご褒美も込めて、一週間、夏休みを取ることにしました。ただ、夏休みと言っても通常の業務(打ち合わせとか研修とか)をしないだけで、仕事はします。いわゆる「緊急ではないけれど重要なこと」ですね。

 

「緊急ではないけれど重要なこと」については、以下の本に書かれています。

 

そのうち私なりに解釈した内容をお話したいと思っています。

 

夏休みなので、このブログをどうするか、が問題でした。ただ、篠原丈司社会保険労務士さんのメルマガで(彼は土日祝日を含めた毎日メルマガを発行しています!)、

メールマガジンの配信を続けていると、完全にスイッチがオフにならないので、戻る時間も短くて済みます。

www.happy-spiral.jp

  とあったので、私もブログを続けることにしました。その方がきっと良いと思ったからです。また、夏休みだから一週間休もうと決めると、次の週がキツイだろうな、と想像できたので。。。

 

ところで、今週は研修についてお話をしたいと思います。主として研修講師についてです。

 

私はIT系講師を長年やってきました。そのほとんどが社内講師ではなく社外講師です。社内講師は14年のうち、3時間程度かな・・・(苦笑)

 

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つまり、ITの知識を伝授する研修を社外の人に売るという商売をしていたわけです。(今も「IT」という看板は下ろしましたが、研修を社外の人に売る商売をしているという点では同じです)

 

今のように私の商売は・・・とお話しすると結構「講師はされないんですか?」と聞かれます。正直、自分が講師をしないと喰っていけない、ということもあるので(本当は別の意味も含んでいますが、この理由が一番大きくわかりやすいかも)「私も講師していますよ」とお応えします。

 

この「講師」という言葉を聞いた時、相手の方の反応が2通りに分かれるような気がします。「ほお、すごいですねぇ」と心底驚かれている表情と、「講師をされているんですね」と冷めた表情です。前者の表情をされる方は、続いて「大勢の人の前でお話をされるんですよね。いやー、私にはできないなぁ。。」と言われます。後者の表情をされる方は「何を教えていらっしゃるんですか?」と聞かれます。

 

前者の場合は、論点が異なるので、またの機会にお話したいと思います。

 

後者の場合、私の心の中でいつも叫びます。「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」と(笑)。

 

私の場合は、講習の内容が結構多岐にわたっているので、説明がしづらいのです。喰っていくために今までのIT講師も続けていますし、新しい商売のために人材育成系の講師もしています。IT系といっても、これがまた幅広いし・・・(涙)

 

説明しながら感じるのは、研修を行うような(少し規模が大きい)会社の方々の「研修に対するちょっとした不満感」です。研修をしても変わらないしねぇ。。。というもの。

 

確かに。

 

一日数時間の研修で、人が180度変わるなんてことはあり得ません。研修後、数時間経てば元に戻ります。それが普通です。

 

では、なぜ研修をするのでしょうか?

 

今まで毎年研修をやってきたから・・・ということでしょうか。

 

だったら、研修結果も今まで通りですよね。

 

せっかく予算を使うのだから、研修をやることで何か変化をもたらしたい、と思うのであれば、もう一工夫必要なのではないでしょうか。

 

その工夫が思いつけば簡単だよ、という声が聞こえてきそうです。

 

思いつかないのは社内にいるからです。そんな時は社外の知恵を借りた方が解決します。

 

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社外の講師は知恵を持っています。ただ、ひとりの講師の知恵ではたかがしれています。なので、複数の講師の知恵を結集した方が良いと思っているのです。これが、私が考える人材育成における課題解決、つまりITの現場で良く使われる言葉「ソリューション」です。

 

そして、私が考えている仕事の一つです。

 

と、熱く語っても初対面の場では引かれるのが当然なので語ることはしません。ただ、今はうまく伝わる方法を考えている最中です。こんなことを考えるのが今週の夏休みの目的です(笑)。

 

明日は、研修を行っていて現れる不思議な現象について、お話します。夏だから少し怖い話でも・・・ウソですよ(笑)。

それでは、また明日。

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社歴より人脈が大事

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

あなたはその会社に何年お勤めですか?

