人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

部下のやる気UPで収益UP

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

研修といった形態で、社外の人間が社内に入ることのメリットについて昨日はお話しました。今日は人材育成の中でも最大のメリットをお話します。

 

それは、社員のモチベーションについてです。

 

社員のモチベーションの源はどこにあると思われていますか? 給料? 福利厚生? 手厚い手当?

 

そういったものにはモチベーションの維持する役割はない、ということを以下の本には書かれています。

 

だったらどうすれば良いのでしょうか?

 

私は、上司が部下に対して育成し、目的を与えて、自律性を引き出すのが一番だと考えています。そうすることで、部下はモチベーション高く仕事に精を出すことができます。

 

上司は更にその上の上司に、その上の上司は・・・とどまるところ社長がすぐ下の部下のモチベーションを引き上げてあげることで、社内はうまくいくのです。

 

そんな簡単にいくわけがない・・・とお思いの社長。手法はいくつかあり、それを自分自身のものにすることで、できるようになります。社長自らを育成するのです。社長が変われば部下が変わります。部下が変われば会社が変わります。それも良い方向に。

 

社長は忙しくて、そんなことをしていられない・・・と思われるのであれば、とりあえず管理職を育成してみると良いでしょう。管理職研修でも部下のモチベーション管理という内容は入っていますが、部下の管理職の方のタイプに合わせて研修を組んだ方が効果的です。

 

では、モチベーション、つまりやる気はいつ、どのようにすればUPするのでしょうか?

 

他人のやる気を管理するのが世界一上手な人がいます。それは誰でしょうか?

 

それは、「赤ちゃん」です。

 

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赤ちゃんは自分では何もできません。食べることも動くこともできないのです。できることは、「泣く」ことのみ。泣いて他人に自分の感情を知らせます。そんな状況で、もし他人のやる気をそいだら、つまり世話をしたくなくなったら、自分の生命の危機です。だから、ひたすら自分の世話をする他人に対して訴えかけます。

 

どのように?

 

世界一の笑顔を見せて、相手の心をわしづかみにするのです。

 

赤ちゃんは親の気持ちをひきつけるために丸顔で生まれてきます。これは哺乳類の運命です。親に「かわいい!」と思わせて自分の世話をさせるのです。そして、赤ちゃんはかわいらしい仕草をして、更に親の心を魅了します。

 

生後すぐの赤ちゃんは自分の意志ではなくても笑います。この笑顔は医学的に検証されているようですが、私には親の気持ちをくすぐっているようにしか見えません。そうすることで、自分の世話をするように仕向けているのです。

 

親は、特に母親は、赤ちゃんのためなら何でもしたい、という気持ちになり、本当に世話に一生懸命になります。この母親たちのやる気の高さと言ったら!

 

赤ちゃんはお腹が空くと泣きだします。そこで母親はおっぱいをあげます。すると、泣き止んで機嫌よくなり、にこっと笑うのです。世界一の天使の笑顔です。まるで、「お母さん、ありがとう!」と言っているように。お母さんは、また頑張ろうという気になります。

 

会社の社長に赤ちゃん並みのかわいらしさがあったら、社員は奮発するのでしょうけれど、どうしてもそれは無理です。でも、社長にでもできる、いえ、社長だからこそできることがあります。それは、いつも頑張っている社員に「いつも頑張っているね。ありがとう、助かるよ」と心から言うことです。

 

赤ちゃんがにこっと笑ってお母さんの苦労を認めてあげたように、社長も社員の苦労を認めてあげるのです。

 

うちの社員なんか、何もできないのに、認められるかっ!

 

という社長さん。

 

だったら、一緒に働いてくれていることに感謝し、認めて、それからできないことを学ばせて成長してもらえば良いのです。「お前なんか何もできないから研修に行ってこいっ」ではなく、「一生懸命頑張っているな。ありがとう。でも、ここをもう少しできるようになるともっと仕事が楽になるだろう。研修で学んでこい」と言ってあげるのです。

 

社員はどんな気持ちになるでしょうか。

 

社長はずっと自分のことを考えてくれて嬉しい、と思うはずです。社長の言葉が赤ちゃんの笑顔になるのです。

 

そう考えた社員はやる気がアップします。社員のやる気がアップした会社は当然業績がアップします。業績がアップすれば収益もアップします。

 

研修にただ行かせるだけではなく、社長の一声があることで、社員のやる気も会社の収益がアップするのです。こんな方法で研修を利用するのはいかがでしょうか。

 

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夢物語のように感じられるかもしれません。でも、今まで通りで行き詰っているのであれば、ぜひ試してみても良いのではないでしょうか。

 

明日は人材育成をするメリットの最後です。人材育成には会社にとって更に大きなメリットがあることについて、お話しします。

それでは、また明日。

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社内のドロドロ人間関係が!

