人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

品質を向上させるコツ

前回は仕事のやり方の中でも
「納期」の考え方を
身につけさせるお話をしました。

 

今回は、
「品質」の考え方を
身につけさせるお話をします。

 

特に、要求された品質のものを
生み出せない社員に対する育成のコツです。

前回までの概要

チーム会社とは、
スポーツチームを構成できる人数規模の会社

 

残念ながら、チーム会社は、
研修をするお金がない
研修をする時間がない
という理由で、研修という形での
人材育成はできません。

 

なので、社長自らが人材育成をするのです。

 

ただ、学校教育では教え方を学びません。
今までは人材育成の基礎や基本を
話してきました。

 

人材育成の基本的な3つの流れ
1.現在の社員を良く観察する
2.将来の会社をどうするのか考える
3.今の社員をどう成長させるのか考える

 

人材育成の基本(教える内容で分類)
1.技術や知識(座学やマニュアルを使う)
2.仕事をするスキル(面談を中心に)
3.人との関係性構築(エンパシースキルを磨く)

 

人材育成の基礎として、
教える側(社長)と教えられる側(社員)との間に
「信頼関係」が必要

 

詳細は、ブログカテゴリ「211_チーム会社の人材育成」
からどうぞ。

ugrade.hatenadiary.jp

品質とは

品質は実は上限がありません。

 

もちろん、顧客にとっては
最上の品質が良いに決まっています。

 

ですが、実際問題として、
最上の品質を毎度提供するのは、
時間がかかります。

 

また、その品質が本当に顧客に求められているのか、
といった問題もあります。

 

いわゆるガラケーと呼ばれている
携帯電話を持ったことがある方であれば、
(今持っている方も含めて)
次の質問にお答えください。

 

「あなたは以前の携帯電話の機能をすべて
使っていましたか(使っていますか)?」

 

おそらくすべての機能を使いこなしている方は
非常に少ないと思います。

 

こんな機能、いらないから
もっと安くならないのか、
と思った方もいらっしゃるでしょう。

 

品質の向上を求めすぎて
過剰になっていた良い事例です。

 

社長の会社の顧客が求めている品質は
どのような品質でしょうか。

 

求めている品質がハッキリわかるのであれば、
良いのですが、なかなか名言できる社長は
多くはいないでしょう。

 

サービスの場合は、
クレームを言う顧客は非常に少なく、
「次に来ない」という態度で
品質評価してきます。

 

顧客が企業や団体ではなく、
個人の場合は、
求める品質を一つに絞ることは
不可能です。

 

そのような場合、社員の仕事の成果の品質を
どこまで求めるのかが問題になります。

 

ただ、それ以前に、要求された品質に
到達できる成果を出せない、
という社員もいます。

 

社員はなぜ
要求された品質での成果が出せないのか、
という点です。

 

  1. 社長の要求が携帯電話のように過剰なのか
  2. 社員が求められている品質がわからないのか
  3. 社員が求められている品質を実現するだけの技術力がないのか

ということになります。

 

1.と3.は別の機会でお話しするとします。
今回は真ん中の
「2.社員が求められている品質がわからない」
ということについてお話ししていきましょう。

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求められている品質がわからないとは

求められている品質がわからない、とは
一体どういうことでしょうか?

 

社員の中に、何度も業務をさせるけれど
満足な仕上がりにならない、
といった社員がいらっしゃるのではないでしょうか。

 

もしくは、同じ失敗を何度も繰り返す、
依頼した仕事の出来が悪い、
といった場合です。

 

もちろん要求される品質が過剰という場合や
社員に技術力がないという場合は除きます。

 

他の社員にはできる簡単なことだけど、
その社員だけできない、
その社員はできるはずなんだけど、
何となく手を抜いたものしかできない、
といった場合は該当します。

 

故意に手を抜いた場合は、
その社員の質的な問題です。

 

真面目に取り組んでいるのだけど、
なかなか成果が出ない、といった社員は
質の問題ではありません。

 

そういった社員は
そもそも仕事がどうなれば終わりなのか
がわかっていない場合が多いのです。

 

例えば、目の前にないけれど何かを作る、
という時をイメージしてください。

 

何かを作るのだけど、どんなものかは
まだ実際に存在するものではないので
わかりません。

 

新製品などは得てしてそのようなモノでしょう。

 

ですが、基本的なところは決まっているはずです。

 

パソコンは便利な道具です。

 

ですが、パソコン自体を持ち運ぶのは
10年前はかなり重かったです。

 

だからこそ、手のひらサイズの小さく軽い
パソコンとしてスマートフォンが誕生しました。

 

基本的なことは、
パソコンとほぼ同じ機能であること
手のひらサイズで片手で持てる重さであること
電話機能をつけること
でしょう。

 

そこから発展して、
カメラ機能やGPS機能などがあり、
振動を感知して歩数も測れます。

 