 

通常、学校を出てすぐに新卒採用された後、定年退職まで40年程度。40年間もの間、同じ会社に勤めるというのはものすごいことだと思っています。人生80年なのに、その2分の1が同じ会社内での期間なのです。

 

IT企業の場合転職をする方が多いため、年齢と社歴は平行線ではありません。なので、年上でも社歴が浅い方がいらっしゃいます(社歴より職歴が優先されるのです)。ただ、社歴が浅くても長くても、あまり社内の人に関心を示さない人がいます。逆に去年入ってきたばかりなのに、社内に知り合いがたくさんいる人もいます。

 

あなたは、周りにいる社員以外の人を何人知っていますか?

 

同じ職場(部署)で働く人のことは当然知っていると思います。上司や部下、同僚・・・たくさんいるでしょう。では、違う部署の方は何人ご存知ですか?

 

経理や人事、総務などを担当する部署の方以外では何人ご存知でしょうか?

 

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「ウチの会社は小さな支店が全国に散らばっていて、支店ごとの交流もあまりないから・・・」

 

そういう理由でほとんど知らない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

確かに業務上、他部署と顔を合わせることがない、ということも考えられます。ですが、社内研修や社内イベントで顔をあわすことはあり得ます。出張で他の支店の人と一緒に仕事をする、ということもあるでしょう。他にプライベートの旅行で、ちょっと他支店に顔を出す、ということもないのでしょうか?

 

私は、同じ会社の中での人脈も大事にした方が良いと考えています。

 

別に社内に派閥を作れ、と言っているのではありません。顔見知り、ちょっとしたことを話せる知人、そういった方々を作っておくのは無駄ではないと思っているのです。だって、共通の話題は持っている間柄なのです。共通の話題、すなわち自分の会社という話題。社長のこと、○○部長のことを知らない間柄ではありません。

 

そういった人脈が必ず人生に必要になる、ということではないです。私のように会社を辞め独立する時に社内の人脈が役に立つか、と言われれば、直接的には立たないかもしれません。

 

ただ、社内にいる時、そういった人脈が役に立つということがあります。

 

社内に会社に関するあるウワサが持ち上がったとします。それも悪いウワサの時、つまり会社の運命に関わるようなウワサの時、社員としては何となくソワソワした感触に陥ります。中にとても心配症の社員がいればウワサが社内の雰囲気に悪影響を与えてしまうことだってあります。

 

ウワサはウワサ。というように割り切ってしまえるのであれば良いです。でも、落ち着かずに仕事も手につかない状況になってしまうと、仕事の効率も落ちてしまいます。それを元に戻すには、ウワサの真相をキチンとしたところから確かめるのが一番です。

 

キチンとした確認場所は社長です。社長に確認できるパイプを持っている人がいれば一番強みです。そうでなくても、ある程度の事実を知っていそうな人とのコネクションがあれば、その人に確認することができます。

 

できれば、この社内人脈は社内派閥がある場合、派閥外の人脈を持っておくことがお勧めです。派閥内だけの人脈での確認は、その派閥に都合が良いだけの情報しかない場合が多いためです。

 

つまり、何事も情報戦ということです。情報を持っている方が優位に立つのです。社内でも。そのためにも社内でも人脈を築くことが大事だと考えています。

 

社歴は長いんだけど、人脈は全く持っていない、という人は、まだその会社に在籍するつもりならば、少しだけ人脈ということも考えてみてはいかがでしょうか?

 

社歴より人脈が大事なのです。

 

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では、人脈を作るにはどうすれば良いのか。

 

社内イベントにできれば積極的に参加すること。社内研修などにも参加することです。全社的な集まりや創業記念のパーティなどは一番のチャンスです。

 

そういったことが苦手、そういった機会があまりない、という方であれば、職場内での飲み会の幹事もチャンスです。飲み会の幹事は若い人がやることに決まっていて、自分は当てはまらない、ということであれば、幹事のお手伝いでも良いと思います。

 

同じ部署内だけの人が集まるところしか行かないのではなく、違う部署の人が少しでも来そうなところに顔を出すこと。これが人脈を広げるチャンスなのです。

 