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

社員が退職する時の最大の理由は何だと思いますか?どこにも公開されていませんが、どう考えても人間関係が原因だと思われます。人間関係って難しいですよね。

 

私自身はあまりドロドロとした人間関係に巻き込まれた経験はないのですが、人生の2社目の会社で多少ありました(ちなみに一昨年退職した会社が人生3社目です)。

 

でも、私は社内の人間関係はあくまで社会人として冷静に対処するべきだと考えているので、制御しやすいと考えています。ただ、中には(特に小規模会社では)個人ベースの愛憎劇そのまま会社に持ち込んでくるパターンもあるでしょう。その場合、社内でうまく収めるのは難しいと考えています。

 

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というのは、社内の人間は何らかの複雑な人間関係に巻き込まれていますよね。だったら、解決するのは外部の人間しかいないと思いませんか?

 

外部の人間がやってきて大ナタをふるったら、社内の人間は必ず共同で(!)外部の人間と対抗します。良くドラマであるように「外部の人間にわかるわけがないっ!」ということで、社内の人間が結束するのです。

 

結束されれば外部の人間はサッと去るのです。一度共同戦線を張った間柄であったら、また元のようにギクシャクした関係には戻りにくくなります。それは、相手のことを知ってしまったから。人を嫌いになるのは、ほとんどがちょっとしたきっかけを元に自分の中の想像が膨らんで、感情的に嫌いになるケースが多いと思っています。

 

だから、なまじっか相手を知ってしまうと、想像部分が縮小し、感情が収まってくるのです。

 

相手がこんな人間で、こんな良いところもあるんだ、と知ってしまうと、人は嫌いになり切りません。こんな風にうまく行くことばかりではないでしょうけれど、社内の人間でどうにかならなくなったら、社外の人間を呼び込むことを一度考えてみるのです。

 

 

人は働く人生40年の間、約3分の1の時間を会社の中で過ごしています。これほどの長い時間を少しでも快適に過ごした方が良いですよね。

 

そのためにも外部の人間をうまく取り入れて欲しいと考えています。その外部の人間、例えばキャリア・コンサルタントなどです。研修講師でも良いでしょう。別にこの人たちが大ナタを振るうわけではありませんが、外部の人が入り社内の人と関わってくると、社内が少し変わるきっかけを生じさせるのです。

 

また、今は、研修内容の中に、コーチングや傾聴といった人間関係をスムーズにするようなトレーニングを取り入れているものも多くあります。「相手を認める」といったコミュニケーション術をワークに取り入れた研修もあります。こういった研修をうまく適宜取り入れることで、社内の雰囲気を変化させていくことができれば、生産効率もぐんとアップするでしょう。

 

外部講師が知らないことを良いことに、互いに反発しあう二人を傾聴するワークでペアに組ませるようなことをして、それぞれの話を一日聴き続けさせるのも、ケースバイケースですが、あり得るかもしれません。一種の賭けですが。。。(苦笑)

 

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研修は決して効果がない訳ではありません。使い方によっては効果ある結果を生み出せるのです。

 

人間の感情なので、こんな単純にはいかないかもしれません。ただ、きっかけには必ずなります。きっかけができれば、変わることが起こります。

 

社員が何かに気づいて変わっていくことが成長だとするのであれば、それが人材育成です。そうすることで、作業効率が上がり、生産性が上がると会社には良いことです。

 

更に、もっと良いことが起こる可能性があります。それは・・・長くなりそうなので、明日、お話します。

それでは、また明日。

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人を育てるマニュアル作り

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

昨日は会社で人材育成するメリットが感じられない理由についてお話しました。今日から4日間は、人材育成で受けられるメリットについてお話していきます。

 

