人材育成の道すがら

人材育成の道すがら、考えたこと・気づいたことを書き綴ります

現在の社員の状態を把握する

さて、今回から人材育成の実際について
お話ししていきます。

 

チーム会社のような
スポーツチームを構成する人数の会社では
なかなか研修を行うだけの予算と時間がない
というお話を以前よりしてきました。

 

だからこそ、
社長(もしくは上司)が
人材育成を行う方が良い、
と私は考えています。

 

ですが、どうしても人に何かを教える
ということは学校では学びませんし、
人材育成に力を入れてきた会社に
以前勤めていなければ
どうして良いのかわからない、
というのが実情でしょう。

 

人材育成にも基本があります。

 

それは、手順を以下のようにすることです。

 

1.現在の状態を把握すること

2.将来の人材像を明確にすること

3.現在の状態を将来の人材像にするための
 育成法を決めること

 

本日は、現在の状態を把握することについて
お話ししましょう。

 

1.現状の状態の把握とは

別に現在の社員の学生時代の成績などを
調べるわけではありません。

 

あまり学歴には関係ありません。

 

学歴に関係なくても
学ぶことについて上手い人は存在します。

 

それよりも
現在、その社員に対して社長が
どのように感じているのか
を調査します。

 

この社員に対しては
信頼がおけるので、
いろいろ仕事を任せている

 

とか

 

この社員はなかなか覚えが悪いので
常にチェックが必要だ

 

とか

 

普段、一緒に仕事をしている間に
感じることがあると思います。

 

それらを「見える化」していくのです。

 

つまり、メモを取っていくのです。

 

感じている、思っている
だけでは、なかなかうまくいきません。

 

まずは、見える化
とても重要なのです。

 

一人の社員に対して
複数個、できれば数十個のメモがあれば
良いでしょう。

 

それだけ、社長自身が社員のことを
ちゃんと見ていることになります。

 

十数個くらい、十個にも満たない
という場合は、
改めて社員を良く観察してください。

 

現状を把握する、
ということは、こんなところから始まります。

 

人間は一面的ではありません。

 

通常であれば、いろいろな面を見せています。

 

感情の現れ方や
考え方など
千差万別であり、
一人ひとり異なっています。

 

それらをつぶさに見ていきます。

 

かなり大変な作業です。

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ある程度の人生経験がある社長であれば
それなりに人の分類ができているでしょう。

 

例えば、
いつも冷静なタイプ
感情的なタイプ
人懐っこいタイプ
といった風にです。

 

社員を何となく
その分類に当てはめて
日頃見ていることも多いでしょう。

 

ですが、この現状把握には
分類をし直すくらいの気概で
望んでほしいのです。

 

あ、あいつにはあんな面もあったのか
と思うことが多い方が、
この後、うまくいくのです。

 

2.できていることの把握

現状の把握の際、
往々にして良くあることが
「できないこと」がピックアップされる
ということです。

 

人材育成をしよう、
と思っている社長であればこそ、
できないこと自体に目が向きやすくなります。

 

そうではなく、
「できていること」
にも目を向けてください。

 

社員歴十数年だから
「できて当たり前」
ととらえるのではなく
「できていること」
を一つずつ取り上げるのです。

 

大ベテランだが、
後輩に教えるのが上手い、
といったことでも良いです。

 

営業成績はあんまり良くないが、
お客さんのファンは多い、
といったことも取り上げます。

 

このできていることは
何故できるようになったのでしょうか。

 

「努力」や「性格」といった言葉だけで
済ますことなく、
「毎日トレーニングした」
「いつも笑顔でいるようにしている」
といったことまでわかるのであれば、
メモをしておきましょう。

 

わからなければ、
今後、本人に聞いていく項目として
印をつけておきます。

 

※ここでいきなり聞いても
なかなか答えてもらえない可能性があります。

 

3.信頼関係を構築すること

この現状を把握すること自体、
人材育成の基本になることなので
とても重要なことだと申し上げました。

 

実はそれだけではないのです。

 