社内での人脈作りは、はっきり言って簡単です。先ほども言ったように共通話題があります。同じ社員同士という気楽さもあります。

 

 

まず安泰な会社であれば、悪いウワサも出ないし、問題はないと思う方もいらっしゃるでしょう。でも、社内で何か困った時があった時、この人脈がある・ないでは大きく違います。私もその人脈で助けられたことが何度あったか・・・

 

是非、社内での人脈作り、やっていただきたいなと思っています。いろいろなところで絶対に役に立ちます。

 

今週は年齢と社歴というテーマでお話をしてきました。来週は、もう少し本業に立ち戻って研修をすることについて、お話をしたいと思います。

それでは、また来週。 

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相手の年齢に関係なく腰が低い人

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

昨日、年下の上司、年上の部下について話をしました。

 

その時の疑問。年上の部下は年下の上司に対してどのような言葉遣いで話すのでしょうか?

 

私は、年下であっても上司・先輩だから、敬語を使っていました。最上級の敬語ではありませんでしたが、ですます調で話すことが多かったです。ちょっとしたことで立ち位置が変わることも多かったため、普通の社員に対しても敬語が基本でした。

 

20歳ほど年齢が下であり、社歴も下、技術も下の人にはさすがに敬語を使いませんでしたが。。。それは、先方が居心地悪そうにするからです。だから、社内でも言葉遣いは比較的丁寧にすることを心がけていました。

 

どんな人でも、相手に対して横柄な態度はやっぱり良くないと思っています。年下であろうと部下であろうと。。。

 

全然話は違いますが、昔、中途採用の面接官をしていた時の話です。

 

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ある中年男性の面接をすることになりました。面接官は私一人です。面接会場に入ると中年男性は自己アピールを始めました。提出された職務経歴書を見ながら、それを聞いていたのですが、どう考えても当時所属していた会社とスキルがマッチングしていませんでした。

 

それでも少しでもマッチングするところはないかと、質問を重ねたのですが、帰ってくる回答は残念なことばかり。つれない私の表情に業を煮やしたのか、相手がこう言ってきました。「あんたにゃわからんやろうけど、この技術はな、○○(すごい技術と力説)」

 

ん? 

 

技術がわからなかったら面接官にはなりませんよ。それに、私はあなたより年上だし、一応面接官なのでタメ口きかれる覚えはありません。。。(怒)

 

と、言いはしませんでしたが、後は聞く気にもならず、それからは話を軽く流して、丁重にお帰りいただきました。当然、不採用です。

 

その当時の会社は彼より若い人が多く、当然、彼の上司になるであろう人も年下です。私が女性だから、もしくは年下に見えたから、上から目線の話をし始めたのか、わかりませんが、とても社内でうまくやっていけるとは思いませんでした。

 

まあ、彼より年下と見られたということは、「若く」見られたということなので、その点だけはちょー嬉しかったですが。。。(笑)

 

こんな方は時々見かけます。相手によって態度が変わる人です。おそらく面接官が強面中年男性のその当時の上司だったら、きっとこういうリアクションはしなかったと思われます。また、見るからに西洋人だったら? 見た目が東南アジア系の顔立ちだったら? それぞれに違うのでしょう。

 

逆に相手がどんな人であれ腰が低い人がいます。若干丁寧すぎて居心地が悪い気がしなくもないですが、心地良い所作の方と接しているのはとても良い気分にさせられます。

 

私は、どんな方にも(例えすごく若い方であっても、初対面なら)できれば丁寧な言葉遣いで話したいと考えています。相手の年齢や性別で差をつけるのは変だと思います。

 

高校生は相手が先生でも敬語は使わないので、こちらも使いませんが(親しみを込めて話します)。

 

なので、ある意味、私がタメ口で話せる人はごく限られた人だけです。

 

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だからと言って、丁寧さで下心のカモフラージュはいけません!