まず、作業の効率化というメリットです。人材育成をする上でチェックシートやマニュアルを作成します。これらが作業の効率化というメリットを生み出すのです。

 

マニュアル化に適さない仕事もあるかもしれませんが、ひとまずその件については横に置いておきます。

 

できない人ができるようになるためにはチェックシートの作成がお勧めです。日常業務で単純なのだけど、よくミスをしてしまう・・・という人には絶好のツールです。自分でチェックをするためのチェックシートを作成するのです。

 

そして、最初は先輩と一緒にチェックシートにチェックしていきます。そうすることで、チェックしなければならないポイントも一緒に学べます。そのポイントをチェックシートに書き込むこともしていきます。そうすれば、今度次の人が作業担当になれば、その人にもチェックシートを使ってもらうことでミスが軽減されるのです。

 

マニュアルも大事です。

 

良く機械の操作方法のマニュアルは準備されているところが多いのですが、今回お勧めしたいのが、トラブル時のマニュアルです。

 

良くあるトラブルは把握されていますでしょうか? そのトラブルのためにベテラン要員の時間がとられることが発生していませんか?

 

良くあるトラブルも一般的な要員でも対応可能なようにマニュアル化しておくのです。トラブル対策こそマニュアル化するのです。

 

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マニュアル化しても大事なところを見落として更に最悪な事態になったら・・・と不安に思う方もおられるでしょう。その場合は、マニュアルができて数回程度はベテランと一緒にマニュアルを見ながらトラブル対処します。そこで、さまざまな課題が見つかれば、この場合はベテランに連絡、といった書き込みをマニュアルにしていけば良いのです。

 

徐々に一般的な要員ができるようになれば、それだけマニュアルが増えていくことになります。マニュアルが増えていく、ということは、それだけ作業が見える化しているということなのです。

 

マニュアルやチェックシートは人材育成にも利用していただきたいと考えています。また、それだけの使用ではもったいないです。

 

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上記でも書いたように、良くあるトラブルをマニュアル化するということは仕事を効率化する時の最大の敵、トラブル対処をスムーズに行うことなのです。

 

そして、作業をマニュアル化していくことで、業務全体の見える化ができるようになります。見える化が起これば、次のような良い状況となっていくのです。

  1. メンバー同士、相手が何をしているのかがわかる(補完作業ができるようになる)
  2. 上司が部下の仕事量を把握することができる
  3. ムダな作業に気づくことができる(二重になっている業務など)
  4. 作業の順番を効率良くなるように変更することができる
  5. もっと効率化するようシステム化する時に役に立つ

顕著な効果は、1.と2.だと私は考えています。仕事をしているので、隣にいる同僚がどんな仕事をしているのか、したことがない仕事であれば、その忙しい時期や難易度はわかりません。こちらが忙しい時にじっと考えているようであれば、「あいつの仕事はヒマなんだ」という誤解が生じます。

 

でも、見える化していれば、その動作はムダではなく必要な作業だったとわかれば誤解は生じません。誤解が生じるのは人間関係に重要な影響を与えます。

 

また、上司が部下の仕事を把握するのも重要です。今の時世、上司がしていたころと今とでは同じ業務であっても作業内容が異なっている場合があるのです。今はヒマなはず、と思っていても部下は違う作業で忙しいかもしれません。もしくは本当に忙しいフリをしているだけかもしれません(笑)。

 

上司が正確な把握をするためにはマニュアルで作業の見える化を行うことが必要なのです。

 

マニュアル化、マニュアル化、というが、ウチの仕事はマニュアル化なんてできない、まごころが大事な仕事なんだ、と思われている方も多いと思います。接客業やコールセンター業など、対人の仕事は、毎日が突発的なタスクばかりです。そのマニュアル化なんて難しい・・・と考えていらっしゃる方も多いと思います。

 

ですが、本当に毎日すべての作業が違うものでしょうか?