手のひらサイズで片手で持てる重さであっても、
いきなり大きく開いて傘として使える、
ということは期待されていません。

 

仕事は基本的なことは決まっているけれど、
今までにないものを作り出す、
ということから始まります。

 

真面目で技術力もある社員だけど、
なかなか品質が良いものを作り出せない、
という場合では、

 

基本的なことをきちんと理解しているか、
それプラス、何を考える必要があるのかを理解しているか、
ということをチェックする必要があります。

 

その理解の先は、
その仕事の終わりをはっきりさせる、
どうなったら完成なのかをはっきりさせる
ということにつながります。

 

それは、つまり、
その仕事がどのようになれば終わりなのか、
を理解するということです。

 

その社員がしている業務が
どうすれば終わりなのかを明確にさせ、
それを理解させる、ということなのです。

仕事の終わりをわからせるために

仕事の終わりをわからせるためには、
仕事を依頼したら、
どの時点になったら終わりなのかを
明確に指示する、
もしくはわからせることが重要です。

 

そのために何回かチェックポイントを作り、
その都度チェックします。

 

できていない場合は、
何がどうできていないのか、
具体的にフィードバックすることが重要です。

 

社長がフィードバックするだけでなく、
社員自身も自分をふりかえり、
何が問題だったのか、
を明確にすることができます。

 

ものごとはゴールが明確になればなるほど、
ゴール達成できなかった理由が
明確になります。

 

早く走りたい、というゴールでは
少し練習しても早く走れるようになったかは
わかりません。

 

ですが、100メートルを12秒で走りたい
というゴールであれば、
12秒で走るために何をすれば良いのかが
明確になります。

 

同じ早く走りたいであっても、
42.195キロメートルを2時間少々で走るのとは
走り方が異なります。

 

鍛える筋肉さえ異なります。

 

仕事の終わりを明確にするということは
問題も明確に理解できるのです。

 

仕事の終わりなんて明確にしなくても
いつか気づくだろう、は
永遠に気づかないだろう、
と言っているのと同じです。

 

特に仕事に慣れない社員は、
社長自ら明確にしてやった方が
社員の成長に役立ちます。

 

そして、慣れた社員であれば、
仕事の終わりを明確に指示するよりも
何ができたら終わりなのかを
逆に尋ねる、というのも手です。

 

キチンと理解していればそのままで良いですし、
理解していなければ、
その場で理解させる必要があります。

残業をダラダラとしている社員には

たまに品質を上げる、ということを理由に
残業をダラダラとしている社員がいます。

 

「あと少しなんだけど」
と言いながら
残業をしている社員です。

 

残業代が欲しいだけであれば、
何らかの手当てを別に与える方が
効果的です。

 

でも、そういった社員を成長させたいのであれば、
何があと少しなのか、
どうすればあと少しが完成するのか、
聴いてみることです。

 

そういう社員の中には
顧客満足より自己満足が大事、
という人が多くいます。

 

技術者に比較的多い傾向がありますが、
自分の技術力を見せつけたいだけ、
ということです。

 

 

技術を見せつけたい相手は
誰でしょうか。

 

それは、社内の同僚だったり、
他社のライバルだったり、
社長自身だったりするのです。

 

その想いをまず聴くことです。

 

だからこそ、そんな社員には、
社員の想いを十分に聴いたあと、
社長の想いも話すことです。

 

共通点が必ずあるはずです。

 

 

その共通点から
社長(つまりは会社)に対して
その技術力を発揮できないのか
と伝えることができるはずです。

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会社には「目的」があり、
その目的を達成するために
社員一同頑張っているのです。

 

自分自身の技術力を見せつけるのではなく
会社の目的に沿って技術力を発揮することを
理解させるためには
十二分に話し合うことが重要なのです。

まとめ

今回は、社員が行う業務の結果の品質が
向上するために、ということで
お話をしてきました。

 

もちろん、技術的に不足していることもありますが、
慣れた社員であっても
なかなか品質が向上できない場合があります。

 

その場合は、どこまですれば
その仕事は完了するのかを
明確にさせ、それを理解させることが重要
ということです。

 

仕事の終わりが明確にさせ理解させておけば、
もしできなかった場合は、
どこに問題があるのかを
社員とともに明確にすることができます。

 

仕事の終わりを明確することが
品質を向上させることにもつながりますし、
ダラダラとした残業を終わらせることもできます。

 

私の感覚だと、
仕事の終わりを明確にして業務に臨む人は
比較的少ないような気がしています。

 

終業時間になって、
し残していた部分を思い出すのは
品質が保てていない証拠です。

 

終業時間に「すべて完了」となるように
「どうなっていたら仕事が終わるのか」を
明確にしておくことが
重要なのです。

 

それでは、今日はこの辺で。