 

こんなことも経験したことがあります。会った方々ことごとくに「あなたの年齢は?」と聞いてくる初老の女性がいました。自分の正確な年齢を覚えていなかった私は答えをごまかすと、かなりの激しい言葉で怒られました。

 

ただ、その女性の他の方への対応を見ていると、年齢を聞いて何をするのかと思えば、相手が自分より年下であれば尊大な態度、年上であれば腰を低くする・・・という感じだったのです。まるでサルのマウンティングみたい・・・と思ってしまいました(口に出したらまた怒られそうなので黙ってましたが(笑))

 

年齢は生きた人生の歩みを表しています。技術力や知識、能力は追い越すことができても年齢だけは絶対に追い越すことはできません。だからこそ、それにこだわる人もいるのでしょうけれど、もっと違う視点を持った方が人生楽しいのでは、と思う私です。

 

例えばとても若い人でも才能豊かな人に出会えば心底感動することもできます。

 

また、歳をとった方であっても、一から学ぼうとする姿にも感動することができます。

 

人は年齢分だけ人生を経験しているけれど、学びや仕事といったことに関しては年齢は関係ないのだと思います。

 

明日は社歴の長さについて、お話します。

それでは、また明日。

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IT企業に老人パワー炸裂?

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

今週は、年齢と社歴をテーマにして話をしています。昨日までは、年功序列について、結構シビアなお話をしてきました。今日は、年齢が若いけど上司、年齢が上だけど部下、についてお話をします。

 

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前の会社に入った時の直属の上司は、一回り年下。社歴は彼女の方が断然上なので、当然と言えば当然なのです。

 

さて、どうしたものか・・・ひとまず若い上司をサポートするにはどうすべきか、を真剣に考えました。職務上のいろいろな気づきは歳をとっている方があります。なので、その気づいたことをどう上司に伝えるのか、が、当時の私の一番の関心事でした。

 

相手のことを尊重しながら、こうした方がもっと良いのでは?と伝えるのは結構テクニックが入ります。その分だけ、提案力が身についたのだと私は密かに思ってます(笑)。

 

もっとも覚悟して入ったから、特に気にならなかったのですが・・・困ったことが一つありました。

 

若い人たちは元気なのです。こちらが疲れていても、夕方からワイワイ騒ぎ始め、私を巻き込もうとします。私の体力がついていけない、と言っても、なかなか理解してもらえませんでした。

 

これは、若い人は年配の体力について理解できないのは当然なので、仕方がないことなのですが、結構困った問題でしたねぇ。年配の体力を経験していないので、想像がつかないのが当たり前なのですが・・・

 

逆に年齢が上の部下も存在しました。IT企業では珍しいと思われるでしょうが、ある事業を立ち上げる時、求人に応募されてきた方々が何故かオーバー55歳ばかり。今の私だったら、ギリギリその中に入るかもしれませんが、当時、40代だった私にはちょっとわからない年代でもありました。

 

でも、私にとって、オーバー55歳のグループ内にいることはかなり落ち着く環境でした。彼らの仕事観は共感できることが多かったのです。

 

彼らの姿を見ていると、今の若い人にはないところがあります。

 

まず、出勤時間が早い(笑)

 

朝早く目が覚める、というのもあるのかもしれませんが、それにしても15分前には全員揃っていました。若い人だけのチームだと始業時間ギリギリ滑り込む社員が多数いる中で、異色のチームでした。

 

続いて、誰にでも挨拶する(笑)

 

当然のことなのですが、社内で誰かに会うと、きちんと頭を下げて挨拶をするのです。「ちーっす」と小さな声を口の中で言うだけの若い人と全然違います。

 

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その当時の社長にそのことを話すと笑い転げて、大絶賛でした。

 

40代を年齢ピラミッドの頂点とするIT系ベンチャー企業の中では本当に異色のチームなのです。ですが、通常の会社ではそれが普通であるはずなのです。社長は、そんな年齢違いの人材が常時いる方が社内に良い雰囲気が生まれると絶賛していたのです。

 

もちろん、できないことも多くありました。特にIT関連の知識。IT企業なので、関連の知識が欲しいところなのですが、基礎的な知識しかなく、入社後はトレーニングに時間をかけるしかありませんでした。でも、彼らはモチベーション高く、頑張ってくれていました(多少、ミスは多かったですが・・・笑)。

 

会社では定年退職があるので、一定の年齢になると退職します。年齢構成に偏りがあると、ある時、一斉に人がいなくなる、ということが起こりえるのです。だから、会社はどの年代もほぼ同じくらいの人数にしておく方が良いという考え方があります。