 

問い合わせの中には必ず同じようなものがあります。それに対する回答も同じになります。

 

 

人材育成をする、というのは、まず作業をマニュアル化(見える化)しておいて、その作業をひとつひとつ習得させることなのです。そうすることで、社員は知識と技能を習得していきます。

 

しかし、マニュアルを作るのはとても大変です。しかも、マニュアルは一度作って終わりではなく、何度も修正を重ねる必要があります。そうでなければ、いつでも使えるマニュアルにはならないのです。

 

ただ、そのマニュアルを使えば、仕事を教えるのが簡単になります。教えられる人にとっても、マニュアル群を見て業務の全体構造から学べることになります。教育カリキュラムも作りやすくなります。目標が明確であれば、人は行動しやすいものです。

 

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マニュアル作りについては、いずれまとめてお話したいと考えています。

 

明日は、人材育成で受けられるメリットその2、人間関係の構築についてお話します。

それでは、また明日。

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会社で人材育成するメリット

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

先週は夏休みでした。どんな一週間だったかというと、目的はすべて果たすことができたそれなりに充実した夏休みだったと考えています。目的はすべて果たした・・・っていうとお仕事みたいな話ですが、実際に夏休みと言っても完全な「お休み」ではなく、先週にも書いたように普段あまり時間がかけられない「重要だけど急がない仕事」を中心に仕事をする一週間としたのです。

 

今週は、人材育成をする会社のメリットについてお話したいと思います。

 

人材育成の分野に足を突っ込んで20年近く。企業における人材育成の力の入れ具合は景気に左右される、というのを目の当たりにしてきました。

 

景気が良いと、人材育成の予算があり依頼されることが多くなります。リーマンショック前のちょっとした景気の良い時がこんな感じでした。ところが、不景気になると、真っ先に閉ざされる予算が「IT」と「人材育成」の経費です。

 

コスト削減のための「IT」投資が予算カットされるのも少し理不尽な気もしますが、先に出てしまうキャッシュの金額からするとわからないでもないかな、と考えています。リーマンショック前後は、全体的にWebシステム化が進み始めており、Webシステムはその当時、比較的大規模となるため予算が膨大になる、という傾向があったため、業者に依頼して作ってもらう・・・というのがためらわれるのも当たり前かもしれません。

 

でも、人材育成に関しては、何故予算がカットされるのか、それがわかりませんでした。IT投資から比較すると桁が違う金額です(もちろん少額の方)。仕事がなくてヒマにしている社員がたくさんいるので今のうちに教育したい、という管理部職員さんがいるけれども、結局「予算がない」の一言で断られました。

 

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もっとも、それから徐々に景気が良くなってきて、人手不足と言われるほどの現在に至っても、人材育成の予算はどこもあまりありません。何故でしょうねぇ。

 

それは直接的なメリットが感じられないからだと思います。人材育成をした!と言っても、翌日から会社の業績が上がるものではないからです。それよりも、製品の価格を下げて、売上数が倍増!の方が目立ちます(売上数が倍増しても利益はそれほど上がっていないのが普通ですけど・・・)。

 

人材育成をするメリットが感じられない原因はどこにあるのでしょうか?

  • 結果に即効性がない説
  • 研修は効果がない説
  • 労働市場にもっと優れた人材がいる説
  • 教えてもらわなくても俺はできた・背中を見て覚えるもんだ説

良く言われる言葉を列記してみました。

 

「結果に即効性がない説」

人材育成には3種類に分類されると私は考えています。知識を学ばせるもの、技能を学ばせるもの、態度を学ばせるものの3つです。

 

知識を学ばせるものは即効性があるものです。知ってしまえば次の瞬間から使えます。消費税は8%だから、商品価格に1.08をかけたものをお客様に売る、という知識があればできるようになります。

 

技能を学ばせるものはもう少し時間がかかりますが、慣れてしまえばできるようになるものです。電卓に消費税率を記憶させて、商品価格を入力後「税込み」というボタンを押す、という技能を身につけさせれば慣れたらできるようになります。

 

最後の態度を学ばせるのが一番時間がかかります。電卓で素早く正確に税込み価格を表示させられ、それを笑顔でお客様に優しくお伝えする・・・という態度を身につけさせるのは難しいのです。笑顔はどれくらいの笑顔でしょうか? 優しくというのはどれくらい優しいのでしょうか?