社長自身の社員のとらえ方に関して
「お、ウチの社員、意外とできるな」
と思うようになっていただきたい、
というのがあります。

 

というのは、
どうしても日頃は「できない」部分ばかり
目につきます。

 

だからこそ、
ないないづくし社員ばかり
と嘆くことになるのです。

 

ですが、今まで会社を支えてきた社員ですから
それなりに「できている」はずなのです。

 

改めてその現実を把握していただきたい
ということもあります。

 

この次の作業としては
会社としてのあるあるづくし社員を
作っていくわけですが、
その作業は夢を描く作業である分、
無鉄砲な方向へ進む可能性があります。

 

社長が理想の社員を思い描く時、
スーパーエリート社員のような
現実的ではないイメージを
言われる場面に多く遭遇しました。

 

そんな人材は普通いませんよ
と言いたくなるような人材像です。

 

現実をまず把握することで
あんまり現実とかけ離れた
夢のような人材を求めるのではなく
人間味を帯びるようになります。

 

そして、最も重要なことがあります。

 

それは、
社長と社員との間に
「信頼関係」を醸成することです。

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人材育成には信頼関係は欠かせません。

 

皆さんも体験されたことがあるかと思います。

 

怪しい雰囲気だったり
何か虫が好かなったりする講師の話は
真剣に聞こうという気が起こらないでしょう。

 

全く初対面の講師の場合は、
まずは聞いてもらえるようになるために
研修の冒頭部分は非常に重要です。

 

この人の話は聞いてみようかな、
と思わせることが重要なのです。

 

これから人材育成をしていくには
信頼関係が必要なのです。

 

社長と社員の間だから
信頼関係ができているはずなのですが、
これが意外と難しい場合があります。

 

そのためにも
「できていること」のメモが
活かされてきます。

 

この社員は意外とできている
と感じた社員に対して
社長として
「信頼できる社員」と
思えるようになります。

 

信頼関係がない、と感じた場合は、
その社員をまず「信頼する」ことが
スタートなのです。

 

そのためには、
社長の中で「信頼するに足る社員だ」
と思わせる事実を
手にすることです。

 

信頼することについて、
もっと具体的なコツは後日お伝えしますが、
現在の社員を信頼するためにも
「できている」ことをきちんと
把握してください。

 

ただ、これができているから
助かっているよ
という社長からのメッセージは
社員にとって「承認」になりますが、

 

社員が社長を信頼していない場合は
逆効果になる可能性があります。

 

信頼関係が築けていると感じたら
承認メッセージは有効ですが、
そうでない場合は、
不信感を募らせるだけです。

 

是非とも気をつけてください。

 

4.まとめ

現状の把握について
お話ししてきました。

 

まず、社員一人ひとりについて
感じたこと、思ったことのメモを取る

 

そのメモは一人につき
数十個が理想である

 

「できていること」もメモに取る

 

そのメモが信頼関係を築くことになる

 

といったことをお話ししました。

 

ここで、一つ不思議に思われませんでしたか?

 

現状の把握で、社員に対して
何も聞いていない、
ということです。

 

社員に思っていることや考えていることを
聞くのではなく、
社長自身が感じたことを
ピックアップしています。

 

ここは、人材育成の準備段階にすぎません。

 

社員に聞いても
聞いた事柄が社長の考えとズレていれば
チーム会社として進みづらくなります。

 

それよりも
まず社長としてどんな人材にしていくか
という計画をしている段階なのです。

 

実際に育成に入ってから、
社員の考えや思いを聞いていきます。

 

ですから、今社長がメモをした
社員に対する感じたことは
あくまで社長個人の感じ方です。

 

ですから、これから
社員の話を聞いていけば
もっと変わっていくはずです。

 

ですから、今感じたことが絶対、
ということは思わないようにします。

 

変更可能な要素がたくさんある
ということなのです。

 

人は変わっていきます。

 

ですから、「絶対」ということは
あり得ません。

 

ということで、
次回は
会社にとってのあるあるづくし社員
についてお話ししていきます。

 

それでは、今日はこの辺で。