 

それでも中小企業や起業して十数年のベンチャー企業では、なかなか年齢構成がうまくいかないことが多いです。小規模のため毎年新卒採用が難しいのであれば、当初のメンバー構成のまま時が過ぎ、全員が50代、という事態にもなります。中途採用者はあまり年齢を選べません。

 

ハローワークの求人を出す際も、年齢を制限するにはちゃんとした理由が必要で、とにかく若い人が欲しい・・・じゃダメって言われます。社内の年齢構成の是正のためとかなんとか・・・詳細は以下に。

http://www.sorin-oita.or.jp/nenrei/

 

ということは、年上の部下、年下の上司って、たくさん事例があるんでしょうね。

 

年上とか年下とか関係ない、という人もいますけど、やっぱり年上は年上なりの経験値があるわけで、年下は年下なりの体力があるわけで。両方の良いとこどりができる関係を築くのが一番だと私は思っています。

 

年下の上司は年上の部下に気兼ねすることなくキチンと相対して、コミュニケーションを取って、経験値豊富なことを認めつつ、仕事をしてもらうようにすることが必要です。

 

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そして、年上の部下は・・・

 

「俺の方が年上だ!」という態度を取らないことが一番最初だと考えます。これがトラブルの一番根本にある感情なのです。

 

年上だけど、職歴や社歴は年下の上司の方が上。年上だけど、技術は年下の上司の方が上。そう考えて、冷静に自分の立場と職務を見つめ、必要なトレーニングや学習を続け、成長していくことが肝要だと思っています。50代や60代で今更トレーニングなんて・・・と思わずに・・・先日亡くなられた日野原重明さんを見習って、100歳まで現役でいるためには、日々の努力が肝心です。

 

 

やっぱり年上なのだから、部下の方がうまく上司をフォローすることは可能なはず。だからこそ、年上なのです。 頑張れ! 日本中の年上部下たち。

 

ということで、今日はこの辺で終わりにします。

それでは、また明日。

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年功序列は夢のまた夢

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

経営者にとって従業員の給与はいわゆる固定費です。コストです。売上がなくても支払わなければならないものです。しかも、現金で。

 

給与の支払い日はサラリーマンだったころはとても楽しい日でした。朝から何となくウキウキします。しかし、経営者になってからの給与支払い日は気持ちがブルーになります。今月支払っても来月支払えるんだろうか、給与を支払ったら他の請求に対して支払いができるんだろうか・・・という心配でいっぱいになるのです。

 

サラリーマンとして勤務し始めると、まず、その会社の仕事について習熟する必要があります。当然、最初はうまくいかないことが多いのですが、やがて数年経てば、仕事に対して慣れてきて、かなりのことができるようになります。

 

この期間、どれくらいでしょうか?

 

普通の企業であれば、数年、おそらく3年程度ではないかと思われます。3年もその職場にいれば、たいがいの仕事の流れと技術を覚えて、一通りのことはできるようになります。

 

その後、その会社のトップレベルになるには更に習熟期間が必要です。よほどの技術職であっても最大で10年くらいでしょうか? よく「○○3年、△△10年で一人前」みたいな言葉があります。芸術家でない限り一人前になる時期というのが必ず来ます。通常は、もっと短い期間だと思います。

 

習熟している間、従業員は自分の成長を感じます。もちろん、最初のころから比べるとグーンと大きく成長しているわけではありませんが、それでも年を経るごとにできることが増えていくので、成長を感じるのです。

 

成長を感じれば、それに応じて給与額も増額されると成長を認められた気になります。更に成長しようというモチベーションの原資になります。

 

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ただ、一人前になった後、成長はどうなるのでしょうか?