 

これは従業員を評価する人たちが考える基準までできるようになって初めて「できるようになった」ということになります。この「評価する人たちが考える基準」というのがものすごく理想的だったり、曖昧だったりすると、評価されるようになるまでに、とても時間がかかります。

 

そして、あまりにも時間がかかりすぎるので、しまいには評価すること自体忘れ去られてしまい、いつの間にか「できるようになった」と感じられる残念なことになります。

 

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「研修は効果がない説」

最後の態度を研修で学ばせる場合、元々時間がかかる内容であるので、結果的に研修は効果がない、という結論に至ることになります。

 

もっとも、これには今までの研修会社の限界もあるのだと私は考えています。研修を効果あるものにするには、いくつかのコツがあるのです。これについては、近日中にお話する予定です。

 

労働市場にもっと優れた人材がいる説」

ウチの会社にはロクな奴がいないけど、求人を出したら、良い人材が来るはず。と言われたことがあります。でも、リーマンショック後のハローワークに行列ができていた時でさえ、飛び切り良い人材は労働市場に出ていませんでした。そういう人はよほどのことがない限り、人材紹介会社を経て(つまり労働市場に出ず)他の企業にステップアップ転職しています。

 

リーマンショックから2年くらい経った、まだ不況の時に前の会社で補助金でかなり良い条件の3名の求人を出したことがあります。その時、当然応募者は100名近くありました。その中で、文句なく採用決定した人は1名でした。これくらいの比率なのです。

 

「教えてもらわなくても俺はできた・背中を見て覚えるもんだ説」

こういうことを言われる方は本当に多くいらっしゃいます。

 

人はひとりひとり異なるものです。自分ができたからと他人もできるとは限らない。また、できる人も他にできないことの一つや二つ、必ずあるはずです。だったら、他人もできないことを認めましょう。

 

そして、できないことをやらなければならないのでしょうか?

 

できるようになるためにはどうするべきか、システマチックに業務を構築するのです。

 

仕事はシステムです。できない人ができるシステムにするのです。

 

具体的に言うならば、チェックシートやマニュアルを作るのです。「こんな感じ」というあいまいさをできる限り排除し、システマチックな仕事にすることです。そうすれば、誰でもできる仕事になります。

 

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そうすることで教えやすい仕事にも変化します。教えやすいので学びやすい仕事になるのです。学びやすい仕事は作業の効率化を図りやすいのです。この点については明日お話します。

 

また、マニュアル化に対して良くない感情を抱かれる方も多いので、その点について、また後日お話します。

 

 

今週は人材育成のメリットをお話していきます。いろんなメリットがあります。更に良い制度もできるようです。これらを利用して人材を育てることを検討してみましょう。

 

それでは、また明日。 

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専門家と講師。どちらが先?

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

講師で呼ばれると受講者に紹介される時、「専門家」と言われることがあります。その時、いつも「ああ、専門家なんだ、私は」と思います。専門家って、私のイメージでは学者の先生なのですが、長年、その関係の業務に携わった人も専門家に入るんだ、ということですよね。今更なんだ、という話ですが。

 

専門家が講師になることが多いと思います。というより、専門家であることは講師の必要条件の一つだと思います。専門の内容を話をするわけなので、当たり前ですよね。

 

ただ、専門家だから良い講師になれるのか、というと、これはまた別問題のような気がします。

 

専門家だからこそ専門用語については詳しいです。ですが、その専門用語を受講者にもわかりやすく説明できるか、という点についてはいかがでしょうか? それができてこそ講師だと思うのです。

 

私はプロの講師以外の講師の方(いわゆる専門家やプレゼンター)のセミナーに参加した経験があります。学会での発表などもあります。皆さん、話の内容についての専門家です。ただ、専門家だけの方の話は、残念な点が多いのです。

 

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先日もあるOA機器を使ってビジネスを広げないか、というセミナーを受けてきました。とても内容が気になったので行ってみたのですが、本当に知りたい情報を言ってくれないのです。それは何か。OA機器そのものの金額です。

 

その機器を使ってビジネスを広げるには、その機器そのものが必要です。だったら、購入するかどうかの判断をしなければなりません。ただ、一言も金額が提示されないのです。だったら判断のしようがない訳です。どんなに高機能をうたわれても欲しいと思っても、最初から「諦める」という言葉しかありません。

 

高額だから金額を言いたくないのだと思いますが、逆だと思います。金額が提示され、高いと引く人も多いと思いますが、その金額分だけ稼げると思うアイディアがあるのであれば逆に購入したいと思うものです。

 

でも、言わなければ金額を想像するしかないわけです。想像する金額はべらぼーに高くなります。だったら、アイディアがあるけど無理、となるのです。

 

ビジネスチャンス、逸してませんか? 