 

通常は、一人前になってからは後輩指導、部下管理、といった業務に入るので、初級管理職から上級管理職までランクの中に組み込まれます。ランクが上がるにつれ、部下の数も増加します。部下数の増加が目に見える成長であり、給与額が上がっていくのです。

 

でも、今お話した内容は、社員数が数千人いるような会社の場合です。例えば、従業員10名程度の会社だったら、まず習熟する期間が10年もかけていられません。どんなに長くても1年、性急な会社であれば半年程度で一人前になることが求められます。

 

単純に給与額でその理由を説明しましょう。

 

10名のうち1名がまだ稼げない半人前とします。10名全員の年収がそれぞれ500万円とした場合、会社全体の従業員のコストは、社会保険料等の会社負担金などを加えると最低でも7,000万円です。10名の従業員コストを賄うために残り9名の従業員が7,000万円分を稼ぐ必要があるのです。

 

その額、ひとりに付き777万円。売上高から仕入れ代金や土地代等の経費を差し引いた一年間の収益がこの金額になる必要があります。皆さん、いかがですか?

 

この場合、会社には設備が故障した修理代や新規事業のための研究費も出ないことになります。なので、通常はもっと稼ぐ必要があります。

 

10名の従業員全員が毎年給与額をアップしていくのであれば稼がなければならない額はどんどん上がっていきます。その前に会社は倒産してしまうでしょう。

 

こう考えれば、中小企業に年功序列はありえません。

 

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年功序列に代わって成果主義というものがアメリカから輸入されました。でも、この成果主義は失敗だったと新聞記事で目にします。

 

成果主義が失敗した原因の一つに年功序列があると思っています。

 

成果が上がれば給与は上がるが、成果が下がれば給与が下がる、というのが成果主義のはずです。

 

以前、成果主義を取り入れると宣言した会社の社長さんに聞いたことがあります。もし成果が下がったら給与はどうなるのですか?と。その時の答えが「下げません」。どうして?とお聞きすると、モチベーションが下がるから、辞めるかもしれないから・・・といった理由を言われていました。

 

おそらくその社長さんの考えを想像すると、次のようになると考えています。

 

「給与というのは年々上がるものだと従業員は思っている。だから、前の年より給与額が下がるのは従業員に失望感を与えるだけだ・・・失望感を与えたら、会社を辞めたくなるし、他の従業員にも悪い影響を与えるかもしれない・・・」 

 

でも、実際に成果主義のもと、給与が下がったという人の話も聞いたことがあります。その方は、成果を出せなかったのは自分の責任であり、給与が下がり役職が落ちるのは仕方がない、だからこそ、それからもっと頑張ったんだと言われました。結局その方は社長になりました。

 

給与額は、不当に低くもらうのは嫌ですし、高ければ高いほど嬉しいものです。でも、給与額が上がって嬉しいのは一時なのです。3カ月もすればその気持ちを忘れます。モチベーション維持とか退職防止とかは他の手法を使うべきであって、給与額でモチベーション操作をするのは間違っています。ましてや、年々給与額をアップするから辞めないでね、というのは、どう考えてもおかしいのです。

 

 

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ただ、既定の年数、その会社にいたから給与額を上げる、というのではないと思います。どういう成果を出したから、今回は給与額をこれだけ上げる、もしくは成果が出なかったから、今回は給与額をこれだけ下げる、ということを明確に提示し、お互いに納得できるコミュニケーションを図ることが大事だと私は思います。

 

明日は、私が体験した年齢が上の部下、年下の上司について、お話します。

それでは、また明日。

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昔、年功序列はあったのか?

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

それにしても先週の木曜日のセミナー後から金曜日の祝日の一日はのんびりとした休日を過ごしました。良いですねぇ、お休みというのは。。。

 

さて、今週は年齢と社歴についてお話しようと考えています。

 

年齢と社歴という話は想定通り「年功序列」に繋がります。年功序列は、会社に新卒で就職して定年退職するまでの間に、徐々に職責が増し、それに伴い給与も増していく制度です。日本独自の制度と良く言われます。

 

新卒で入社した時は給与が安くても、やがて給与額が上がるということなので、社員は安心して働くことができます。当然、長く働くことへのインセンティブになります。

 

私の父親はある企業のサラリーマンでした。それなりの規模の会社で、その中の一つの工場に勤務していました。工場は24時間365日稼働していたため、三交代のシフトの中に組まれており、夜勤もある勤務体制でした。

 