 

安かったら買う、高ければ買わない。それは当たり前かもしれませんが、高い・安いと感じるのは顧客の心次第。億万長者だったら安いと感じるものも普通の人だったら高いと感じます。

 

講師だって同じだと思います。納得した・納得できないというのも受講者の心次第。少しでも納得してもらうためには、どのように話の流れをしたら良いのか、ずっと考えています。そのやり方を勉強しています。

 

ただ、専門家だから、という理由だけで話をすると、逆効果になるということです。

 

高い金額を最初に提示して、でも、この金額だけのことはあるでしょう?と言わせられるほどの高機能を提示できれば、きっと顧客は満足します。

 

要は、聞き手が聞きたいと望むものを話せる技術が講師の技術だと私は思っています。だから、初めて出会う人に話すのはとても緊張します。それはニーズがわからないから。納得してもらえる話が始めからわからないから。

 

だからこそ、受講者の態度、表情、動き、メモを取ったタイミングなどすべてから情報を得ようとするために見るのです。何を聞きたがっているのか。もちろん、話をしながらです。

 

話をすることは口が勝手に話をします(笑)。

 

目は受講者の様子をしっかりと見つめてニーズを探ります(苦笑)。

 

頭はニーズを探りながら、ニーズに応えていくための話のもっていき方、レベル感を決定していきます。

 

もうフル回転です。講習やセミナーをやっている間、きっと講師は受講者以外で何があっても気がつかないかもしれません。それくらい私は集中します。

 

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これくらいマルチな能力がないと講師ができないのか、ということですが、そんなことはありません。ただ、講師をやり続けていると自然にできるようになってきます。そこがプロと言われるゆえんなのだと思います。

 

だからこそ、受講者が口をへの字に曲げて座っていると、メチャメチャ気になります。気に入ってもらえなかったことは確かです。どこが気に入らないのか、彼・彼女を満足させて帰ってもらうには、どんな話をすれば良いのか、頭はフル回転になります。

 

そんな時、最後の最後でニッと笑ってもらえると、後は何もいらないくらい嬉しいものです。そのニッとなった時に目があえば、何だか心まで通じたような気がして、私の心は昇天します(笑)。

 

専門家だから講師になる・・・と思われている方は、どうか受講者のことを考えて欲しいと思います。専門内容をどうやって伝えるのか。ここが一番大事だと私は考えています。

 

夏休みもあと本日と土日を残すのみとなりました。一週間はアッという間ですね。予想はしていましたが。。。おかげ様で、目的は果たせそうです。本日一日の目的がまだ残っているので、最終的なところはまだわかりません。

 

来週は、人材育成をすることによっての会社のメリットについて話しますね。

それでは、また来週。

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専門用語の説明方法

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

昨日は専門用語の説明について、話をしました。今日は、その専門用語をどのように初心者にわからせるのかについて、話をします。

 

ITの用語を初心者にわかってもらう・・・というよりITを使ってもらうことを優先すると、用語なんてどうでもよいのです。でも、基本的な言葉くらいは知ってもらわないとなかなか話が先に進みません。

 

ただ、言葉というのは、その言葉が指す「意味」があります。これが、難しい概念である場合があります。なので、初心者に理解しやすい言葉に変える「比喩(ひゆ)」というテクニックがあります。この比喩は、講師がその専門用語を正確に理解していないと間違えた比喩を使ってしまうことがある、ということです。

 

昨日、WiFiの話で、電話の親機と子機の説明をしましたが、構造的には間違っています。ですが、わかりやすい例えを探すのも実は大変なのです。比喩に用いるモノは受講者(聞き手)が十分に知っているもの、という限定がつきます。

 

今の若い人たちにダイヤル式の電話機の話をしても通じない場合があるでしょう。時代とともにモノは変化するため、知らないモノは比喩にならないのです。私たち講師も、十数年前に使っていた比喩が、今の若い人向けの場合では使えない、という例はいくつも持っています。