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父は戦前生まれであり小学校までしか出ていませんでした。それが会社で勤め人をしていることが彼なりの自慢であり、誇りでもありました。そして、よく自宅に会社の人が遊びに来ていました。父は大学卒の若い人たちを夕食に誘うのが大好きでした。

 

その頃、私たち家族は会社の社宅に住んでいました。社宅といっても当時たくさん建てられていた鉄筋コンクリート四階建てのアパートで、全部で9棟ありました。

 

私は9号棟に住んでいました。同級生で仲の良い友だちは皆4号棟より数字の大きな棟に住んでいました。毎日、社宅の中にある公園で暗くなるまで遊んでいたことを覚えています。

 

 小学校3年生ごろでした。同じクラスに同じ社宅に住んでいる子がいたのです。今まで顔をあわせたことがない子でした。おそらく転校生だったのでしょう。その子は私たちが話す方言ではなくNHKのアナウンサーのような綺麗な言葉をしゃべっていました。その子は1号棟に住んでました。

 

そこで初めて、1号棟から3号棟と4号棟以下の社宅で、明らかに何かが違うことに気づきました。1号棟から3号棟は、東京の本社から転勤してきた家族が住んでいるアパートです。そして、4号棟以下を見下ろす位置に建っていました。

 

会社の中でも大卒か高卒で、出世コースに乗った人は東京の本社に勤務し、たまに地方都市にある工場へ転勤して来ていました。そして、地元採用された中卒までの人はずっと工場勤務であり、シフトの中に組み込まれていたのです。

 

自宅に遊びに来ていた大卒の若い人たちが歳をとって、工場長となって帰ってきていることを私は数十年後に知ります。父が定年間近になっても絶対になれえなかった工場長の地位。その頃には年功序列という言葉を知っていましたが、父にはそれが当てはまることはなかったんだ、ということを知りました。

 

もちろん、入社当時から同じ給与額だったはずはありません。毎年それなりの昇給はあったと思われます。ですが、普通の生活レベル以上の額ではなかった、ということは昔の記憶をたどれば良くわかります。

 

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1号棟に住んでいた同級生は、上野動物園にパンダが来た時、見に連れて行ってもらった、と教室で話をしていました。パンダが好きだった私は、上野に連れて行ってもらえませんでした。ハッキリは言われませんでしたが、経済的に難しかったのだと子ども心に感じたものです。

 

私はそれが何だか悔しくて、それから数十年後自分で稼いだお金で東京へ行き、パンダを見てきました。最近はウチにいる猫がパンダカラーなので見に行かなくても良いかなと・・・(笑)

 

良く日本の会社は年功序列だと言われます。でも、それは一部の人だけの話なのです。父のような工場勤務は物価上昇に応じて給料は上がるけれど、それ以上にドンドン上がっていくことはありませんでした。職責が上がればその分給与額が上がるでしょう。ですが、学歴のない父が管理職になることはかなり難しかったと考えています。

 

年功序列になっていたのは一部のサラリーマンであり、小さな店舗や工場勤務の人たちにはほとんど関係はなかったのではないでしょうか。例え給与額が上がっても、暮らしが豊かになるほどのものではなかったということです。

 

また、最近の非正規社員の方は入社当時と給料が変わらないままになっていることが多いです。年齢が上がって、その分仕事に対する習熟度が上がり、成果を出せるようになった、というのであれば給与額は上がるでしょう。でも、定年退職までの40年近く成果を出し続けられる人はそうたくさんいません。普通の人は途中でどうやっても成果が上げられない時期に直面します。

 

また、日本全体の経済が右肩上がりではなくなっているために、作れば売れる、ということはありません。売れなくなる時が来る、という危機感は経営者に常にあります。

 

だけど、雇用者は簡単に解雇できません。給与という現金が毎月出ていくのに売上が上がらない、ということが起こりうるのです。

 

こんな時代に、ただ年齢が上がれば給与が上がる、ということは不可能ですよね。

 

ただ、雇用者の給与を上げたくない経営者もいない、と私は信じています。一緒に働く仲間なのだから、せめて生活に困らない程度+αくらいの給与を出してやりたいと思っている経営者は多くいます。でも、出せないのが現実なのです。

 

そのことについては、また明日お話したいと考えています。

それでは、また明日。 

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