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そして、専門用語を説明する際に更に困るのが、意味が複数あるようなものです。ITでわかりにくさNo.1は、「OS(オペレーティングシステム)」だと私は思っています。初心者どころかプログラマーになりたい人たちにも、なかなか理解されにくい代物です。原因はOSが多機能だからです。一言では説明できないということなんですよね。

 

私が講師になった20年ほど前のこと。指導官から、これについてわかりやすく説明しなさい、と言われ、汗をかきながら説明した記憶がいまだに鮮明に残っています。

 

本当に初心者にもわかる説明はとても大変です。最近は、スマホの説明でもOSが関わるようになりました。

 

スマホをこの前買ったんで、LINEを入れたいんだよね、どうすれば良い?」という質問は少し前から多くなってきました。こういう質問をしてくるのは年配の方です。若い方だけだったLINEユーザ層が年配の方まで広がっている証拠なのでしょう。でも、問題はここからです。

 

スマホは何をお使いですか?」と尋ねると、「スマホ」とお答えです。仕方がないので「iPhoneですか?」とお聞きすると「iPhoneってスマホじゃないよね。俺のはスマホ」。

 

だいたいお判りでしょうか。

 

Androidスマートフォンという名前で売り出していたので、Androidスマホで、iPhoneスマホではない、と思っている人がいます。OSが違うので大きく操作方法が異なりますが、同じスマートフォンに分類されます。

 

ただ、初心者に説明しづらいのが、OSが違うということは実は機械(ハードウェア)も違った構造になっていることなのです。だから、Android用のアプリとiPhone用アプリは違うところからインストールする必要があります。作る側も別々に作ります。

 

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どこまで説明するか、これが重要なのです。

 

最初の質問から、だいたいの相手のレベル感がわかれば、解答方法も変更する必要があるのは、お分かりだと思います。ただ、本当にどこまで説明するのかを見極めるのが難しいのです。

 

AndroidスマートフォンiPhoneはOSが異なるのです。OSが異なるということは、機械の構造から異なっています。

 

ですが、機械から異なっているという説明を入れると、「え、どこがどのように違うの?」と尋ねられる場合がほとんどです。知りたいモードに入っている人に更に知りたい内容をちょっとだけ見せてしまった場合、知りたいモードに更に拍車がかかります。

 

まあ、スマートフォンの場合は、Androidスマートフォンはボタンが3つでiPhoneは1つですよね、と回答すれば事なきを得ます。スマホは見た目が明らかに違っててくれるので助かります。これがパソコンになると明らかな違いが明確になっていないので、説明が難しくなるのです。

 

話を戻せば、知りたいモードになっている人にどこまで説明するかということなのです。ただ、すべてを説明しても理解してもらえる可能性が低い場合は、不毛の説明になります。どんなに手を尽くして説明しても理解してもらえないまま、不満足で終わってしまう、ということなのです。

 

ひとつの技術を知るためには、元となった技術を知る必要があります。技術の積み重ねがあります。これはどの分野でも言えることです。その技術全体を説明して理解してもらうには、かなりの時間が必要になります。

 

講師は、かなり学習して知識は豊富です。でも、実は、知っていることをすべてお伝えするのは危険なのです。

 

相手が知りたいことをお伝えするのが、本当の意味での講師なのです。

 

もちろん、受講者の考え方そのものが間違っている場合があります。知識不足だと往々にして良くあることです。だったら、どこまで修復すべきか、ということを即時で判断しながら説明を加減していくことが必要なのです。

 

私も今までに何度も不毛の説明になってしまった経験をしています。私なりに「説明のドツボにはまる」と呼んで、最悪のパターンの一つに数えています。この説明レベルをどこでとどめておくのか、非常に難しい判断が求められるのです。

 

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今日は、あまりITに詳しくない方には少し言葉が難しかったんではないかと心配しています。OSについて説明が欲しい方は、個人的にご説明いたしますので、ご連絡をください。

 

明日は、専門用語を使う専門家と講師についてお話をします。

それでは、また明日。 

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「専門用語」は大切だけど

ビジネストレーナーの安部です。大分のユーグレードで、研修プロデュースや人材育成に関するコンサルティングをしています。

 

専門用語、難しいですよね。私は何度もお話しているようにIT系の講師だったので、何度も何度も受講者から言われてきました。「ITって、言葉が難しいよね~~」と。

 

はい、そうです。難しいです。英語が飛び交うし、略語も多いし、似たような言葉が多いし。専門用語でITを語るときっと誰も聞いてくれないんだろうなぁ。。。と思ったこともあります。

 

私は、IT系でも、初心者からプログラマー育成までの講座を担当しているので、専門用語の使い方は大変気を使います。初心者の方は専門用語を使った瞬間、もう聞いてくれません。「この人の話はわからない」というレッテルを貼られるからです。だから、最初から最後まで専門用語なしで話します。

 

もっとも、それはそれで大変です(笑)。

 

以前、初心者の受講生とちょっとした雑談で、「プライオリティ」か「アライアンス」か、こんな感じの言葉を使ったら、「すぐにITの人は難しい言葉使う!」と言われたことがあります。いえ、これらはIT用語ではありません。。。(涙)

 

昔、パソコン操作研修をお引き受けした際、対象者は高齢者の初心者。まず、内容から吟味する必要がありますが、専門用語は絶対に使わない、ということを最初に決定しました。

 

「マウス」「キーボード」を何というか。。。(笑)

 

さすがに、それくらいは使わせていただきましたが。

 

ただ、最初に説明する時、現物を目の前に見せながら「ネズミの形してますよね。だから、マウスなんですよ。ミッキーマウスのマウスですね」、「鍵盤みたいなものですよね、一つ一つをキーって言います。キーがたくさん乗っている板、ボードでキーボードって言います」みたいな。

 

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「クリック」も「左ボタンを1回、カチッ」で通しました。しかも、すべて操作はクリックでできるモノだけにし、ダブルクリックも右クリックもなしにしました。

 

今の高齢者は、それなりにパソコンを使われる方も多く、さすがに言葉もある程度ご存知ですが、当時(15年前くらいかな)は、全く知らない方もたくさんおられたので、ホントに大変でした。

 

私としては、専門用語をどれくらい違う言葉で置き換えられるか、も講師の力量の一つだと思います。

 

でも、専門用語を使わなければならない場合もあります。それは、受講者が受講後に専門用語を使う必要がある人たちの場合です。プログラマーになりたい人たち、パソコンインストラクターになりたい人たちの場合は、専門用語を使う必要があります。

 

彼らは仕事でITに関わっていくわけですから、専門用語を知らないと先に進めません。専門用語は背景にその言葉の概念が含まれていることが多いので、概念を知ることも彼らの学習の一つなのです。

 

例えば、Wi-Fi(ワイファイ)という言葉。

 

最近は頻繁にテレビCMでも流れてくるようになったので、言葉が良くわかっていない人でも使うようになりました。

 

でも、ふと「Wi-Fiって何ですか?」という質問を投げかけられます。それにどう答えるか。

 

Wi-Fiは、無線のコンピュータネットワークの一つの規格です。正確に言えば、こうなります。規格はJISなどに代表されるさまざまな製品の決められた標準のことです。電源プラグがどのコンセントでも使えるのは、標準で決められているからです。

 

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相手が専門家になりたい人たちだったら、Wi-Fi無線LANの標準規格の一つであり、今ではWi-Fi規格のものが多く使われるようになったので、Wi-Fi無線LANは同一視されるようになった・・・という説明することになります。IEEE802.11×(×にはアルファベットの小文字が入る)を聞いたことがありますよね・・・みたいな。

 

でも、相手が初心者だった場合はこうなります。

 

インターネットする時、パソコンには電源コードではないコードをつないだりしませんか? そのコードが無線になったものですよ。電話機でも親機はコードに繋がっているけど、子機は繋がっていませんよね。電話の子機のインターネット版なんです。

 

ちょっと知った人だったら。

 

LANはご存知ですか? あれが無線になったモノです。

 

まあ、こんな感じでしょうか。。。今、Wi-Fiの説明で電話機を使いましたが、これはこれで問題があるのです。。。その件については、また明日お話します。

それでは、また明日。

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